事務局より - 最新エントリー

  
    Sadler's Wells 


           

Ms. Emma Gladstone 
(
スペシャルプロジェクトコンサルタント)


1997 – 2002までプレイスにてアソシエートディレクターを務めた後、
現在はフリーのプロデューサーとして、サドラーズ・ウェルズでは
様々なリサーチや、サイトスペシフィックな作品などを手がけている。

〔視察内容〕活動についての説明を受けた後、劇場見学

 

■ Sadler's Wellsについて 

    1998年にロンドンのイズリントンに設立された劇場。コンテンポラリーダンスをはじめ、カッティングエッジなパフォーマンスなど幅広い作品を上演し国際的に高い定評を得ている。子どもから高齢者まで広く地元コミュニティを対象にした教育プログラム(Connect)にも力をいれている。日本の旅行ガイドブックや、ロンドンのミュージカル劇場マップにも掲載されるほど作品鑑賞劇場としてメジャーである。

 

    

■ 活動内容

(1)作品上演  
   
上演に加えてアーティストによる一般や学校向けのワークショップも実施。
   
話題性のある公演を実施しニュース性を持たせれば草の根活動も注目され、効果が高まると考えている。

(2)アーティスト支援 
  
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小さなスペースで発表した作品を大きなホールで上演できる作品に創りあげるための支援を行なっている。

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まだひとり立ちてきないアーティストをアソシエイトアーティストとして選定し、著名なアーティストによる公演の前座や、地元学校でのワークショップ実施など活動の機会を提供。

(3)地域プログラム
 
アウトリーチ活動のハイライトとして年に1度行われるフェスティバルでは、2000人以上の地域住人の人々に上演の機会を提供。


◆経営   

アーツ・カウンシルからの資金が最大の資金源。
資金調達担当が5名着任している。

 

      





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インタビュー Polly Risbridger(Creative Producer)


〔視察内容〕活動についての説明を受けた後、劇場見学、ワークショップ見学、DVD鑑賞

 

East London Danceについて

East London Danceはロンドン東部のストラットフォードにあるダンス・エージェンシーで、Stratford Circusを活動拠点としている。ロンドン東部は多民族が暮らす地域で、文化的に多様な背景を持つ地域である。East London Danceはロンドン東部の住民に対してダンスイベント、ワークショップを通して地域のダンスの発展のための活動を行っている組織であり、それらの活動がこの地域のコミュニティの中心になっている。プログラムの運営は9名のスタッフ及びフリーランスのダンサーとの協力体制のもとで行われている。年間予算は50万ポンド。


Stratford Circusについて

Stratford Circusは、もともとダンスの授業を行っていた大学(『NewVIC』)が、「クリエイティブ」を教壇で教えるだけでなく、実践することが必要だという考えのもとで設立した劇場である。再開発の中心地域である、2012年のオリンピック会場に近い場所に位置している。館の運営形態は、月〜水曜日までは貸館営業、木〜土曜日はアーティスティック・プログラムとして大人向けプログラムと青少年プログラムを行っている。Stratford Circusが対象としている年齢は、0歳〜94歳までであり、プログラムの人気は年々高まっている。館の運営に際しては、教育プログラムが前面に押し出され、地域住民にとっては「自分たちが参加できる」というのがこの劇場の魅力となっている。年間総予算は631,000ポンド。運営にはNewVICやEast London Danceの予算が投入されており、それぞれの組織が資金やリソースを活用して協力体制をつくりながら運営を行っている。


  


Stratford Circusの4つの戦略

1)          観客を培うこと 
⇒劇場・野外・サイトスペシフィックなイベントを実施する

2)          アーティストの育成・発展
⇒活動のサポート、精神的なサポート、様々なジャンルのアーティスト同士で協力させるプログラムの実施など

3)          子どもたち、青少年に向けた活動
⇒正規の教育制度に対応するプログラムと、課外活動に対して行うプログラムを実施。青少年が「ダンスに触れること→ダンスを続けること→ダンスに卓越すること」までを目的に、プログラムを行っている。

例)クリエイティブ・パフォーマンス・プロジェクト、サマースクール
=はじめてダンスに触れた子どもたちに、その後もダンスをする機会を提供するためのプロジェクト。ロイヤル・オペラ・ハウスのアーティストと協力して、ヒップホップやコンテンポラリーダンスなど様々なジャンルのダンサーたちが加わって実施。それぞれのジャンルのダンスを学びながら、新しいアートフォームを開いていくプロジェクトを行っている。

  
ユースダンス(『イーストロンドンダンス・ユースカンパニー』)
=対象年齢は14歳〜24歳、毎年オーディションを行ってメンバーを構成している。

4)          高齢者・大人向けのプログラム(『ミート・オブ・フェイス』)
50歳以上のメンバーによるダンスカンパニーがあり、月に1回公演を行っている。老人ホーム、デイサービスセンターでの活動を行い、体が活発でない人と劇場のかかわりを深めている。

【その他】
 他の地域のダンス組織とのネットワーキング(『ロンドン・テムズ・ゲートウェイ・ダンス・パートナーシップ』)を行い、ダンスをロンドン東部地域の再開発の波に乗せていくことを目指している。オリンピックを機に、ロンドン東部の声をダンスプロジェクトとして世界中の人に伝えていくこと、また、ロンドン西部は豊かでロンドン東部は貧しいという位置づけをダンスの力で変えていくことを目的として行われている。

オリンピック誘致に関連する活動

ロンドン東部はもともと貧しい工業地帯であるが、再開発のために資金が投入され、オリンピックが誘致された。誘致にあたっては、この地域の若い人たちの夢、前進、チャンス、進歩といったイメージを誘致作戦に取り入れた。

 
ダンス・アスレチック
学校教育にダンスを取り入れていくことを推奨した、先生向けのリリース・パックの製作(2007年秋に完成予定)

 オリンピック・リンクス
オリンピックにインスピレーションを得て製作されたダンス・フィルムで、160名の若者が参加している。もともとオリンピックをテーマにしたワークショップが行われていたところ、ワークショップが終わってもその活動を残すためにフィルムが作成された。なお、このフィルムは誘致用のみに作成されたものではなく、学校でオリンピックの認識を高めることを目的としており、出演者の家族や友人を対象に劇場で上映している。   


ワークショップ見学
〜『イーストロンドンダンス・ユースカンパニー』のワークショップ見学〜

  


・年少クラス(推定10歳前後):女子3名、男子5名、指導者3名。
ペアになり、映画のアクション・シーンのような振り付けのダンスのレッスンを行っていた。個別レッスンの後、一組ずつが発表。年齢、人種はさまざまだが、ダンスに対して真剣に取り組み、また楽しんでいる様子が伺えた。

・青年クラス(推定10代後半):女子5名、男子4名。指導者は1名。
鏡張りの壁面のある明るい部屋でレッスンが行われていた。このクラスも様々な人種の若者たちで構成されていた。個人で自主的にレッスンを行ったあと、音楽にあわせて全員で踊る。指導者が、振り付けに対して細かな指示を出し、生徒はそれらを習得しようとしていた。レッスンの途中で休憩する生徒、ある振付を繰り返し練習する生徒など取り組み方はさまざまだが、ダンスに対する真摯な姿勢と熱意が感じられた。


オリンピック・リンクスの視聴

5分版、23分版の2種類のうち、23分版のフィルムを鑑賞した。赤・黒・黄・青などの原色のユニフォームを着た、多様な人種の大勢の子どもたちが、学校、通学路、公園などでダンスを踊る。ダンスのモチーフとなっているものは、水泳、器械体操などのさまざまなオリンピック競技であり、それが大変ユニークである。カメラワークや編集も工夫されており、アート・フィルムとして充分なクオリティを持った映像だった。


視察を終えての感想

East London Danceのあるロンドン東部はロンドン中心市街地と比べて雑多な雰囲気であり、さまざまな民族の文化を感じさせる地域だった。この地域一帯は2012年のオリンピック開催に向けて再開発が進められ、地価も上りつつあるという。今回の視察では、このような多種多様な文化を背景に持つ地域のコミュニティ、なかでも若い人たちに対する活動に関して、ヒアリングの要所要所でEast London Danceのスタッフの誇りと熱意を感じた。今回の視察でもっとも驚いたことは、オリンピックの誘致にダンスを活用するという発想と、地域のイメージをダンスによって、それも若い人たちのそれによって変えていこうという戦略だった。しかも「オリンピック・リンクス」の場合、オリンピックの誘致目的のためだけに行われているのではなく、地域の人の意識をオリンピックに向けて高めていくために行われていた活動だという。オリンピック誘致が成功する・しないは別の問題として、とにかく貧しい地域をポジティブなイメージを持って変革していこうというEast London Danceの信念と実行力を感じた。日本の状況に置き換えて考えてみれば、まずダンスによって地域のイメージを変えていこう、そしてオリンピックを誘致しようという発想が生まれてこないであろうし(もし生まれたとしてもそれを実現するのは大変困難だろう)、青少年のダンスによるフィルムを誘致のプレゼンテーションのツールのひとつとして活用するという動きにもなかなか至らないだろうと思う。現在の日本でこのプロジェクトをそのまま参考にすることはまだ難しいだろうが、困難な地域における若い人たちの成功と発展に対する熱意とビジョンを持ち続ける姿勢は見習うべきものがあった。

 

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インタビュー Mr Brendan Keeney (Director)

    

−歴史について

「グリニッジ・ダンス・エージェンシー」(以下GDA)は、1993年に始まった。
1980年代にグレアム・デブリンによるレポート「ステッピング・フォーワード」の中で、「いろんな芸術のかたちがある中で、なぜダンスは音楽や演劇のように社会に大きく開かれていないのか?」ということについて書かれた内容のものがある。

「一番の理由は、ダンスにはインフラ(経済的基盤)が無い。音楽はコンサートホール、演劇は劇場、ビジュアルアートは美術館・ギャラリーがあるが、ダンスはそんな既存の小屋を借りて表現しないといけない存在であることが多きな原因ではないだろうか。」といったことが書かれているが、このレポートについてアーツカウンシルがダンス関係者を巻き込んで「ダンス評議会」を設け協議をしはじめた。

評議会では、まず、インフラが無いことをマイナスのポイントではあるが、ある種のチャンスになるのでは?というところから、ダンスの将来性を探っていった。そこから21世紀の芸術の施設を創造していくと、大事なこととして、アーティストが、コミュニティーに基盤を置いてコミュニティーと共に活動し、また、観客は受動的に単に鑑賞するだけでなく積極的に参加することが必要だ、ということになり、「ナショナルダンスエージェンシー基金(national dance agency development fund)」(以下NDA)が創設され、それがダンスの経済基盤となった。ダンスの組織も地域に似合ったかたちでさまざまであるべきで、柔軟な解釈がなされるよう「ダンス・エージェンシー」と名付けた。また、場所については、全ての地域に施設がある必要は無く、学校や劇場がもともとあって、そこで、プロのアーティストが積極的に活動しているところが面白いと感じた。例えば、イギリス南西部(South West England)とロンドンでは、コミュニティーでのニーズが違う。そういった場合、ダンス・エージェンシーは施設でなく、事務所だけも良いのでは、など、地域によってさまざまなあり方が考えられる。

GDAのこの建物は、もともとグリニッジ区の区役所として使われていた建物で、文化財指定されている歴史的建造物。GDA初代ディレクターのリチャード氏は、隣の区、ルイシャム(Lewisham)区で、ダンスのワークショップを開催していて、このビルが閉鎖されることを聞いた。リチャード氏は、区役所の人でダンスの可能性に興味を持ってくれた人たちと話をし、プランを練った。この文化財指定されている建物の閉鎖には課徴金(92年時で年間10万ポンド:約2600万円)がかかる上、閉鎖後の管理にもお金がかかる。しかし、慈善的活動や、NPOの活動に使用されるならば、課徴金は支払わなくて良くなる。そこで、リチャード氏は、この建物と10万ポンドを元に、ダンス・エージェントの運営について、アーツカウンシルに相談しNDAの協力を頼んだ。


GDAの活動について

今我々がやっていることは、リチャード氏がアーツカウンシルとの条件に盛り込まれた以下の内容が基本となっている。

 
1.地域の人のためのコミュニティープログラムの実施
2.プロのアーティストダンサーの育成とサポート
3.イベント、パフォーマンスの開催

GDAが立ち上がって間もなくして、アーツカウンシルには多くのダンス企画が殺到し、資金援助のための新しい条件が設けられていった。ダンスに関しては、国を10の地域に分けてそれぞれの地域で一団体のみにNDAが資金援助を行うようになった。ロンドンについて言えば、リチャード氏もモデルとした「プレイス」という団体があったので、そこに資金が流れ、私たちの国からの資金援助は枯渇してしまった訳ですが、ただGDAは成功したということで地方からの資金の援助を得ることができたので今でも存続が維持できている。
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Q佐東:地方からのお金というのはアーツカウンシルとは別なのですか?
A:当初も今もそうですが、財源は二つあって、地方のアーツカウンシルと地方政府からです。全国のアーツカウンシルからはわずかなお金しか入ってきませんでした。ごく最近になって、すべての補助金は地方のアーツカウンシルを通して分配されなければならないということなりましたので、今では「プレイス」もわれわれと同じで地方のお金しかもらっていないので我々と変わらない。


Q佐東:アーツカウンシルからのお金も地域を通して配分されるということは、「減る」ことなのでしょうか?それともただ、地域を経由するということだけですか?
A:基本的には国から地方に分配されるので基本的には減らない。しかし、地域に分配される金額のロンドンのシェアが減ったということがあります。基本的には事務手続きの変更なだけ。



−具体的な活動の紹介                   

2年前にアーツカウンシルの資金源でもある「宝くじ(ナショナル・ロッテリー)」に、小さな団体がどのような活動をしているのかを報告する為につくられた映像を紹介。
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○キーニー氏(GDAディレクター)
CanDoCoダンスカンパニーなども練習をしていますが、とてもリラックスした雰囲気の中でクォリティーの高い作業が進行しています。

○フィン・ウォーカー:Fin Walker(振付家/ダンサー)
自分で何かを起こすことができる場所。子ども達がいろんな経験ができる。

○アクラム・カーン:Akram Khan(振付家/ダンサー)
いろんな人たちが関わっているのでダンスというより「人」による場所。

○デビッド・アジャイ:David Adjaye(アーティスティック・ボードメンバー)
アールデコ調の素晴らしい建物。こういう場所を得ること自体とても価値あることである。若い人たちがダンスを通して律することを学び、一生懸命に何かをすることの価値を見出し、パフォーマンスを楽しんでいる。短い期間でこのような変革が起こって来たことが素晴らしいことだと思う。

区全体に影響が行き渡っている。小学校中学校とプロジェクトを行い、プロのダンサーだけでなく地域の人たちとの対話が進んで行くということで協力的な役割も果たしている。もっといろんな人がダンスをみるチャンスが得られるということで貢献出来ている。
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私たちの活動は、先にご紹介しました3つの中心となる柱に基づいて事業計画をたてている。しかし、計画通りに進めるものもあれば、そうでないものもある。それが我々のような小さな組織としてのメリットで、柔軟に対応しながら運営している事業計画は時々変わるけれども「ミッション:使命」は変わらない。その「使命」というものは5〜10年のものではなくて、50年かけて達成していこうとするもの。それは、人々がダンスをみるという「見方」を変えてもらうということ。

よくダンスは、高尚なダンス、低俗なダンス、簡単なダンス、難しいダンス、などといった分けられ方をするけれども、我々が強く確信していることは、そういった分け方は無いということ。もし、子どもの頃から難しいダンスというものに馴染んでいれば、難しいものではなく、簡単なものとして受け止めることができる。抽象的なダンスで、このダンスにどう反応したらいいのかわからないと怖がる気持ちがあって敬遠されることがあるが、我々は50年かけて若者達があらゆる種類のダンスを理解できるようにしていきたい。その中にはもちろん好き嫌いは出てくるだろうが、少なくともダンスをわかってもらえるようにしていきたいと思っている。


−3本柱で具体的に実施していること

1.地域の人のためのコミュニティープログラムの実施
 フラメンコ、ブレイクダンス、コンテンポラリーなど、比較的とっかかり易いダンス教室を多数行っている。
我々の組織がダンス「センター」では無く「エージェンシー」と言っているのは、学校や、老人ホーム、ユースセンター、生活保護を受けている家庭が住む「地域」にこちらから入っていく団体であるから。数キロ離れたところでも私たちから出向いている。
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Q(櫻井):「我々」というのは?GDAに属するダンサーたちを含めて言っているのか?
A:「我々」という時は、GDAの9名のコアになるスタッフのこと。この場所をリハーサルやパフォーマンススペースとして使っている大勢のダンスアーティストたちは登録性をとっている。そして、そのコアなスタッフが登録アーティストたちのコーディネーションを行って常に30〜40名ほどのダンスアーティストと仕事をしている。

2.プロのアーティストダンサーの育成とサポート
 GDAでは、いろんなタイプのダンサーに支援を行いながら、ハイレベルなダンスのプログラムを行っている。

 まず、2つのスペースを利用した質の高いダンスプログラムやリハーサルなどを行っている。その他に、申請書類を提出しないといけない時に書き方をアドバイスしたり、オフィスが必要な場合は提供したり、さらに、パフォーマンスを上演する機会を提供したりもしています。私たちは普通のプロモーターというより、ダンサーたちの「手助け」をしていると認識している。先程の映像の中に、フィン・ウォーカーさんと、アクラム・カーンさんという振付家/ダンサーがいましたが、彼らは我々の育成プログラムで育ったと言っても過言でないアーティストたちなので、今回の映像作成に協力してもらった。彼らは、今はロイヤルオペラハウスの所属のダンサーであり、今でもここでリハーサルなどを行っている。

また、プロのアーティストの育成に成功しているひとつとして、このグリニッジという地区が、ダンスアーティストが集中している「コミュニティー」であること。というのは、この地区には、「ラバンセンター」が30年程活動していることが影響している。ラバンセンターで勉強した人たちが住宅事情の安いこの地域に、そのまま留まる人たちが多い。

3.イベント、パフォーマンスの開催
 定期的にイベントや公演を行っているが、ロンドンのダンス業界の事情もかわってきていて、さまざまな団体がプレゼンテーションするようになってきた。我々はその中でも、これまでGDAを支援してくれたダンサーと、長年我々のダンスクラスでずっと教えている人を優先している。日頃、良いダンスの先生であれば、そもそもの素晴らしいダンスアーティストであることを忘れられがち。我々は、その人たちが表現する場所を提供している。

もうひとつ、我々の特徴でもある劇場が無いが「スペース」はある。純粋に劇場向きではないものをもっと違った形でみせられるものというものをどんどんやっている。あと、最近はじめたことで、今年のはじめから月に一度の「キャバレー」ということをはじめた。基本的な考えは、コミュニティーでダンスと観客が融合していくこと。誰もが、作品のプログレス、新しい作品、誰もが親しむことができる、フラメンコサークルや子どもたちの発表など、10分間程度で何でもありな公演。プロアマ問わず上演することをはじめた。毎回チケットが完売になる程の人気。
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Q:アウトリーチを行ったりしているのか?その際受講料はとるのか?
A:場合によって違う。放課後の学生向けダンスクラブは有料。スポーツ関係と年間契約を結んだりもしている。


Q:シニアの参加者は積極的なのか?
A:浸透して行くのに時間がかかったが、年に2〜3回の開催を、1月に1回の開催に増やし、序々にクチコミで広がっていった。7年間ほどかけて地道に広がって行った。ティーサロン風に行われる「ティーダンス」が人気。


Q:GDAに関わる地元の人が増えていった原因は何ですか?
A:「キャバレー」がきっかけ。誰でも参加しやすい仕掛けが良かったのか。地元だけではなく、ダンスフェスティバルの「ダンスアンブレラ」の時期などは、ロンドンじゅうから人が集まる。
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ロンドン南西部の特徴とも言える、多人種の住民が多く、決して豊かとは言えない地域、そして、「ラバンセンター」の存在といった「グリニッジ(人口22万8100人:2001年統計)」らしい地元のアイデンティティーを持ちながら、世界的に評価を得ていきたいと考えている。

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インタビュー   Linda Jasper, Executive Director
       


 〔視察内容〕 活動内容の説明と劇場見学



■ユースダンスイングランドの活動

 若者とダンスをつなげるナショナルダンスエージェンシーとしては、YDEは初めてのダンスエージェンシーである。資金源は教育技能省とアーツカウンシル。3年前に発足し、資金は2011年まで受けることになっている。イングランドには9つの地方の組織があり、ネットワークをつくって、若者にダンスを浸透させていくことと、そのサポートをしている。こ
れまでには、それぞれの地方で、どんなコミュニティダンスの活動をおこなっているのかということを調べ、今後発展していく可能性のある分野を見極めたり、あるいは今後も続けていく部分を見極めたりするなどの、サポートをしている。また、手に入れた情報をすべてナショナルデータベースとして保持しています。各地の団体がそれぞれの形でユースダンスを地域に発展させるプログラムを組んでおり、国レベルでのスキーム企画を立てて、そこにみんなが加わっていく形で、全体でダンスを高めていこうという動きである。


 実施事業例1 ユースダンスフェスティバルの開催
ナショナルスキームのひとつにナショナルユースダンスフェスティバルがある。このパフォーマンスは、イングランドの北西部にありますマンチェスター近郊のラウリーという劇場でおこなわれることになっています
われわれがイングランド全体から選んできたすべてのグループが集まりまして、 ワークショップやパフォーマンスをおこなっています。このフェスティバルの開催が決まったときに、それぞれの地域でオーディションをおこない、選考をおこないます。

 実施事業例2 ユースダンスの映像のTV放映
ナショナルスキームのもうひとつの例といたしまして、昨年チャンネル4という地上波のテレビ局がありまして、若いフィルムディレクターたちにユースダンスについてのフィルムを撮影してほしいとコミッションし、撮った作品を11月にテレビで放映いたしました。

■ユースダンスに携わる指導者のサポート

若い人たちと一緒に仕事をしている人たちに対してのサポートもしなければいけません。そして、基準をあげたり技能をあげたりということもサポートをしていくという上で、会議もおこなっています。4月にリバプールで数百人の若い人たちを教えているダンスの先生を集めましてダンスに関する問題点やグッドプラクティス、どんな慣行をすすめるべきかを話し合いました。平たくいって、われわれの役割というのはユースダンス国中で関わっている人たちの絆を深めてみんなの基準を高めていくということです。そしてわれわれの任務の範囲は、ダンスの種類は問いません。しかし若い人が対象となっています。ダンスのジャンルは問わないといいましたが、大きく見渡してみますと、やはり一番多いのが、コンテンポラリーダンスと呼ばれるもの、クリエイティブダンス、ストリートダンス、ジャズダンス、南アジアのダンス、アフリカのダンスがこうしたダンスが中心となっています。

こうしたダンスゾーンというのは若者には魅力のあるジャンルをまだ先生が教授法として確立していないジャンルであると思うんです。たとえば、バレエについては、長い歴史のなかで、確立されています。ですので、バレエに関しては、われわれはサポートする必要がないわけです。


■ユースダンスに関する問題点

1.  まだまだダンスにアクセスがない若者たちが多

われわれが抱えている問題なんですが、まだ若者の中でダンスにアクセスがない人が多いなと感じています。地方のインフラをつかってもっとたくさんの人に対してダンスに対するアクセスを提供していくことがわれれれのもくろみなんですが、でも農村部などでは、まだまだダンス、とくに様々な形でダンスを提供することとができていないと感じています。

2.ユースダンス=「学校の外でのダンス」というイメージ

もうひとつ、ユースダンスというのは言葉なんですけれども、ユースダンスというイメージが、「学校の外でのダンス」というイメージなんですね。ただ一方で、今政府の方針としては、UKについて全体にいえることなんですが、学校に対してどんどん資金を提供して、教育だけでなく社会部分でも学校の役割をもう少し大きくしていこうとしている。ですから、たとえば子どもたちをもう少し長い間学校にとどめることによって若い両親や共働きの両親が、もっと長い間働けるようにして、たとえば、託児施設などをあまり心配せず、それによって家族の経済状態もよくなって、社会的な地位も高くなるということを目指しているんですが、その間に学校の修了科目だけではなくていろんなことを子どもたちに学ばせるチャンスを与えようというスキームを現在政府が進めているところです。

最近われわれが依頼を受けることがあるのですが、学校との協力体制をもっと深めてほしいということです。学校の先生とダンスの先生をうまくつなげることによって、学校の外のダンスの先生が学校のなかにもっと専門化されたダンスを持ち込めるようしてほしいというふうに依頼されています。子どもたちにダンスを教えることによって、政府は1週間に少なくとも4時間くらいは子どもに運動させてほしいという方針を打ちたてています。実はイギリスでは肥満が大変大きな問題となっておりまして、子どもたちにもっと運動させなければいけないというんで、その一環としてもダンスが取り入れられようとしています。PSAというパブリックサービスアグリーメントというのですが公共のサービスにおける合意ということで、子どもたちに1週間に4時間の運動が義務付けられています。


■これまでの成果が今やっと花開きつつある

私は実はダンスに携わって30うん年になるんですけれども、ここにきて初めて感じるのは、これまでわれわれがダンスの教育とかコミュニティにつなげていこうという努力をしてきたんですけれども、それが今花開きつつあるなと感じています。政府も、あきらかにダンスというものが、政府がかがげている目標を達成するための道具になると認識しつつあると感じます。
ということなのですが、イングランドでは、わたしたちは、今とてもダンスについてはエキサイティングな時期をむかえていると思います。

             

■イギリスの学校におけるダンスについて

国のカリキュラムというのがイングランドでもありますが、ダンスというのは体育の一環として11歳までは義務になっています。11歳以降ですが、そのあとは5つの選択しが与えられまして、そのなかの1つがダンスになっています。学校はダンスを教育の一環として提供することもできます。必ずしも必要ではないですが。ただ16歳のときJCSE、18歳のときAレベルという国レベルの試験があるのですが、その科目としてダンスも取ることができます。Aレベル、JCSEの試験において、ダンスという分野は急成長をとげておりどんどん人気が高まっています。ただ、中学の分野で、体育の先生で高いレベルでダンスを教えられる先生、人材が限られているという問題があります。
ということで、われわれYDEの存在は政府にとって大変重要で、学校と専門のプロとコミュニティダンサーとのかけはし的存在になっています。


■ダンサーと学校(先生)とのかけはし

ダンスを習得するというのは、世界中どこでも共通だと思いますが、ダンスというのは、ダンスは誰かに教えてもらう、そして伝えていくという形で伝承されていくというものだと思います。イングランドにおけるプロのアーティストたちの多くは、教えるということもしています。それは当然経済的な理由でもあって、ひとつの収入源になるから、そして自分の活動を続けていくための経済的な理由として先生をしているのですが、特にわれわれが協力したいような先生たちというのは、若い人たちとか、アマチュアのダンサーたちと一緒に仕事をすることによって、自分のクリエイティビティにもとても大きな影響力をもっているというふうに感じているみたいなんです。自分のクリエイティビティを高めるためにも、アマチュアの人たちと一緒に仕事をすることを大切に思っている人たちがたくさんいます。

特に非常に貴重な存在だと思うプロのアーティストは一体どういう人たちかといいますと、アイデアやアーティスティックプロセスについて、先生としてああしなさいこうしなさいと指示をするような人たちではなく、時間を共有することによって、若い人たちやアマチュアの人たちと協力しながら一緒にみんなで学んでいこうとする態度をもっているプロの人たちです。
つまり民主的なアートとでもいうのでしょうか、みんなアーティストだという考えに基づいているんですね。ですから、その題材ですとか、作品すべてを、誰がオーナーなのかというと、それはプロジェクトを進めているアーティストではなく、そこに参加しているすべての人たちみんなで共有するということが望ましいのです。なかなかそういう人材を見つけるのは難しいとはいいながら、最近コミュニティダンスの運動が高まるにつれて、そういった人材がふえていると思います。こうやって民主的にアートを共有するという形ですすめていくアーティストの数は増えているというのが現状です。


■コミュニティダンスが今に至る背景

 
ここで背景をお話いたしますと、私は草分け的な存在なのですが、ロンドンのバークシャー州という全体でダンスのプロジェクトをしていました。私は最初からつまりはコミュニティダンスの成長というものを見守ってきたわけなのですが、今となっては、コミュニティダンスというのは主流化されていると思うんですね。ダンスのメインストリームといっても過言ではないと思います。昔は、メインストリームとコミュニティダンスというのは別個にになっていたのですが、今では壁は取り払われているというふうに感じます。コミュニティダンスだけで活動しているアーティストもいますけれども、他の領域のダンサーがコミュニティダンスのなかにかなりはいってきているというのが現状です。

もちろん、芸術のための芸術家と、コミュニティのなかでも芸術をしていきたい、コミュニティの中でも芸術をすすめているアーティストでの間の緊張はなくはないのですが、それでも緊張は今だんだん解けてきていると感じます。いわゆる純粋なアーティストと、アートを道具に使っているアーティストの壁というのもだんだん薄れてきていると思います。



■新しいアートフォームを創出するダンス

 
ダンスというのは、実は公の資金を受けるアートフォームとしては最後のものだったんです。たとえば、絵画などのほかのアートフォームが先に公からお金をとってしまって、ダンスというのは、ハイアラーキー、つまりピラミッドでは一番したの存在だったのですが、ですから、たとえば、アーツカウンシルは、ほかのところが優先されて、ダンスは一番最後というところがあったわけです。もちろん非常にバレエ団とかは、異例の存在ですけれども。

そういったことでダンスは他のアートフォームに比べてお荷物が少なかったということがいえるかもしれません。そういう意味で柔軟性を持つことができた。新しいアイデアをどんどん取り入れることができたと思います。アーツカウンシルからお金をたくさんもらっていると、クライアントからの要望が非常に強くなって、あれをやれとかお荷物が増えてきてしまうのですが、ダンスはお金ももらっていないんだから、勝手にやってもいいでしょということで、そういった意味で新しいことがたくさんできたと思います。新しいものを取り入れてきていることに対して、今になって他のアートフォームがまねをしてきているなと思っています。


■いまアートの社会的影響が高まっている

 最近はどこの劇団でも劇場でも規模に関わらず教育プログラムを持っています。子どもたちにアートを施そうという動きがみられますが、アートの社会的影響力がいまどんどん注目されてきて、その影響力が高まっていると思います。労働党政権はアートが社会でとても重要なんだと強調する傾向があって、学校教育を通じて、今まではアートの観衆でなかった人たちもどんどん取り込んでいこうというそういった運動が生まれています。

いろいろな劇場がおこなっている教育プログラムというのは、当然、新しい人たちを取り込もうという意図もあると思います。そして芸術的体験をみんなにしてもらおうということがあると思うのですが、それと同時に劇場がかけている作品とオーディエンスの関係や、作品をを理解してもらううえでワークショップを開いているわけですよね。こういったふたつの全く違う方法によって、新しい観客を芸術に取り込んでいこうというそういった動きがあるようです。


                  

■質問

Q.今日本でも、若い人が学校にいかなかったり、子どもが人を殺すなど悲惨なことがあります。現在、まだ始まったばかりだけれども、私たちは学校にアーティトと行けるようにアプローチをしているのですが、イギリスでも子どもたちの問題があったことによって運動が広まってきたということがあるのでしょうか。

A.そういう傾向はあります。イングランドにはピープルリファーラルユニットという組織がありまして、学校で手のつけられない子どもたちや、学校に行きたくないなど、学校から阻害されてしまった子どもを別の教育機関に行って、そこで更正させるというようなものです。バンキングファンデーションというものがありまして、リファーラルユニットに対する援助、アートの振興というもの、アートの分野での資金の提供をしてきました。私はアートの中でもダンスを特にピープルリファーラルユニットに紹介するということをおこなってきました。学校から阻害された子どもたちをもういちど教育の場に取り戻していこうという動きがあります。

 
ダンスユナイテッドというものがありまして、振付師であるバーンスタインドバリュリュースさんという方がやっているカンパニーです。学校の落ちこぼれだけではなく、刑務所に行くのにはまだ早すぎるような若い犯罪者、少年更正施設ようなところでダンスを取り入れるということもしています。ダンスユナイテッドは、刑務所や少年院でダンスを教えて、効果が絶大だったということで、大変成功をおさめたダンスカンパニーです。映画もできています。ファンデーションフォーコミュニティダンスから発刊されているアニメイティッドという雑誌にも取り上げられていますのでぜひご覧ください。

イギリスの北部のチュシャに女性刑務所がありまして、そこでもフルタイムのダンサーの先生が、女性の服役囚に対してダンスを教えるということをしています。
さらに北部のヨークシャー州のブラッドフォードというところにダンスアカデミーが創設されまして、若い犯罪者に対して、ダンスを踊るのを何時間か義務付けていまして、懲役の一環としてダンスが取り入れられています。
更正施設においてダンスがおこなわれるというのは、どんどん注目をされてきています。


ダンスユナイテッドというところがリサーチもおこなっていまして、ダンスの更正施設に取り入れるということで、服役囚、若い犯罪者の子達のみならず、刑務所そのものの文化も変わってきているというリサーチ結果もでています。刑務所を取り仕切っている偉い人たちが服役囚とどう接するか、や刑務所自体の運営にまでダンスの影響が及んでいます。

Q.ユースダンスイングランドに依頼が増えてきているということだったが、学校から依頼されるのか、それとも政府から依頼されるのか?

A.ダンスがナショナルカリキュラムにはいったのは随分前のことです。私たちの役割として、ダンスを教える基準、先生の水準を高めるという役割がひとつあるわけです。


誰から頼まれているかというのは、政府です。マスコミ省、教育技能省からです。なぜそういった省庁から頼まれるかといいますと、学校から政府に対して、「アートを教えたいのだがなかなか人材がいない」というような問題を政府に持ちかけて、学校が抱えている問題を政府が汲み取って、私たちのところに橋渡しをお願いしますということになりました。

Q.芸術のための芸術家と、コミュニティ活動をしているアーティストの緊張があるということをおっしゃいましたが、コミュニティで活動している人が芸術家になりたいと思っているのか、また芸術のための芸術家がコミュニティの仕事をしたいと思っているのか?

A.お答えとしては、個人によると思います。例としてはランダムダンスのマクレガーさんはもともと小さなコミュニティダンスの出身で、カンパニーを立ち上げて、今非常に人気のあるカンパニーへと発展しました。基本的にはハイアートであり、 そういったこともやっているのですが、それと同時にコミュニティダンスをしている。両立させている方で、ボリショイやロイヤルバレエで振り付けもしながら、コミュニティでも同じように仕事をしています。ファウンデーションフォーコミュニティダンスの役員でもあります。非常に面白い例だと思います。なかには、「私は全くコミュニティダンスなんて興味はありません」という人もいます。

それでも今でも数としてコミュニティも仕事のなかにいれていきたいという人が増えているということがいえるのは事実だと思います。昔はとても2極的で、プロのアーティストとコミュニティのアーティストが全く分かれていたのですが、今は両立している人たちがどんどん増えてきています。昔はお金がもらえるからコミュニティで資金を得て、自分の本当のやりたいアートの資金源にしていた人がたくさんいたが、今は両方を両立させたいという人が増えている。


確かに、究極的に、芸術家というのは妥協をしたくない、自分が満足する作品をつくりたいというのがミッションなわけですから、なかには、自分のカンパニーを持たなくては満足を得られないという人もいますし、なかには、コミュニティに接していくことが喜びなんだという感じている人もいてそれぞれです。ただ、コミュニティで仕事をしていくことが自分のプラスになると感じている人が増えている。ベルギーの○も多様な活動をしている。

Q.どのように地域のオフィスとネットワークを組んでいるのか。

A.契約書がわれわれの中で存在します。それぞれの地域の協力先に対して、この部分を頑張っていきましょうという10の決め事があって、10点について、それぞれのリージョナルオフィスが3ヵ月ごとにわれわれにレポートを出します。どれだけ頑張っているかという進捗状況をみて、お金を出すか出さないかを決めます。また、会議をして、どんな問題があるのか、ということについて話し合って、ナショナルイベントを一緒に計画するということもしています。

 


 

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インタビュー

Antony BowneDirector

Veronica JobbinsHead of Education and Community Development

Alysoun TomkinsDirector of Dance

〔視察内容〕各担当者から活動内容とプログラムの説明を受け、施設内並びにワークショップを見学


 

■ ラバンの特徴

〃築

ラバンの特徴の一つに、ヘルツォーク&ド・ムーロン設計による、ラバンの校舎そのものがあげられる。北京五輪のスタジアムや、テート・モダンの設計で注目を集めるヘルツォーク&ド・ムーロンは、ラバンセンターの設計で2003年スターリング賞を受賞している。

   


 13のスタジオ、劇場(300席)、スタジオシアター(100席)、野外劇場(400席)の他、図書館、音楽スタジオ、カフェ、ピラティススタジオ、健康管理室などを備えている。ストリートをイメージしたという広く開放的な廊下や、館内に描かれた壁画など、建物全体のカラーコーディネートも大胆で特徴的。図書館はコンテンポラリーダンスに関する資料保有がヨーロッパ最大とも言われ、創設者であるルドルフ・ラバンの映像をはじめ、ビジュアルコレクションが豊富に取り揃えられている。一部のスタジオには鏡やバーがなく、普段自分の外見ばかりにとらわれがちなダンサーに、もっと自分の内面と向き合えるようにとの配慮もあるとか。館内の3つの劇場は主に学生の発表の場として機能しているが、海外カンパニーの招聘公演なども行っている。


環境
ラバンの建つグリニッジは、金融街であるロンドンシティーや、グリニッジ海軍学校が程近く、利便は悪くないものの、荒廃した土地柄で治安などがあまりよくない。こうした土地にあえて設置されたラバンは、ダンスやアートが地域復興に役立つという理念に基づいており、政府予算獲得の重要な背景ともなっている。



9餾歙
国際性を重視するラバンでは、約400名の学生のうち約50%を海外からの入学者が占める。
ラバン所属のカンパニー『トランジションズ・ダンスカンパニー』の海外ツアー、施設内の劇場における海外カンパニーの招聘公演や、外国機関とのコラボレーションなど、国際プロジェクトにも力を入れている。

          


■ ラバンの使命
1年コース、3年コース、マスタークラスなど多様なコースを設けてダンサーを育てるばかりでなく、それらのコースを修了したダンサーたちがラバンを通じて得たものを将来なんらかの形で社会に還元できることを目的としている。ザ・ガーディアン誌調査による世界の優れた学校ランキングで、ラバンは演劇・ダンス部門の1位となった。近年、トリニティー・カレッジ・オブ・ミュージック(ロンドン)と合併したが、同校も同誌の音楽部門で第1位を獲得している。両校の合併により、今後更に音楽とダンスとのコラボレーションについて積極的な取り組みが期待されている。


■ スタッフ構成
40名程度の正職員と、200名にも及ぶ臨時職員、プロジェクトスタッフを抱える。ラバンの卒業生や、ラバン所属のダンスカンパニー“トランジションズ・ダンスカンパニー”出身者のほか、世界中から用途に応じて優秀な人材を集めている。


       

■ 資金面について
政府予算のほか、プロジェクト毎に資金を集めるケースが多く、財源は多岐に渡っている。

 
すでに設けられている男女混合の青少年向けのダンスクラスに加え、男子児童のみのダンスクラス。男子児童がダンスと触れる機会を増やし、ダンスを習う男子の数を延ばすことを目的に設置された。日本同様にイギリスでも男性のダンス人口はまだまだ低く、こうした取り組みが将来の男性ダンサーを増やすきっかけとなることが期待される。学校や、男子学生が集まる場所で募集チラシを配るなど、地道に参加を呼びかけている。


■ コミュニティダンス関連のプロジェクト

担当者:ベロニカ・ジョビンス(プロフェッショナル&コミュニティー開発部長)

1)“Dance Captures”プロジェクト
  “クリエイティブパートナーシップ”(学校におけるクリエイティビティー奨励のための資金援助)から助成を受け、イースト・ロンドン・ダンスとのコラボレーションとして実施。子どもたちに2012年のロンドン・オリンピックへの理解を促し、地元として盛りあがるべく立ち上げられた3ヶ月間のプロジェクト。

 ラバン近郊の小学校、イースト・ロンドン・ダンスのあるストラトフォード所在の4つの小学校の8歳〜10歳の子どもをミックスして更に4つにグループ分けし、オリンピックをテーマにしたダンス作品をそれぞれ創作する。

 
本プロジェクトでは、ワークショップ実施に先立って、各学校の先生とプラン立てを綿密に行い、先生が積極的にプロジェクトに係わることを奨励している。ワークショップでは、ダンス作品創作のみならず、子どもたちにダンスカンパニーの変遷などの講義も行っている。


2)ボーイズ・プロジェクト“Pick up the Pace”
 
すでに設けられている男女混合の青少年向けのダンスクラスに加え、男子児童のみのダンスクラス。男子児童がダンスと触れる機会を増やし、ダンスを習う男子の数を延ばすことを目的に設置された。日本同様にイギリスでも男性のダンス人口はまだまだ低く、こうした取り組みが将来の男性ダンサーを増やすきっかけとなることが期待される。学校や、男子学生が集まる場所で募集チラシを配るなど、地道に参加を呼びかけている。

 
平均参加人数:8歳〜11歳(20人)、12歳〜15歳(20人)、15歳以上(10人)

 
参加費用:1クラス 1ポンド(青少年向けワークショップは全て同料金)


※学校とのとりくみに関して※

 イングランドの小学校では、6週間のダンスの授業が体育の一部として義務付けられているため、大半の先生はこうした取り組みに積極的だが、中には「ダンスが何の役に立つのかわからない」といった否定的な先生もいるため丁寧な調整が心がけられる。また、学校側からの要請に応じて、授業でダンスを教える先生のためのダンスワークショップを実施している。より積極的な学校には、ラバンからダンスの先生を派遣、常駐して授業を行うケースもある。
 

◆トランジションズ・ダンスカンパニーTransitions Dance Company)


 ラバンの所属のダンスカンパニー。ラバンのコースを卒業したダンサーを含む、オーディションによって選抜されたダンサーによる、プロフェッショナルカンパニー。高い技術を誇り、世界の著名な振付家による独自のレパートリーを多数持つことから、海外ツアーをする程人気が高い。カンパニー設立当初より教育と実践(カンパニーダンサーとしての活動)が直結した、コンテンポラリーダンスでの画期的なスタイルとして注目を集めている。

 
現在までに3人の日本人ダンサーが参加している。テクニックに加え、ダンス教育法や、具体的な指導プログラムを学習することから、トランジションズを経てラバンの教師になる者もいる。

 
シンガポールで2012年のオリンピック開催地選考会議が行われた際には、候補地のプレゼンテーションの一つとしてパフォーマンスを披露、ロンドン・オリンピック開催決定に一役買った。



【見学内容】

*館内ツアー:スタジオ、劇場、図書館、健康管理室など、館内をくまなく視察

*“Dance Captures”プロジェクトの活動風景を4班に分かれて見学。その後、4組の合同発表会をスタジオシアターで鑑賞。オリンピックをテーマに子供たちが作ったダンスをそれぞれ披露。どのグループの発表も、4つの学校の生徒がシャッフルされたミックスグループとは思えない程、息もぴったりに仲良く取り組んでいる姿に、日本人一堂関心。


*“Pick up the Pace”(ボーイズ・プロジェクト)見学。このクラスでは、イギリスの少年にもっとも身近とも言える「ハリー・ポッター」をテーマにしたという、空飛ぶ魔法使いのイメージで作品を創作中。指導する先生の多くはラバンの卒業生が勤めるが、少年たちにテーマを与え、それを子どもたち自身が膨らましていく形式で作業が進められていく。目立ちたがりの子や、あきらかにふざけているとしか思えない子(後で先生に起こられていた)もいたが、「ダンスは楽しいですか?」という質問には、「ダンスは大好き!ボーイズ・クラスに参加できてとても楽しい」と、どの少年も笑顔で答えてくれた。女子との混合クラスと併願している者もおり、青少年がダンスへの理解を深めるためのプロジェクトとして非常に成功している例と感じられた。

 

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[視察内容] Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。その中から前回の『StopGAP Dance Company』に引き続き、ここでは『Hampshire Dance-Youth Dance Provision』を取り上げる。

     

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。



Hampshire Dance-Youth Dance Provision
インタビュー Director Lucy Frazer

 

地域のさまざまな組織、学校や施設などと手を組みながらダンス活動の普及を行ってきた団体。

イーストリーにある「ザ・ポイント」という場所を拠点に活動。ダンスを中心とした様々なアート活動が行われている施設。サウスイースト、ハンプシャー州を中心としているが、最近ではさらに活動範囲が広がっている。

コミュニティと若い人たちを対象としている。


 【3つのミッション】
 

■ 若者を対象とした「ネクストステップス」ダンスプログラム

2006年3月にスタートしたイギリス南東部で若者のダンスの振興に重きをおいた2年にわたるプログラム。国の機関「ユース・ダンス・イングランド」の地域コーディネータが駐在し、協同で事業を行っている。

まず、プログラムをはじめるにあたり、地域におけるダンスのさまざまなデータベースを実施。地域には121名の学校やアーツセンターなどで教えながら活動するユースダンス・リーダーが存在しており、135の活動グループとクラスが存在。5〜19歳を対象とした様々なレベルのダンス活動が行われている。

この数字から、ダンスに関わる若者の割合が多く、今後の活動に期待が持てる地域と言っても過言ではない。主に、コンテンポラリーダンスに関わる人が多いが、ほかに、アーバンダンス、ストリートダンス、民族的なダンスなども見受けられる。また、障がい者だけのカンパニーや、男の子だけのカンパニーなども存在する。

 

―「ネクストステップス」指導内容

若い世代のダンスグループが希望する、公演開催の実現と、毎年恒例の催しとして継続できること。また、地域のフェスティバルにユースが参加することを奨励している。

 

■ プロとして活動するダンス・アーティストの輩出

自分達でダンスを振興していける人材を育てるため、「ユースダンス・スキーム」という資格を与えるクラスを設けている。また、ダンス活動が続けられるための進路指導なども行っている。

 

■ 新しい作品のコミッション

「サウスイースト・ユースダンス・ネットワーク」をつくり掲示板やメール配信を行っている。

ハンプシャーダンスの取り組みは、地理的に広範囲なサウスイースト地区を包括しており、実際に現場に関わる人たちの意見を随時くみ取りながらダンス活動の振興に勤めている。

<このあとDVD映像で、地域の5つのユースダンスカンパニーの紹介>

      

 
最後に、この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんに質問 

Q 1: この南東部で特になぜ多くの若い人がダンスに取り組んでいるのか

Jemmy ) 歴史的にユースのためのリーダーが存在していた、という点が大きい。リンダ・ジャスパー(ナショナルエージェンシー、ユースイングランドのDirector)南東部でインフラを改善し、興味を集中させるインフラ作りを行ったことが功績として大きい。

 

Q 2: ダンサーは生活できているのか?また、同じ地域で多くのカンパニーが存在し助成金など資金調達の際に競合しないのか?

Jemmy )イギリスのダンサーはMixed economy(複数の収入源で生活を成り立たせている状態)のうちダンスそのもの(公演、学校等で教えること、コミュニティダンスでの収入)から収入を得ているものが大半である。

   一方、大学やダンサー養成学校を卒業しても、ダンサーとしてのキャリアがないので生活の安定を得るため学校で得た資格等を活かし他の職業につく人も多い.

  アーツカウンシルなどからの資金調達に関する競争では成功率は約60%程度。南東部は協力体制が整っており、「インフラグループ」でダンスにかかわる問題について3カ月に一度程度、話し合うグループを作りサポートしあっているほか、各カンパニーの差別化を図りユニーク性を打ち出し、ターゲット層を別に持つことで競争を置きにくくする工夫を積極的に進めている。

 

Q 3: 練習会場がない、という話があったが、会場獲得のためにはどんな方法をとっているのか?

Jemmy )以前、アーツカウンシルに建物のインフラ拡充を行うための“キャピタルプログラム”があった。例えば学校にダンス専用の場所を作りプロにも使えるようにしたり、地域大学との連携により教室が空いているときに他のカンパニーがWSなどで使えるようなダンスプログラムを実施したりしていた。

 今ではProject Found がかわりにインフラ開発を行い、ブライトンにスタジオを設立するため、地元当局、経済局、開発庁などにも働きかけダンスの効果について訴えている。

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[視察内容] Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。その中から、ここでは『StopGAP Dance Company』を取り上げる。

    

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。


 

StopGAP Dance Company
Ms.Denise Woods, General Manager/Ms.Vicki Balaam, Artistic Director

  

■ メンバーとカンパニーの特徴

4人のダンサー、アーティスティックマネージャー(10年のキャリア)、ジェネラルマネージャー(2年)、コミュニティ部門担当のアーティスト1名によるカンパニー。2人のマネージャーは「ダンス開発」を行うためカンパニーに加わっている。カンパニーの大きな特徴は、英国唯一、ダンサーに学習障がい者・身体障がい者・健常者を含むダンスカンパニーであること。自分たちのダンスを「統合的ダンス」と呼ぶ。カンパニーのミッションは「ダンスという媒体を使い“統合性”を見せ付けることができるか、また“皆で統合すること”にどんな効果があるかをアピールする」という点にある。

  

■ 作品

作品制作にはイギリスをはじめ国際的なコレオグラファーと協力している。(最新作は別々のコレオグラファーによる7つのセクションに分かれた作品。アップビートの作品にも挑戦している)作品づくりの上での目標は「楽しく親しみやすい形であること、創造性や芸術性、技術性においては“これでいい”というところに挑戦していくこと、つまり新しいことを開発してゆくこと」に情熱を注いでいる。

 

■ 教育プログラム

4人のダンサーが教育プログラムにおいてもチームを作成し実施。10年ほど前から教育プログラムを行い内容は充実している。昨年は教育的ワークショップに英国で1,420名が参加し、このうち920名が障がい者であった。ダンスの経験や技術力は問わず、子供から高齢者まで、いろいろな人を対象にしている。専門集団としてストップギャップのワークショップでは動きが制限されている人々(身体障がい、視覚障がい、聴覚障がい、またコミュニケーション能力の障がいなど)への対応も可能である。障がい者と健常者を混ぜ、モットーとしているのは「既成概念を取り除くこと、バリアを取り除くこと、そして安全な環境の中で自分の自信を取り戻しクリエィティブな考え方を持ってもらうこと」また「若い人にコレオグラフィー(振付)のチャンスを与えることで個人は異なることを認識させ互いに尊重することを教える」ことである。

  

■ 活動の広がり

 教育的プログラムは学校や障がい者施設、特定の地域などで実施し、ひとつの地域で5〜6種の組織と組み同時にいくつものプログラムを実施することもある。活動の中で大切にしているのは、一回訪問して去って終わり、ということでなく、できるだけLegacyを残すということ。地域の先生などに情報や技術を教え、自分達がいなくても活動が継続できるように心がけている。公演についても同様。いかに人々に覚えておいてもらえるか工夫を凝らす。若い人や障がい者の発展を目ざすとともに、障がい者へのダンス指導員の育成やダンサーの技術養成にも力を注いでいる。障がい者と健常者を交えた“Integrated youth Company”の設立とサポートも行う。現在、スウェーデン政府から資金をもらい、スウェーデン北部で“Integrated youth Company”を設立するプロジェクトにもかかわっている。

  

 

■ 特徴
 
StopGAPの特徴は、技術面のみならず、携わる人々、観客すべてに感動を与えること、その心に触れることができるということにある。障がい者と健常者が共に存在する“統合性”でどんな効果があるかを示すことができ、かつアピールすることに成功しているカンパニーである。ダンサーが社会の規範(ロール・モデル)になるということを見せることができる。

 

※この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんへのインタビューは、次回の報告で掲載します。

 

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 インタビュー Christopher Thomson氏
 (
Director of Learning and Access, The Place)   
 
 〔視察内容〕施設見学の後、活動内容とプログラムについて説明を受ける

 Placeは大きな組織だが、特にアウトリーチ・教育の部分に焦点をあてて活動している。
 
基本的な5つのプロデューシング部門がある。
 1.劇場  2.学校&教育 3.アーティスト育成・開発  
 4.リチャード・アルストン ダンスカンパニー 5.ラーニング・アクセス

 この5つの各々が公演を開催したり、開発事業を行う等、それぞれが協力して活動している。


■ プレイスの施設案内ツアー 

 (施設を回りながら説明を受ける。)
 

 プレイスの古い方の建物は、元軍の鼓笛隊などの芸術訓練所として使用されていた建物で、アーティスト・ライフルという劇場、教育、アーティスト開発部分として使用している。
新たに2000年に建てられた建物は、学校・スタジオとして使用。数百人の若者が週末や夕方クラスに通っている。1週間に大人のクラスが23、子どもクラスが14-16、夜8時から10時までは資格をとるクラスが行なわれている。
 
アーティスト開発については、アーティストの技術的な部分の向上はもちろんのこと、どうすればアーティストが生計を立てられるようになるか、にも取り組んでいる。クリエイションの為にスタジオを開放したり、作品についてアドバイスをするなど、創造活動についても積極的な取組みを行なっている。
 
 
金銭的なサポートしてくれるスポンサーに対しては、充実したプログラム実施日に、実際にスタジオに見学に来てもらうようにしている。どのような活動がプレイスで行なわれているか、ということをスポンサー自らの目で見てもらい、より深いプレイスの活動に対する理解を促す努力をおしまない。
 
新しい建物のスペースを使って3つの目的を果たすプログラムを立案している

/局娚惺察´▲廛蹐凌局娉藩僉´コミュニティ教育
合計で、1500時間のクラスを行なっている。政府がプロ対象でなくコミュニティへのアートの推進を奨励しているので、この新しい建物もコミュニティを対象にしたプログラムを行うことで、資金援助を得ている。例えば、月曜は子どもたちが放課後に来てダンスを行なえるよう開放したり、10人くらいの中規模のレジデンシー・ダンスカンパニーが使用するなど、様々な種類の使用方法が実施されている。アーティスト開発のクラスでは、カンパニー、一般のクラス、土曜は子どもの為にそれぞれ使用されている。又、レジデンスカンパニーが一般の人や子どもに教えたり、日曜はカンパニーメンバーが才能ある生徒にクラスを開いたり、人材育成としてのクラスも多く行なっている。
 
プレイスのレジデント カンパニー
カンパニーの主宰者リチャード・アルストンはプレイスのアーティスティック・ディレクターで、取締職の立場。彼にお金を払ってカンパニーをつくってもらった異例な事。任期はないのでカンパニーは変わらない。ユースダンスカンパニーに作品を振付けるなど、プレイスでのプログラムと連動しての活動も行なっている。
 
* プレイスは、このように広い意味で、一般の人からプロのアーティストまで広い幅で、協力体制で活動を行っているのが素晴らしいところ。

 
■ プレイスの教育活動に関して−教育部門−


 
イギリスではオーソドックスなプログラム。ダンスを皆に認識してもらう為には、学校の中でカリキュラムとして取り入れられなくてはならない。そうなると試験が必要になってくる。そこで試験勉強用に、振付家や作品について学べるWEBサイトを製作。15歳から18歳を対象としている。
また、試験勉強の為に実際にワークショップを行い、レパートリーやクリエイティビティを学び、劇場でパフォーマンスを鑑賞するというプログラムもある。国全体のプログラムとして、多くのカンパニーが同じようなモデルケースを使っている。学校で半日〜1日テクニックのワークショップ/クリエイティブ プロセスのカリキュラムを組む。作品について学び、語り、教育的であるが、皆で楽しめるワークショップになっている。

 エイミー・ブラウスさんは、プレイスの生徒だったが、カンパニーに入り、ワークショップでの指導者となっている人物。先生を助ける為の映像・ディスカッションなどの教材としてDVDを製作。DVDは、作品を全編通して鑑賞/リハーサル/振付家が作品の意図などを語る、等それぞれのコンテンツがある。学校がダンスを授業で取り入れる為に、教育者用にサポートするという意味でこのようなものを製作している。また同時に我々のカンパニーに対するオーディエンス開発という一環でもある。
 
○理科のプログラム
 ダンスが地理や理科を学ぶ助けになる、ということを政府に提言する為にそのリサーチを行った。ダンスの要素を使って理科を教えるワークショップを、教師を対象に京都と横浜で行なった。動きを取り入れた授業を他の科目でも取り入れていくことを推進し、色々な形のダンスをプロモートしようとしている。正式な教育にダンスが取り入れられたことで、ダンスの振興が広まったと言える。ダンサーとして訓練を受けていない先生達に、シンプルなダンスを教えられるような教材をつくった。例えば、理科の授業で虹の説明をする時、ダンスの動きを使う。小学校の先生に動くことに自信をもってもらう為、ダンスは怖くないのだよ、ということを知ってもらうワークショップを行なっている。WEBサイトから教材を買うことができる。
 
 
 ■シアタープログラムについて


インタビュー Helen Shute女史/ Programming Associate 

劇場のプレゼン/アーティストの育成・教育/日本のアーティストの招聘
2006年まではシアター部門とアーティスト開発部門に分かれていたが、06年1月に合併してひとつになった。アーティストをプロとして育成し支える。そのあかつきには実際に劇場で公演してもらおうという流れをつくろうと思った。

 
レゾルーション
毎年1月と2月に6週間に渡り19年間ずっと継続して行っている。日に3つのプレゼン、合計100作品を紹介。対象者は新しい人材、プロとして始めてプレゼンをする機会をあたえるということ。ジョン・アシフォードと私が毎日このレゾルーションを観て、コレオドームやプレイス賞に参加してほしいと思う新人に声をかける、言わば登竜門的なプログラム。選考の条件はシンプルで、男女比やどこで教育受けたか、などのバランスで決めている。
 
コリオドローム
2007年夏に実施。奇数年に行っている。夏休み期間は学校がないので、クリエイション/リサーチの為に、スタジオをプロに開放することができる。これまでアーティストに何のプレッシャーもなく、自由にワークしてもらっていた。実験的な作品をつくってもらったり、初めての試みだったり、自由な活動の期間だったが、今年は<タッチウッド>という運が続くようにというゲームから名づけたプログラム名を付け、クリエイション/リサーチの結果を公の前で公演してもらうワークインプログレスの試みを始めた。このタッチウッドの発表を経て、劇場が今後の可能性がありそうな人を探す場としている。今年の試みとして、カナダやイスラエルから国際的な振付家を招聘し、マスタークラスを計画している。
 
プレイス賞
偶数年に実施。夏の間20カンパニーに15分の作品をつくってもらう。10日間の期間にコンペを行い、観客の投票で1晩1,000ポンドの賞金をつけ、総計25,000ポンドの賞金を競う。ここで勝利を得た作品は、全国に巡回公演を行なったり、今後プレイスとして発展させていく対象作品となる。賞金はプレイスのスポンサーから提供。プレイス賞への申込みは、約200件。申込み者はどういうことをやりたいか、アイデアを示すものをスピーチ・美術・絵画などで表現した3分の映像を送る。その映像を30人のヨーロッパのパートナーに送り、上から40人を選び、選出された者は30分間のプレゼンを言葉・ダンス・映像などで行なう。その中から最終的に、4名の審査委員により20組を選出する。
 
フレッシュ
教育部門とシアター部門の協力で、毎年12月に行っている。若いパフォーマーによる1作品10-15分の作品を上演。10代の若者が主な客層。この<フレッシュ>で、学校の卒業生がプロとして初めてプレゼンを行なうことになる。
 
 
ターニング ワールド
来年は日本にフォーカスを置いている。新しい振付家をイギリスに紹介するというのが目的。日本では知られているが、国際的にはまだ知られていないアーティストをイギリスで紹介するのがこの主目的。皆さん是非、どういうアーティストが良いか紹介してほしい。今後皆様と引き続きEmailなどでやりとりして、どういう方法があるか(予算+人選を含め)探っていきたいと思う。イギリスから日本にも紹介したいと思っている。
 
Q:どれくらいのクラスのアーティストを招聘したいか?
A:まずは作品ですね。いい作品をつくっているアーティストを呼びたい。プレイスが興味を持てる作家ということになる。イギリス内の振付家の場合は、新進気鋭の若手をプロモート、海外からのアーティストを招聘する場合は、今後国際的に活動していくであろう可能性が見える人をターゲットにしている。
 

■ 学校部門について

インタビュー Veronica Lewis女史  MBE Director/学校部門ディレクター 

プレイスは自分にとって素晴らしいところ。昔私は、学校をさぼって遊びにきていた。音楽一家に育ち音楽には恵まれた環境があったが、私はダンスをやりたかった。1950年代60年代というのはイギリスのダンス暗黒の時代といわれている。ダンスは、体育の一環としてスポーツという捉え方。音楽とか美術は素晴らしい環境が既に確立されていたが、ダンスは認められていなかった。だからダンスに対する皆の考えを変えたかった。やはりアーティストであれば、自分がやっているジャンルのアートを人々と共有したい、という責務を追っているのではないか。若者、一般の人、年配者、ダンサーでない人、誰もがダンスを共有しなければならないと信じています。私は40年かけてクリスと一緒に、最高の質のダンスを、最高のかたちでレベルを保ちながら人々と共有できるように努めてきました。
 
30年前イギリスにおいては新しい運動が生まれまして、教育の場におけるダンスの教授法、そしてトップレベルにおけるダンサーの訓練が変わった。今は既にシステムが確立され国中の若い人に、ダンス教育を与えられるようになった。自分の家から2時間以内に、最高のダンス教育が受けら場所をつくらなければいけない、という政府の方針ができた。プレイスはその主導権を握っていると思う。実際的にプレイスでは、5歳から誰でもクラスを受けることができる。地元の子供たちに対して、また10歳以上は南部全体から子どもたちがオーディションを受けてプロジェクトに参加できる。一部の大人や子どもにとっては、ダンスというのは娯楽の一環であると思っている、そういう考え方はそれでかまわない。クラスに来るかもしれないし、劇場に来るかもしれない、そういうことに繋がるからです。ですから、この部分の層に関しては年齢やテクニックは問いません。
 
それ以外の子どもや大人にとって、ダンスがもっと人生の中で重要な活動として捉えている人にとっては、集中的に訓練する場をプレイスは提供しなければいけない。10歳以上の子は日曜にここで訓練を受け、自分の家でダンス教師から訓練を受ける。日曜、クリスマス、イースターなどの休暇には集中講座もある。テクニックバレエ、コンテンポラリーダンス、他の創作、レパートリーも習う。身体に損傷をきたさない為に専門家のケアもある。また個人個人にアドバイス・宿題など与える。プレイスで訓練している限りはいろんなリソースがあり、人材も豊富。カンパニーやバレエ・コンセンバトワールの先生に教えてもらうなど、本当のプロのダンサーたちに触れる機会がある。アーティストにとって、自分のテクニックを共有するという技能、アーティスト訓練を行なう。10歳から54.5歳までどんな人でもアートに関わるように心がけている。
 
プレイスというのは、例えて言うならば大きな木のようなもの。根から栄養をくみ上げ、幹の部分はアーティスト。そこから先の葉、花はひとつづつ違う形になっている木を想像してください
幹の部分のアーティストは、3年間のコンセンバトワールを卒業するとMBEがとれるようになっている。生徒はイタリア、韓国、フィンランド、アメリカ、ハワイ、イタリアなど各国から来ている。年間40人しかとらないことになっているが、申しこみはそれに対し1300人。卒業後、修士課程、博士課程もある。若いダンサーにとっては、資格といういものは、どうでも良いが両親にとっては必要だし取ってほしいと思っている。
 
最初の話にもどると、プレイスの中で一番大切なのは何かと言うと、我々が生活している文化の中でダンスというものと向き合って、一緒に生きている人たち=ダンサーとその周りの人の生活を豊かにすること。その為にはアーティストを訓練しなければならない。アートに対してはっきりとモノが言える人たちに育てていくこと。そしてそのアーティストが、自分のアートを皆と共有できるように育てていかなければいけない。アーティストとは、ダンスが上手いこと、他の人に教えること、他の人との関わり方、これ等に対して雄弁であること。そういう人材を育てなければいけない。
ダンスは雨の日にやる課外活動ではない、我々の子供たちには良いダンスができる機会を与えられるようにしたい。
 
Q水野:イギリスにはいろいろなダンス学校が多くありますね、有名なラバンセンターも含め。例えば、プレイスとラバンでは、随分雰囲気が違いますが、各学校のオリジナリティはどのように意識されて運営していらっしゃいますか?
A:私たちは、私たちの最善をつくしてやっています。世界には多くのダンス学校が必要なので、各自の生徒が自分にあった学校を選びます。私たち学校は競争相手としてではなく、協力してやっていっています。ラバンとプレイスの違いとして、プレイスとしてはアーティストの環境は小さく留めておきたいと思うから、小規模にやっている。40人しか生徒を受け入れないのは、それが私たちが考えるアーティストを育てる環境として、一番良い規模だと思うからです。
最も強いところは、子供、若いアーティスト、プロとして活躍しているアーティスト、それぞれが双方向の関係を維持していること。ご覧のようにカフェでは、いろいろな層のアーティストが同じ空間にいて、刺激しあっています。ただのダンス学校ではなく、プレイスは世界で一番素晴らしいところでもあり、時には一番いやなところでもある。それは、学校・劇場・子供の教育と各セクションが共存していかなければならない。もし学校だけだったら自由に私の好きなようにできるけれど、それぞれが、協力共存しているところが素晴らしい、と思うのです。
Q佐東:質問ではないですが、お話しを聞いて日本はまさにダンス暗黒の時代だと思うので、これを機会に変えていきたいと思います。
A:自分たちもまだまだ完璧だとは思っていません。これから、学ぶことがたくさんあります。
Q三上:先ほどおっしゃったように、各セクションが交渉をして協働してやっていけるようなアートアドミニスレーターをどう育てていますか?
A:私はアドミニスレーターとダンサーというように分けて考えていない。言えることは、リーダーになる為にはダンスに対して情熱を燃やしている人材でなくてはいけないし、ダンスが人の人生をいかに豊かにするか、ということを本当に信じている人でなくてはいけない。つまりは、クリスさんも私も、ダンス畑でずっと育ってきた。イギリスにおいてダンスのリーダーは皆ダンサーです。アドミニスレーターの人間としてできることは、若い人に素晴らしいダンスをみせること。
Aクリス:ダンスの訓練を大学で受ける若い人が沢山いるが、卒業後、振付家としては、続けていかないと思った場合、つまり、自分の振付家としての才能はここまで、と思った場合ですね。そういう人たちは、ダンスのことを理解しているし、情熱はあるし、アドミに転換することもある。この人たちが私たちの貢献者になれると思っています。
         


 
 クリスさんへの質問


Q佐東:1週間いろいろなコミュニティダンス(CD)の知識を得ることができたと思いますが、最終的に日本でCDを紹介したいと思うが、具体的にどういうカンパニーが良いか相談したい。
Aクリス:ロールモデルになるような人に来日してもらう。イギリスと日本の文化、教育の違いはあるが、CDの模範となるようなアーティストから刺激を受けることは重要なこと。25-40年かかるプロセスが縮まるかもしれない。
Q水野:日本においてアーティストがCDの根源的な意味や、ダンスの活動を通じて社会に還元していきたいと思う意識を持たす為に、要はアーティストが個々の作品を創ることだけでなく、世界観や行動を広げる意志を持つようにする為にどうすればよいか?私たちオーガナイザーがすべきことは何か?
Aクリス:それは20年、25年かかること。アーティスト自身の自分に対する見方を変えていかなければいけない、非常に複雑なプロセスである。そのプロセスとは、今ダンスの世界は広がっていて、ダンスはダンサーだけのものではなく、子どもや高齢者、障害所も含めて捉えなければいけない。ダンスの世界自体が大きくなっているということを理解しなくてはいけない。ダンスを教えるということは、ダンスが上手いから教えるのではなく、自分自身のパフォーマーが豊かになり、自分に還元されるということを叩きこまなくてはいけない。若い人、子どもたちと一緒に仕事をすることは、教えれば結果的に経済的なチャンスに恵まれ、お金が入るということになる。また、振付家として多くの人と仕事をするという事は、作品を創る上で実験的な試みができる大きな機会になるということ、公演の期間だけでなく、年間を通じてダンサーとして活動できる機会を得ることに繋がっていく、こういったことを叩き込んでいくプロセスです。
  
    先ほど25年といいましたが実際は40年くらいかかっているかもしれない。大事なのはロールモデル模範になるような、ああいう人がいるから、ああいう人になりたい、というような憧れの対象となる人の存在、その必要性が大事。又、25年前CDの分野における訓練施設が多くできたことで、状況に変化をもたらした。施設を増やすということも、きっかけになるかもしれない。
Q大野:日本の各地域の公立ホールは芸術監督が不在のところがあるが、そのような公共ホールが、プレイスが行っているようなCDを普及していく為の方法論は?どういった役割が果たせるか?プレイスはどういった役割をしているのか?
Aクリス:プレイスはひとつのエージェンシーの例。いろんな人の為にいろんなことを提供しています。子供や振付家の為のクラス、作品創作クラス、など。各地域のホールはスペースがあります。ダンスはスペースが必要です。そういった意味で小さなエージェントとして、ダンスの振興に役立てるのでは?その為にには相応しい公演をやらなくてはいけないし、相応しいクラスをしなければいけない。この相応しいとは何か?と言いますと、観客が何を欲しているか、観客がどういった形で参加を望んでいるのか?という声に耳を傾けること。そうすれば、公共ホールはエージェンシーになれるのではないか。どんなスペースでもダンスに相応しい。ダンスは皆のものであるということが重要です。
Aヴェロニカ:一番大切なことは参加する人達、観る人達が何に興味があって、何をやりたいのかということ。一方で私たちが私たちとしてやりたいこと、興味のあることがあり、この2つを擦り合わせることで、何か新しいことが生み出せるのではないか。
   ごく最近ですがわが校の3年生ですが、高齢者の集会所でパフォーマンスを行い喝采を受けた。今度は高齢者が立ち上がってダンスを披露してくれた。この双方向に感銘を受けました。
Aクリス:20-25年の経験を通じて大変重要だと思うのは、皆さんは我々が25年前歩んできた道を歩み始めていると思います。アーティスティック・ディレクターを育てることは可能です。日本でも若い人で訓練を受けている人、CDの重要性を理解してくれる人は必ずいると思う。CD出身で今は国際的にカリスマ的な存在になったウエィン・マクレガーさんのような人もいます。彼が高いテクニックを持っているから、人々が耳を傾けるようになった。こういった可能性を秘めている人材を育成して、アーティスティック・ディレクターを育てていくような働きかたをすることは可能だと思います。
Q井手上:今、日本では学力重視の教育方針が先行し、アートを教育の中に入れていくことが難しい状況です。その中で私たちがしなければいけないことは何でしょうか?
Aクリス:今言えることは、我々皆が同じ問題に直面していて、万能薬はない、ということです。
          しかし、小さく始めて考えは大きく持つことが大事。いずれはこうしたい、という野心を持つこと。
活動を皆に認めてもらい、将来的にグローバルに世界的に広げていきたい、という視点を念頭に持ちながら、まずは小さいところから活動することが大事。
政府に芸術に対してお金を出してもらおうと思ったら、国民が芸術を欲しているのだ、ということを政府に見せつけないといけない、それしかない。例えば、経済的効果がありますから、とか、倫理的に大事ですから、などは事実ですが、そういう言い方では難しいです。国民が心の底から芸術を欲している、ということを認識させて初めて政府のお金が出る、ということです。もちろん、国民が欲しているから、という言い方は政治的圧力になる分、それに対する証拠や数字が必要になってきます。
また同時に、いろいろなアプローチでいろいろな言い方で、説得していくことが大事。アートは経済効果がありますよ、とか、個人の学習能力にも良いですよ、とか、保険健康に役立ちます、楽しいから、創造力を培うのに良いから、など。いろいろな言い方で伝えていくことが大事。
それから組織として、例えばJCDNのような組織としての機能で、“ダンスが素晴らしい”という働きかけを政府に話をしていくこと、働きかけをすることが大事。アーティストは自分たちの声を発することができないので、それをまとめるような組織としての役割を担うこと。大きな括りで、“ダンス”の世界として、ひとつのメーッセージを声として皆でシンプルにして伝えていくこと。いろいろなダンスの種類があるが、政府に訴えかける場合、細分化(バレエ、フラメンコ、ハワイアン、モダンなど)しないで、大きくダンスとして声をひとつにまとめる方が効果的です。
 

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2007年ブリティッシュカウンシルのサポートを受けて、英国のコミュニティダンスの視察を、日本の公共ホールのダンスの担当者の方々と行ないました。先日発行しました「コミュニティダンスのすすめ」にも一部掲載していますが、その全文と、お会いした方々へのインタビューをシリーズで掲載していきます。

 
インタビュー Ken Bartlett氏
(Creative Director, Foudation forCommunity Dance)

   
 
〔視察内容〕 理念や活動内容、活動成果についてクリエイティブ・ディレクターのケン・バートレット氏によるプレゼンテーションがあり、あわせてDVD鑑賞を行った。

1986年に創設された、イギリスのナショナル・ダンス・エージェエンシー。コミュティダンスの開発・振興を行う。メンバーシップ・オーガニゼーションで、世界中にメンバーがいる。
 
■‘everybody dances’ ――ダンスの既成概念を広げる

ダンスの生態系の中で、コミュニティダンスはイギリスの中でもある意味ユニークといえます。世界中で同じような価値観・目的を持って活動するアーティストや組織はたくさんあります。
まず、私の友人ブッシュ・ハートソンさんのお話をします。
彼はつい最近までヨークシャーダンスのアーティスティック・ディレクターをしていました。ヨークシャーダンスは、イングランドにある10のナショナル・ダンスエージェンシーのひとつで、プロの育成、アートとしてのダンス、参加型のダンスを皆に広めていくというミッションをもって活動をしています。
 
ヨークシャーダンスのモットーは「‘everybody dances’ みんなダンスをする」ということです。
非常にシンプルなフレーズですが、「人とダンス」「ダンスと人」という深い関係が、うまく示されています。「みんなダンスをする」「みんな踊る」という意味なのですが、everybody という言葉を二つに分けて‘every body dances’ とすれば、「からだひとつひとつ、それぞれの体がダンスする」という意味にもとれるのです。西洋にはどうしても、誰がダンサーで、どういう人がダンサーになれるのか、という概念があると思いますが、このフレーズ‘every body dances’は、そういった概念を覆す、深い意味を持ちうると思うのです。
 
そしてそのダンスの輪の中に誰を含めるのか、ダンスを通じてどんな声を発するのか、どんな物語を皆に伝えるのか、といった点でも、今までと違う考え方ができるのではないかと思います。また、どんなダンスを作りたいかを考える上で、どんな身体をその中に含めていくかということも違ってきます。我々の文化における「ダンス」に対する美的感覚・概念も広げていけるのではないかと思います。そして、これまで「ダンス」というと、先生と生徒がいて教育の一環で「こうしなさい」といって教えられてきた
歴史がありますが、それももっと調整していいのではないか、と私は思います。
 
イギリスのコミュニティダンスでは、こうした既成概念にチャレンジしようという動きが30年間ずっと続いてきて、プロジェクトになってきたと考えています。
 
■ Foundation for Community Danceの設立―アーティストから組織へ

私は、コミュニティダンスに携わっている人間はみな、「どうやってダンスを作っていくか、どうやって皆に広げていくか」という上で、新しい方法があるに違いないと思っていると信じています。
これまで、どうしてもダンスから疎外されてきた人々が存在すると思います。経済的・社会的・文化的・教育的理由から、ダンスは自分とは遠い存在だと感じている人がいると思うのです。ダンスアーティストの中には、70〜80年代の市民権運動と自分たちの活動が似ている、と感じている人が多いと思います。例えば男女の差、同性愛の差別をなくそう、黒人の権利を認めていこうという運動等です。
 
 
そして新しい世界をダンスを通じて作ろうと思っているアーティスト達がいます。個人・少数民族・あるいは文化の違いを尊重して、例えば宗教・人種・性別・生涯・経済的、教育的バックグランドでたくさんの差別をされている、そのような人たち皆を、ダンスの輪に組み入れていきたいと考えている人たちです。ダンスという芸術の神話をうち破ろうとしているアーティスト達です。
ここでドイツのブレヒトの言葉を引用したいのですが、「異例なことを通常な人にもアクセスができるようにし、通常な人が異例なことをできるようにする」、このコンセプトが非常に重要だと思います。
 
こういったアーティスト達が長年活動を続けてきて、もっと協力をしなければならないという概念が生まれたことから国全体の組織にしようという運動につながり、Foundation for Community Danceができたわけです。そして、これまで述べたような活動を支持していくことになったのです。
 
■ コミュニティダンスの成果

1986年、ファンデーション・フォー・コミュニティダンス発足当時は、そういったアーティストは15人程度しかいませんでした。21年後の今、コミュニティダンスにプロとして携わるアーティストは、5000人に増えています。
実は、2000年にイングランドにおけるコミュニティダンスの地図作りという統計をとったところ、500万人のダンスアーティストが7万の様々なイベントに参加して、観客は一千万人にのぼるということが分かりました。
同じ年、イングランド・アーツカウンシルが補助しているダンスカンパニーによるアートダンスを観た人たちは、140万人でした。コミュニティダンスの観客が一千万人というのに対し、数が非常に限られていたわけです。
他にも、コミュニティダンスに参加している人の年齢は生後6ヶ月から93歳までであること。様々な障害を持った人、そして農村部・都市部に関わらず非常に重要なアート活動の一環になっていること、イギリスは文化的に非常に多様なのですが、そういった人たちもみなひっくるめてダンスという共通の趣味を持っていること、社会的に疎外されている組織・グループや個人もコミュニティダンスに携わっているということが分かりました。
そしてまた、教育・保険・社会サービス・刑務所等の公正施設との連携もとれていることが分かりました。例えば、様々な国・地域の文化施設での活動のみならず、刑務所・ユースコミュニティ・学校・老人ホームなどでコミュニティダンスが取り入れられています。
 
そしてコミュニティダンスはイギリスにおいて、かなり成果を上げています。
イギリスは南アジア・アフリカ系の住民が多いのですが、その人達のダンスもコミュニティダンスを通じて、この国の中でかなり発展しています。また、もともとはコミュニティダンスでプロとして始めたダンサー・振付家が、今とても有名になって活躍しています。身体障害者を交えたダンスもコミュニティダンスの中ではかなり振興していて、現在国内に25のダンスグループが存在します。身体障害者がグループを率いているケース、あるいはそのグループの中で実際にダンスをしているケース、いろいろあります。また、障害の種類も様々で、学習障害・目が見えない人・耳が聞こえない人など、様々な人がダンスに参加しています。
この国では国・地域・もっと小さなコミュニティベースのエージェンシーがたくさんありますが、全体として、包括的にいろんな人たちを自分たちのダンスに組み入れていこうという姿勢を拡大しつつあります。またコンセルバトワール等の演劇学校・ダンス学校に通っている人の大半は、コミュニティダンスから入っています。そういうところにも影響しています。
 
■ コミュニティダンスのアプローチを活かす

新進気鋭の人も、すでに評価が確立されている人も、今たくさんの振付家がいますが、コミュニティダンスのアプローチを自身の作品づくりに活かしていると思います。ダンサーに自分の振り付けを押しつけるのではなく、ダンサーといっしょに振り付けを作っていくという、非常に民主主義的なアプローチです。
イギリスの公立学校では、ダンスが14歳まで義務としてカリキュラムに入っているのですが、これを支えているのもコミュニティダンサー達です。そして若者の中でダンスが広まっているのですが、学校形式の「習うもの」ではなく、コミュニティダンスのアプローチが受けています。また、高齢者をいっしょにカンパニーに入れてダンスを楽しむ傾向が強まっており、世代を越えたダンスカンパニーが増えているのですが、これが社会のつながり・絆に貢献していると思います。
コミュニティダンス・アーティストがこれまで培ってきたアプローチは、刑務所などの更正施設でも重要視されるようになり、例えば犯罪者や犯罪を犯す危険のある人のリハビリにも、大きく貢献しています。
 
■ 重要なのは、アートとしてのダンスを作り上げるプロセス

今私が述べたことでみなさん気がつかれたと思いますが、アートが手段としてではなく、クリエイティブなプロセスであることが非常に重要なのです。

 
コミュニティダンスにおいて、一つの手段としてダンスに参加するということは、大きな意味があるとこれまでずっと言われてきました。例えば大局的に、あるいは学習能力が向上するとか、そういうことを助ける道具・手段としてダンスが使われてきました。そして、コミュニティの中で個人の感情的・精神的・身体的・社会的にも改善をみることができること、また何らかの健康上の問題があったときに、それを改善することができる――例えば肥満・心臓欠陥症の問題にも、ダンスはいいよと言われてきたわけです。
もちろんこういった効能が重要であることは私も認めます。でも、それはアートが手段・道具だからというよりも、アートとしてのダンスを作り上げていくという、そのプロセスが非常に重要だと私は思うのです。
 
まず、ダンスを始めて一生懸命練習し、卓越した技術・技能を身につけたいという向上心、自分にできないことではなく、できることは何かをつきつめて、それに向けて努力すること。そしてダンスだけではなく、それを一緒に作り出す人に対しても注意を払うということ。ダンスというものはいったい何なのか、そしてそれをどうやって作るべきなのかということに対してダンサー自身が発言力を持つこと。そしてダンスをどのように観てほしいか、ダンスを見る人はどういう人なのかということについても、ダンサーが自分の声を反映できるようにすること。ダンスのビジョンと目的を達成する上で、実際にそれが成功したのかそうでなかったのかについて、批判的な眼で自身の作品を見ること。そして最終的に、目的を持って身体を動かすことで喜びを味わうこと。
それが非常に重要であると思います。
 
 
■ 最後に・・・

リズ・ラーマン(アメリカのダンスアーティスト・振付家)の言葉を引用して、最後にしたいと思います。
 
昔は人々が踊りを踊り、そして作物が育った。
そして、子ども達の病気を治すために人々は踊った。
戦争の前も人々は踊った。
自分たちが理解できないことを表現するためにダンスを踊った。
そしてそれをする上では、それが現実であるというふりをすることはなかった。
自分の周りにある世界のエネルギーを身体に感じて表現した、それがダンスだった。
そういう風に考えたときに、いったい誰が得をしたのかと私は考える。
このような重要なことを誰に依頼したのかと考える。
例えば、地面を動かすことができるような体重の重い人に依頼したかもしれない。
それとも、一番知識・知恵をもった年寄りだったかもしれない。
おそらく何らかの形で合意する価値観というものを共有していたに違いない。
そして、ダンスを理解する人たちは、いったいそのダンスというものが何なのかということを、
次の日の新聞で読むことはなかった。
そして我々には信じられないようなかたちでダンスとつながりあっていた。
それはダンスが抽象的でなかったから、ということでではない。
ダンスは当時から非常に抽象的で、そして象徴的なモノであったと思う。
それはダンスを簡単なモノにしてしまったという意味ではなく
ダンスは身体の一部であり、人々はダンスを知り尽くしていた、と私は思う。
例えば、こういう風に(両腕を空に向けて挙げて)すれば、
‘日が昇る’と意味しよう、と皆で最初から決めていたのかもしれない。
つまり、最初から自分が携わっていれば、人には何でもできる。
 
イギリスにおけるダンスが、そういう昔のダンスのような位置・地位を占められればなと、私は思っています。
そしてこのダンスをこれから作る上で、例えばコミュニティダンスがどんなに難しい抽象的なコンセプトであっても、それを作る人が最初から携わり、みんなで決めごとをしていくことでみんなにアクセスができ、理解できるようになっていくことを私は願っています。
 
 
■DVD鑑賞 「DANCING NATION−Four People,Four Stories,Four Communities.」40min.
A film by Rosemary Lee & Peter Anderson
Commissioned and Produced by Foundation for Community Dance
 
−−4つのコミュニティの4人による4つのお話
統計をとることでイギリスの中でコミュニティダンスが広がっていることは分かったが、実際に現場の人の声を聞きたいと思い、このフィルムを作った。

  フィルムを通してケンさんが特に感銘を受けたのは、個人・社会・感情また芸術面でダンスを通してとても成長がみられたこと。特に、フィルムに登場する人物がみな若いにも関わらず、その後進の育成に力を尽くしていること。若者が責任感を感じて、自分の知っていることを伝えたい・教えようとしている。そういった中からプロになった人たちもいる。
 
         

■質問

Q水野: お話を伺って、どうやって日本でコミュニティダンスを広げていくかということを考えると、とても混乱しています。21年の間に15人から5千人に広まったとお聞きし、想像ができないのですが、ここまで社会に根付いたのはどういうことが要因だったと思われますか?ケンさんのようなオーガニゼーションがプログラムをたて、こういうのをやってみないかとアーティストに持ちかけていったのか、先ほどのお話のようにいい例がたくさんあって、アーティスト自身が、社会にとって必要として増えていったのか、その両方だとは思いますが・・・。
Aケン: ボトムアップだと思います。はじめはこういうのを始めたいというアーティストの意志がありました。アーティストが枠組みを作りネットワーキングをはじめて、そのうちにほかにも同じ価値観を持ったアーティストたちがたくさん出てきて、皆で助け合ってニュースレターを始めました。みなさんのお手元にも雑誌があります。自分たちで連絡を取り合い、情報交換を行い、チャンスを作ろうということでこういう運動に発展していったわけです。我々はそういったアーティストの意志を支えるべくこのような活動をオーガニゼーションとして行っているわけです。そもそも、我々は情報を与えること、ネットワーキングを行い、会議・ミーティングやリサーチ活動フィルム作りといった、草の根の、アーティストの活動を助けるための存在なのです。
 
重要なことは、アーティスト達は特別なアプローチをとっているということです。人がただダンスをするのに、アーティストは必要ないのです。だって、CDをかけて音楽が流れれば、それにあわせて身体を動かせばいいわけです。しかし、はじめにもふれましたように、我々の組織は人々に芸術としてのダンスに携わってほしいと思っています。表現の方法としてのダンス、想像力、想像力を表現するためのダンス、美しさ・喜び・難しさ・おかしなところ・エキサイティングなところなど、芸術としての踊りをみんなにやってほしいのです。それがアーティストのアプローチですね。
 
我々は植民地時代が終わったイギリスに住んでいますが、植民地時代から住んでいる人もいます。
彼らの文化も、ダンスに取り込んでいかなければならないのです。ですからこの国では、様々な人が様々な文化を表現するためにダンスを使っています。この国のコミュニティダンスは、バレエ、インドのバラタナティアム、アフリカンダンス、オーストラリア先住民のダンス・・・などの表現の手段として使っているものを、取り込んでいかなければならないのです。
 
東ヨーロッパがEUに加盟したことも、考慮しなければならなくなりました。つまり、我々の国がより多様化するにつれて、ダンスの形も増えていくということです。我々の組織は他の組織と協力して、文化間の対話を推進するための「インターカルチュラルダンス」という概念=「文化を越えたダンス」というものを推進していこうとしています。
みんなで一緒に踊ることができれば、その形こそ違っても、理解し合うことができると私は信じています。
 
水野:日本のアーティストは、どちらかというとオーガニゼーションのほうがプランを行い、仕事として依頼する。アーティストはコミュニティダンスとしての仕事は公共ホール等から頼まれて行うのがほとんどで、自主的にその活動を起こしてというには、まだまだ未熟です。アプローチの仕方が逆なんだなと感じました。
ケン: 我々はメンバー制ですが、殆どがコミュニティダンスのほか、さまざまな仕事から収入を得ています。ダンス教室の講師をしたり、カンパニーの振付をしたり、刑務所でダンスを教えたりなどさまざまなことをして生計をたてなくてはならない。リサーチによると、平均の年収は15,000ポンドくらいで(通訳注/今のレートでは結構な額に思われるかもしれませんが、実際に生活していると1ポンドは100円くらいと考えてください。なので、実質的には150万くらいです。)この低収入と戦うための企画をたてており、リサーチを始めています。
 
 コミュニティダンスには規制がないため、誰でもコミュニティダンサーになることができ、誰にも止めることはできません。しかし、その活動場所は教育機関、福祉(病院など)、高齢者施設、刑務所など限られている。我々はメンバーを支えるため苦慮してきました。コミュニティダンスに関わる人の価値観、基準、技術を高めること、プロとしての責任感というもののために、ダンサーに「声」を与えなければならない。ダンサーが雇用される時、学校の校長先生、病院の院長先生に対してアーティストが“自分が教えると安全・安心である、参加した人を進歩や変化をもたらすことができる”と胸を張って言える環境を作りたい。ダンスに参加する人が満足できる経験ができる場を作らなくては、そしてダンサーを雇用する人達にとっても確実にいいものを提供していきたいのです。
 
Q佐東: 日本ではここ4〜5年くらいで学校や障がい者の施設でコミュニティダンスのプログラムがようやく始まったというところです。先のお話で、(コミュニティダンスをしているダンサーがその経験を振り付けに活かす、というようなお話がありましたが)コミュニティダンスとパフォーミングアーツがイギリスではもともとその二つはクロスしていたのか、その垣根がなかったのか、あるいは垣根をなくそうという活動があったのでしょうか?
Aケン: イギリスは今でも、ダンスのジャンルはピラミッド型で表現できます。トップはバレエカンパニー、中間はコンテンポラリーのプロアーティストとカンパニー、ふもとの部分がコンセルバトワール等のプロ養成学校、裾野に広がっているのが学校のダンスやコミュニティダンスです。資金力もこれに比例しています。もちろん、アーティストの中には「私はプロのダンサーでコミュニティダンサーではない」という人もいます。また、イギリスのダンスの中で重要な職と考えられているものについてのリサーチでのベスト4は、1 振付、 2 プロのダンサー 3 ダンスの先生 4 コミュニティダンスのプロアーティスト という結果でした。
 私は、このダンスのピラミッドを崩し、ひとつの線にしたいのです。それが私の人生のミッションです。ダンスの間での「共通の価値観」を広げていきたい。プロのダンサーと公園で踊る子供との接点をつくりたいのです。家でダンスを見る、劇場で見る、ダンスを習う、自分でダンスをつくる、それらの間の接点です。もちろん、政治もからんでおり、国がダンスに資金を出していまが、この資金の45%は4つのバレエカンパニーに行き、残りが裾野の方に広がっているのです。コミュニティダンスの資金調達のうちアーツカウンシルはトップ5には入っていません。
 
Q 水野: バレエカンパニーでもコミュニティダンスに関するプログラムは行っているのですか
A ケン: 4つのカンパニーすべてが実施しています。15〜20年くらい前まではアーツカウンシルからの援助を受けるには教育プログラムの戦略を持っていなくてはいけませんでした。この5年ほどで、教育や一般市民に対するアクセスや参加を促すプログラムの重要性が増し、資金提供も拡大してきました。特に、バーミンガムロイヤルバレエ団でのプログラムは、落ちこぼれの子、退学になった子、薬の中毒になった子などを対象とし、大きな成果をあげています。多くの子が現状を脱出し大学へ進学したりダンス学校への奨学金を得たりプロになった子もいます。
 
Q 佐東: そういう意味では、20年前に始まったコミュニティダンスのコンセプトがトップのバレエ団にも浸透してきたといえますか?
A ケン:素晴らしい進展だと思いますが、まだまだだと思う。私は国中の人に踊ってほしいと思っている。私たちの世代は学校で踊っていないが、今、これからの子供は違う。ダンスが生活の一部になってきている。ダンスに対する考え方も前向きになってくると思う。
 確かにコミュニティダンスにおける10年前のイギリスの状況が今の日本だとしたら、今のイギリスの状態になるにはあと10年必要でしょう。しかし、日本では、われわれの真似をするのではなく、日本人にあう、日本の文化や社会の現状にあわせて進めていってほしいと思っています。
 
Q 三上:コミュニティダンスの評価基準、プロジェクトに対して他者からの評価についてはどのように考えていますか?
A ケン: イギリスにはセクタースキルズ カウンシルというそれぞれの分野ごとの技能委員会があり、我々はクリエイティブや文化の分野の技能委員会と協力し、コミュニティダンスの質の基準の枠組みを作ろうと考えています。医学での、プライマリーケアと専門医の例と同じように、我々も30年の経験を経て、専門分野が生まれています。(身障者、高齢者、刑務所、子供・・)全体として、どうよう質を保つか、そのためにどういうところが重要か、態度、知識、技能についてリサーチをメンバーに対して行っています。このアンケートに基づき、質の枠組みについて公表できる形で設定していく。政府や組織のトップダウンで押し付けるのではなく、メンバーから声を聞いていくということが大切なことであると考えています。ビジョンを共有し、大切なガイドラインがあります。ラフなものとしては、.灰潺絅縫院璽轡腑鵑とれているか △匹里茲Δ淵咼献腑鵑魘νしているか どうやって表現していくか、ということです。
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ンスは言葉や道具を使わずに、自分自身の身体を使って表現し、他者とコミュニケーションするという、他の芸術にはない特徴を持っています。“創造力”“表現力”“コミュニケーション力”、これらがダンスを形創るための大きな力です。これらの力は同時に、人間が生きていく上で不可欠な“生命力”である、とも言えます。現在の日本社会を考えると、これらの力が弱まっているのではないかと感じています。今こそこれらの力を育てていくことが必要だと思います。
 
国ではそのダンスの持っている力に注目し、舞台芸術としてのダンスと並行して、地域で子どもから高齢者、障がいを持つ人たち、少年院などの更生施設など、全ての人たちがダンスに触れられる機会を創り、さまざまな分野でダンスが活用されています。その活動を総称して”コミュニティダンス”と呼んでいます。
 
コミュニティダンスとは、ダンスアーティストと一般の人々が一緒に創造的な活動を行うことです。誰もが踊ることを楽しみ、自己をクリエイティブに表現する方法を体験することにより、表現や価値観の多様性を知り、身体的にも精神的にも活力のある生活を育みます。また、誰もがダンスに触れ、参加できるような環境が作られることで、コミュニティが活性化され、芸術形態としてのダンスの質もより向上し、新たな雇用も生み出されていきます。
 
本各地でも、学校や公共ホール、文化財団、アートNPO、アーティストなどが中心となり、このような活動が増えてきています。
本サイトは、日本でコミュニティダンスを推進していくために、日本全国でどのようなコミュニティダンスの活動が行われているかを紹介するためのサイトです。是非皆様の活動や情報を書き込んでください。同時にコミュニティダンスに関する海外の事例や資料の紹介も行っていきます。皆様のご協力をよろしくお願いします。

NPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)
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