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 インタビュー Christopher Thomson氏
 (
Director of Learning and Access, The Place)   
 
 〔視察内容〕施設見学の後、活動内容とプログラムについて説明を受ける

 Placeは大きな組織だが、特にアウトリーチ・教育の部分に焦点をあてて活動している。
 
基本的な5つのプロデューシング部門がある。
 1.劇場  2.学校&教育 3.アーティスト育成・開発  
 4.リチャード・アルストン ダンスカンパニー 5.ラーニング・アクセス

 この5つの各々が公演を開催したり、開発事業を行う等、それぞれが協力して活動している。


■ プレイスの施設案内ツアー 

 (施設を回りながら説明を受ける。)
 

 プレイスの古い方の建物は、元軍の鼓笛隊などの芸術訓練所として使用されていた建物で、アーティスト・ライフルという劇場、教育、アーティスト開発部分として使用している。
新たに2000年に建てられた建物は、学校・スタジオとして使用。数百人の若者が週末や夕方クラスに通っている。1週間に大人のクラスが23、子どもクラスが14-16、夜8時から10時までは資格をとるクラスが行なわれている。
 
アーティスト開発については、アーティストの技術的な部分の向上はもちろんのこと、どうすればアーティストが生計を立てられるようになるか、にも取り組んでいる。クリエイションの為にスタジオを開放したり、作品についてアドバイスをするなど、創造活動についても積極的な取組みを行なっている。
 
 
金銭的なサポートしてくれるスポンサーに対しては、充実したプログラム実施日に、実際にスタジオに見学に来てもらうようにしている。どのような活動がプレイスで行なわれているか、ということをスポンサー自らの目で見てもらい、より深いプレイスの活動に対する理解を促す努力をおしまない。
 
新しい建物のスペースを使って3つの目的を果たすプログラムを立案している

/局娚惺察´▲廛蹐凌局娉藩僉´コミュニティ教育
合計で、1500時間のクラスを行なっている。政府がプロ対象でなくコミュニティへのアートの推進を奨励しているので、この新しい建物もコミュニティを対象にしたプログラムを行うことで、資金援助を得ている。例えば、月曜は子どもたちが放課後に来てダンスを行なえるよう開放したり、10人くらいの中規模のレジデンシー・ダンスカンパニーが使用するなど、様々な種類の使用方法が実施されている。アーティスト開発のクラスでは、カンパニー、一般のクラス、土曜は子どもの為にそれぞれ使用されている。又、レジデンスカンパニーが一般の人や子どもに教えたり、日曜はカンパニーメンバーが才能ある生徒にクラスを開いたり、人材育成としてのクラスも多く行なっている。
 
プレイスのレジデント カンパニー
カンパニーの主宰者リチャード・アルストンはプレイスのアーティスティック・ディレクターで、取締職の立場。彼にお金を払ってカンパニーをつくってもらった異例な事。任期はないのでカンパニーは変わらない。ユースダンスカンパニーに作品を振付けるなど、プレイスでのプログラムと連動しての活動も行なっている。
 
* プレイスは、このように広い意味で、一般の人からプロのアーティストまで広い幅で、協力体制で活動を行っているのが素晴らしいところ。

 
■ プレイスの教育活動に関して−教育部門−


 
イギリスではオーソドックスなプログラム。ダンスを皆に認識してもらう為には、学校の中でカリキュラムとして取り入れられなくてはならない。そうなると試験が必要になってくる。そこで試験勉強用に、振付家や作品について学べるWEBサイトを製作。15歳から18歳を対象としている。
また、試験勉強の為に実際にワークショップを行い、レパートリーやクリエイティビティを学び、劇場でパフォーマンスを鑑賞するというプログラムもある。国全体のプログラムとして、多くのカンパニーが同じようなモデルケースを使っている。学校で半日〜1日テクニックのワークショップ/クリエイティブ プロセスのカリキュラムを組む。作品について学び、語り、教育的であるが、皆で楽しめるワークショップになっている。

 エイミー・ブラウスさんは、プレイスの生徒だったが、カンパニーに入り、ワークショップでの指導者となっている人物。先生を助ける為の映像・ディスカッションなどの教材としてDVDを製作。DVDは、作品を全編通して鑑賞/リハーサル/振付家が作品の意図などを語る、等それぞれのコンテンツがある。学校がダンスを授業で取り入れる為に、教育者用にサポートするという意味でこのようなものを製作している。また同時に我々のカンパニーに対するオーディエンス開発という一環でもある。
 
○理科のプログラム
 ダンスが地理や理科を学ぶ助けになる、ということを政府に提言する為にそのリサーチを行った。ダンスの要素を使って理科を教えるワークショップを、教師を対象に京都と横浜で行なった。動きを取り入れた授業を他の科目でも取り入れていくことを推進し、色々な形のダンスをプロモートしようとしている。正式な教育にダンスが取り入れられたことで、ダンスの振興が広まったと言える。ダンサーとして訓練を受けていない先生達に、シンプルなダンスを教えられるような教材をつくった。例えば、理科の授業で虹の説明をする時、ダンスの動きを使う。小学校の先生に動くことに自信をもってもらう為、ダンスは怖くないのだよ、ということを知ってもらうワークショップを行なっている。WEBサイトから教材を買うことができる。
 
 
 ■シアタープログラムについて


インタビュー Helen Shute女史/ Programming Associate 

劇場のプレゼン/アーティストの育成・教育/日本のアーティストの招聘
2006年まではシアター部門とアーティスト開発部門に分かれていたが、06年1月に合併してひとつになった。アーティストをプロとして育成し支える。そのあかつきには実際に劇場で公演してもらおうという流れをつくろうと思った。

 
レゾルーション
毎年1月と2月に6週間に渡り19年間ずっと継続して行っている。日に3つのプレゼン、合計100作品を紹介。対象者は新しい人材、プロとして始めてプレゼンをする機会をあたえるということ。ジョン・アシフォードと私が毎日このレゾルーションを観て、コレオドームやプレイス賞に参加してほしいと思う新人に声をかける、言わば登竜門的なプログラム。選考の条件はシンプルで、男女比やどこで教育受けたか、などのバランスで決めている。
 
コリオドローム
2007年夏に実施。奇数年に行っている。夏休み期間は学校がないので、クリエイション/リサーチの為に、スタジオをプロに開放することができる。これまでアーティストに何のプレッシャーもなく、自由にワークしてもらっていた。実験的な作品をつくってもらったり、初めての試みだったり、自由な活動の期間だったが、今年は<タッチウッド>という運が続くようにというゲームから名づけたプログラム名を付け、クリエイション/リサーチの結果を公の前で公演してもらうワークインプログレスの試みを始めた。このタッチウッドの発表を経て、劇場が今後の可能性がありそうな人を探す場としている。今年の試みとして、カナダやイスラエルから国際的な振付家を招聘し、マスタークラスを計画している。
 
プレイス賞
偶数年に実施。夏の間20カンパニーに15分の作品をつくってもらう。10日間の期間にコンペを行い、観客の投票で1晩1,000ポンドの賞金をつけ、総計25,000ポンドの賞金を競う。ここで勝利を得た作品は、全国に巡回公演を行なったり、今後プレイスとして発展させていく対象作品となる。賞金はプレイスのスポンサーから提供。プレイス賞への申込みは、約200件。申込み者はどういうことをやりたいか、アイデアを示すものをスピーチ・美術・絵画などで表現した3分の映像を送る。その映像を30人のヨーロッパのパートナーに送り、上から40人を選び、選出された者は30分間のプレゼンを言葉・ダンス・映像などで行なう。その中から最終的に、4名の審査委員により20組を選出する。
 
フレッシュ
教育部門とシアター部門の協力で、毎年12月に行っている。若いパフォーマーによる1作品10-15分の作品を上演。10代の若者が主な客層。この<フレッシュ>で、学校の卒業生がプロとして初めてプレゼンを行なうことになる。
 
 
ターニング ワールド
来年は日本にフォーカスを置いている。新しい振付家をイギリスに紹介するというのが目的。日本では知られているが、国際的にはまだ知られていないアーティストをイギリスで紹介するのがこの主目的。皆さん是非、どういうアーティストが良いか紹介してほしい。今後皆様と引き続きEmailなどでやりとりして、どういう方法があるか(予算+人選を含め)探っていきたいと思う。イギリスから日本にも紹介したいと思っている。
 
Q:どれくらいのクラスのアーティストを招聘したいか?
A:まずは作品ですね。いい作品をつくっているアーティストを呼びたい。プレイスが興味を持てる作家ということになる。イギリス内の振付家の場合は、新進気鋭の若手をプロモート、海外からのアーティストを招聘する場合は、今後国際的に活動していくであろう可能性が見える人をターゲットにしている。
 

■ 学校部門について

インタビュー Veronica Lewis女史  MBE Director/学校部門ディレクター 

プレイスは自分にとって素晴らしいところ。昔私は、学校をさぼって遊びにきていた。音楽一家に育ち音楽には恵まれた環境があったが、私はダンスをやりたかった。1950年代60年代というのはイギリスのダンス暗黒の時代といわれている。ダンスは、体育の一環としてスポーツという捉え方。音楽とか美術は素晴らしい環境が既に確立されていたが、ダンスは認められていなかった。だからダンスに対する皆の考えを変えたかった。やはりアーティストであれば、自分がやっているジャンルのアートを人々と共有したい、という責務を追っているのではないか。若者、一般の人、年配者、ダンサーでない人、誰もがダンスを共有しなければならないと信じています。私は40年かけてクリスと一緒に、最高の質のダンスを、最高のかたちでレベルを保ちながら人々と共有できるように努めてきました。
 
30年前イギリスにおいては新しい運動が生まれまして、教育の場におけるダンスの教授法、そしてトップレベルにおけるダンサーの訓練が変わった。今は既にシステムが確立され国中の若い人に、ダンス教育を与えられるようになった。自分の家から2時間以内に、最高のダンス教育が受けら場所をつくらなければいけない、という政府の方針ができた。プレイスはその主導権を握っていると思う。実際的にプレイスでは、5歳から誰でもクラスを受けることができる。地元の子供たちに対して、また10歳以上は南部全体から子どもたちがオーディションを受けてプロジェクトに参加できる。一部の大人や子どもにとっては、ダンスというのは娯楽の一環であると思っている、そういう考え方はそれでかまわない。クラスに来るかもしれないし、劇場に来るかもしれない、そういうことに繋がるからです。ですから、この部分の層に関しては年齢やテクニックは問いません。
 
それ以外の子どもや大人にとって、ダンスがもっと人生の中で重要な活動として捉えている人にとっては、集中的に訓練する場をプレイスは提供しなければいけない。10歳以上の子は日曜にここで訓練を受け、自分の家でダンス教師から訓練を受ける。日曜、クリスマス、イースターなどの休暇には集中講座もある。テクニックバレエ、コンテンポラリーダンス、他の創作、レパートリーも習う。身体に損傷をきたさない為に専門家のケアもある。また個人個人にアドバイス・宿題など与える。プレイスで訓練している限りはいろんなリソースがあり、人材も豊富。カンパニーやバレエ・コンセンバトワールの先生に教えてもらうなど、本当のプロのダンサーたちに触れる機会がある。アーティストにとって、自分のテクニックを共有するという技能、アーティスト訓練を行なう。10歳から54.5歳までどんな人でもアートに関わるように心がけている。
 
プレイスというのは、例えて言うならば大きな木のようなもの。根から栄養をくみ上げ、幹の部分はアーティスト。そこから先の葉、花はひとつづつ違う形になっている木を想像してください
幹の部分のアーティストは、3年間のコンセンバトワールを卒業するとMBEがとれるようになっている。生徒はイタリア、韓国、フィンランド、アメリカ、ハワイ、イタリアなど各国から来ている。年間40人しかとらないことになっているが、申しこみはそれに対し1300人。卒業後、修士課程、博士課程もある。若いダンサーにとっては、資格といういものは、どうでも良いが両親にとっては必要だし取ってほしいと思っている。
 
最初の話にもどると、プレイスの中で一番大切なのは何かと言うと、我々が生活している文化の中でダンスというものと向き合って、一緒に生きている人たち=ダンサーとその周りの人の生活を豊かにすること。その為にはアーティストを訓練しなければならない。アートに対してはっきりとモノが言える人たちに育てていくこと。そしてそのアーティストが、自分のアートを皆と共有できるように育てていかなければいけない。アーティストとは、ダンスが上手いこと、他の人に教えること、他の人との関わり方、これ等に対して雄弁であること。そういう人材を育てなければいけない。
ダンスは雨の日にやる課外活動ではない、我々の子供たちには良いダンスができる機会を与えられるようにしたい。
 
Q水野:イギリスにはいろいろなダンス学校が多くありますね、有名なラバンセンターも含め。例えば、プレイスとラバンでは、随分雰囲気が違いますが、各学校のオリジナリティはどのように意識されて運営していらっしゃいますか?
A:私たちは、私たちの最善をつくしてやっています。世界には多くのダンス学校が必要なので、各自の生徒が自分にあった学校を選びます。私たち学校は競争相手としてではなく、協力してやっていっています。ラバンとプレイスの違いとして、プレイスとしてはアーティストの環境は小さく留めておきたいと思うから、小規模にやっている。40人しか生徒を受け入れないのは、それが私たちが考えるアーティストを育てる環境として、一番良い規模だと思うからです。
最も強いところは、子供、若いアーティスト、プロとして活躍しているアーティスト、それぞれが双方向の関係を維持していること。ご覧のようにカフェでは、いろいろな層のアーティストが同じ空間にいて、刺激しあっています。ただのダンス学校ではなく、プレイスは世界で一番素晴らしいところでもあり、時には一番いやなところでもある。それは、学校・劇場・子供の教育と各セクションが共存していかなければならない。もし学校だけだったら自由に私の好きなようにできるけれど、それぞれが、協力共存しているところが素晴らしい、と思うのです。
Q佐東:質問ではないですが、お話しを聞いて日本はまさにダンス暗黒の時代だと思うので、これを機会に変えていきたいと思います。
A:自分たちもまだまだ完璧だとは思っていません。これから、学ぶことがたくさんあります。
Q三上:先ほどおっしゃったように、各セクションが交渉をして協働してやっていけるようなアートアドミニスレーターをどう育てていますか?
A:私はアドミニスレーターとダンサーというように分けて考えていない。言えることは、リーダーになる為にはダンスに対して情熱を燃やしている人材でなくてはいけないし、ダンスが人の人生をいかに豊かにするか、ということを本当に信じている人でなくてはいけない。つまりは、クリスさんも私も、ダンス畑でずっと育ってきた。イギリスにおいてダンスのリーダーは皆ダンサーです。アドミニスレーターの人間としてできることは、若い人に素晴らしいダンスをみせること。
Aクリス:ダンスの訓練を大学で受ける若い人が沢山いるが、卒業後、振付家としては、続けていかないと思った場合、つまり、自分の振付家としての才能はここまで、と思った場合ですね。そういう人たちは、ダンスのことを理解しているし、情熱はあるし、アドミに転換することもある。この人たちが私たちの貢献者になれると思っています。
         


 
 クリスさんへの質問


Q佐東:1週間いろいろなコミュニティダンス(CD)の知識を得ることができたと思いますが、最終的に日本でCDを紹介したいと思うが、具体的にどういうカンパニーが良いか相談したい。
Aクリス:ロールモデルになるような人に来日してもらう。イギリスと日本の文化、教育の違いはあるが、CDの模範となるようなアーティストから刺激を受けることは重要なこと。25-40年かかるプロセスが縮まるかもしれない。
Q水野:日本においてアーティストがCDの根源的な意味や、ダンスの活動を通じて社会に還元していきたいと思う意識を持たす為に、要はアーティストが個々の作品を創ることだけでなく、世界観や行動を広げる意志を持つようにする為にどうすればよいか?私たちオーガナイザーがすべきことは何か?
Aクリス:それは20年、25年かかること。アーティスト自身の自分に対する見方を変えていかなければいけない、非常に複雑なプロセスである。そのプロセスとは、今ダンスの世界は広がっていて、ダンスはダンサーだけのものではなく、子どもや高齢者、障害所も含めて捉えなければいけない。ダンスの世界自体が大きくなっているということを理解しなくてはいけない。ダンスを教えるということは、ダンスが上手いから教えるのではなく、自分自身のパフォーマーが豊かになり、自分に還元されるということを叩きこまなくてはいけない。若い人、子どもたちと一緒に仕事をすることは、教えれば結果的に経済的なチャンスに恵まれ、お金が入るということになる。また、振付家として多くの人と仕事をするという事は、作品を創る上で実験的な試みができる大きな機会になるということ、公演の期間だけでなく、年間を通じてダンサーとして活動できる機会を得ることに繋がっていく、こういったことを叩き込んでいくプロセスです。
  
    先ほど25年といいましたが実際は40年くらいかかっているかもしれない。大事なのはロールモデル模範になるような、ああいう人がいるから、ああいう人になりたい、というような憧れの対象となる人の存在、その必要性が大事。又、25年前CDの分野における訓練施設が多くできたことで、状況に変化をもたらした。施設を増やすということも、きっかけになるかもしれない。
Q大野:日本の各地域の公立ホールは芸術監督が不在のところがあるが、そのような公共ホールが、プレイスが行っているようなCDを普及していく為の方法論は?どういった役割が果たせるか?プレイスはどういった役割をしているのか?
Aクリス:プレイスはひとつのエージェンシーの例。いろんな人の為にいろんなことを提供しています。子供や振付家の為のクラス、作品創作クラス、など。各地域のホールはスペースがあります。ダンスはスペースが必要です。そういった意味で小さなエージェントとして、ダンスの振興に役立てるのでは?その為にには相応しい公演をやらなくてはいけないし、相応しいクラスをしなければいけない。この相応しいとは何か?と言いますと、観客が何を欲しているか、観客がどういった形で参加を望んでいるのか?という声に耳を傾けること。そうすれば、公共ホールはエージェンシーになれるのではないか。どんなスペースでもダンスに相応しい。ダンスは皆のものであるということが重要です。
Aヴェロニカ:一番大切なことは参加する人達、観る人達が何に興味があって、何をやりたいのかということ。一方で私たちが私たちとしてやりたいこと、興味のあることがあり、この2つを擦り合わせることで、何か新しいことが生み出せるのではないか。
   ごく最近ですがわが校の3年生ですが、高齢者の集会所でパフォーマンスを行い喝采を受けた。今度は高齢者が立ち上がってダンスを披露してくれた。この双方向に感銘を受けました。
Aクリス:20-25年の経験を通じて大変重要だと思うのは、皆さんは我々が25年前歩んできた道を歩み始めていると思います。アーティスティック・ディレクターを育てることは可能です。日本でも若い人で訓練を受けている人、CDの重要性を理解してくれる人は必ずいると思う。CD出身で今は国際的にカリスマ的な存在になったウエィン・マクレガーさんのような人もいます。彼が高いテクニックを持っているから、人々が耳を傾けるようになった。こういった可能性を秘めている人材を育成して、アーティスティック・ディレクターを育てていくような働きかたをすることは可能だと思います。
Q井手上:今、日本では学力重視の教育方針が先行し、アートを教育の中に入れていくことが難しい状況です。その中で私たちがしなければいけないことは何でしょうか?
Aクリス:今言えることは、我々皆が同じ問題に直面していて、万能薬はない、ということです。
          しかし、小さく始めて考えは大きく持つことが大事。いずれはこうしたい、という野心を持つこと。
活動を皆に認めてもらい、将来的にグローバルに世界的に広げていきたい、という視点を念頭に持ちながら、まずは小さいところから活動することが大事。
政府に芸術に対してお金を出してもらおうと思ったら、国民が芸術を欲しているのだ、ということを政府に見せつけないといけない、それしかない。例えば、経済的効果がありますから、とか、倫理的に大事ですから、などは事実ですが、そういう言い方では難しいです。国民が心の底から芸術を欲している、ということを認識させて初めて政府のお金が出る、ということです。もちろん、国民が欲しているから、という言い方は政治的圧力になる分、それに対する証拠や数字が必要になってきます。
また同時に、いろいろなアプローチでいろいろな言い方で、説得していくことが大事。アートは経済効果がありますよ、とか、個人の学習能力にも良いですよ、とか、保険健康に役立ちます、楽しいから、創造力を培うのに良いから、など。いろいろな言い方で伝えていくことが大事。
それから組織として、例えばJCDNのような組織としての機能で、“ダンスが素晴らしい”という働きかけを政府に話をしていくこと、働きかけをすることが大事。アーティストは自分たちの声を発することができないので、それをまとめるような組織としての役割を担うこと。大きな括りで、“ダンス”の世界として、ひとつのメーッセージを声として皆でシンプルにして伝えていくこと。いろいろなダンスの種類があるが、政府に訴えかける場合、細分化(バレエ、フラメンコ、ハワイアン、モダンなど)しないで、大きくダンスとして声をひとつにまとめる方が効果的です。
 

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2007年ブリティッシュカウンシルのサポートを受けて、英国のコミュニティダンスの視察を、日本の公共ホールのダンスの担当者の方々と行ないました。先日発行しました「コミュニティダンスのすすめ」にも一部掲載していますが、その全文と、お会いした方々へのインタビューをシリーズで掲載していきます。

 
インタビュー Ken Bartlett氏
(Creative Director, Foudation forCommunity Dance)

   
 
〔視察内容〕 理念や活動内容、活動成果についてクリエイティブ・ディレクターのケン・バートレット氏によるプレゼンテーションがあり、あわせてDVD鑑賞を行った。

1986年に創設された、イギリスのナショナル・ダンス・エージェエンシー。コミュティダンスの開発・振興を行う。メンバーシップ・オーガニゼーションで、世界中にメンバーがいる。
 
■‘everybody dances’ ――ダンスの既成概念を広げる

ダンスの生態系の中で、コミュニティダンスはイギリスの中でもある意味ユニークといえます。世界中で同じような価値観・目的を持って活動するアーティストや組織はたくさんあります。
まず、私の友人ブッシュ・ハートソンさんのお話をします。
彼はつい最近までヨークシャーダンスのアーティスティック・ディレクターをしていました。ヨークシャーダンスは、イングランドにある10のナショナル・ダンスエージェンシーのひとつで、プロの育成、アートとしてのダンス、参加型のダンスを皆に広めていくというミッションをもって活動をしています。
 
ヨークシャーダンスのモットーは「‘everybody dances’ みんなダンスをする」ということです。
非常にシンプルなフレーズですが、「人とダンス」「ダンスと人」という深い関係が、うまく示されています。「みんなダンスをする」「みんな踊る」という意味なのですが、everybody という言葉を二つに分けて‘every body dances’ とすれば、「からだひとつひとつ、それぞれの体がダンスする」という意味にもとれるのです。西洋にはどうしても、誰がダンサーで、どういう人がダンサーになれるのか、という概念があると思いますが、このフレーズ‘every body dances’は、そういった概念を覆す、深い意味を持ちうると思うのです。
 
そしてそのダンスの輪の中に誰を含めるのか、ダンスを通じてどんな声を発するのか、どんな物語を皆に伝えるのか、といった点でも、今までと違う考え方ができるのではないかと思います。また、どんなダンスを作りたいかを考える上で、どんな身体をその中に含めていくかということも違ってきます。我々の文化における「ダンス」に対する美的感覚・概念も広げていけるのではないかと思います。そして、これまで「ダンス」というと、先生と生徒がいて教育の一環で「こうしなさい」といって教えられてきた
歴史がありますが、それももっと調整していいのではないか、と私は思います。
 
イギリスのコミュニティダンスでは、こうした既成概念にチャレンジしようという動きが30年間ずっと続いてきて、プロジェクトになってきたと考えています。
 
■ Foundation for Community Danceの設立―アーティストから組織へ

私は、コミュニティダンスに携わっている人間はみな、「どうやってダンスを作っていくか、どうやって皆に広げていくか」という上で、新しい方法があるに違いないと思っていると信じています。
これまで、どうしてもダンスから疎外されてきた人々が存在すると思います。経済的・社会的・文化的・教育的理由から、ダンスは自分とは遠い存在だと感じている人がいると思うのです。ダンスアーティストの中には、70〜80年代の市民権運動と自分たちの活動が似ている、と感じている人が多いと思います。例えば男女の差、同性愛の差別をなくそう、黒人の権利を認めていこうという運動等です。
 
 
そして新しい世界をダンスを通じて作ろうと思っているアーティスト達がいます。個人・少数民族・あるいは文化の違いを尊重して、例えば宗教・人種・性別・生涯・経済的、教育的バックグランドでたくさんの差別をされている、そのような人たち皆を、ダンスの輪に組み入れていきたいと考えている人たちです。ダンスという芸術の神話をうち破ろうとしているアーティスト達です。
ここでドイツのブレヒトの言葉を引用したいのですが、「異例なことを通常な人にもアクセスができるようにし、通常な人が異例なことをできるようにする」、このコンセプトが非常に重要だと思います。
 
こういったアーティスト達が長年活動を続けてきて、もっと協力をしなければならないという概念が生まれたことから国全体の組織にしようという運動につながり、Foundation for Community Danceができたわけです。そして、これまで述べたような活動を支持していくことになったのです。
 
■ コミュニティダンスの成果

1986年、ファンデーション・フォー・コミュニティダンス発足当時は、そういったアーティストは15人程度しかいませんでした。21年後の今、コミュニティダンスにプロとして携わるアーティストは、5000人に増えています。
実は、2000年にイングランドにおけるコミュニティダンスの地図作りという統計をとったところ、500万人のダンスアーティストが7万の様々なイベントに参加して、観客は一千万人にのぼるということが分かりました。
同じ年、イングランド・アーツカウンシルが補助しているダンスカンパニーによるアートダンスを観た人たちは、140万人でした。コミュニティダンスの観客が一千万人というのに対し、数が非常に限られていたわけです。
他にも、コミュニティダンスに参加している人の年齢は生後6ヶ月から93歳までであること。様々な障害を持った人、そして農村部・都市部に関わらず非常に重要なアート活動の一環になっていること、イギリスは文化的に非常に多様なのですが、そういった人たちもみなひっくるめてダンスという共通の趣味を持っていること、社会的に疎外されている組織・グループや個人もコミュニティダンスに携わっているということが分かりました。
そしてまた、教育・保険・社会サービス・刑務所等の公正施設との連携もとれていることが分かりました。例えば、様々な国・地域の文化施設での活動のみならず、刑務所・ユースコミュニティ・学校・老人ホームなどでコミュニティダンスが取り入れられています。
 
そしてコミュニティダンスはイギリスにおいて、かなり成果を上げています。
イギリスは南アジア・アフリカ系の住民が多いのですが、その人達のダンスもコミュニティダンスを通じて、この国の中でかなり発展しています。また、もともとはコミュニティダンスでプロとして始めたダンサー・振付家が、今とても有名になって活躍しています。身体障害者を交えたダンスもコミュニティダンスの中ではかなり振興していて、現在国内に25のダンスグループが存在します。身体障害者がグループを率いているケース、あるいはそのグループの中で実際にダンスをしているケース、いろいろあります。また、障害の種類も様々で、学習障害・目が見えない人・耳が聞こえない人など、様々な人がダンスに参加しています。
この国では国・地域・もっと小さなコミュニティベースのエージェンシーがたくさんありますが、全体として、包括的にいろんな人たちを自分たちのダンスに組み入れていこうという姿勢を拡大しつつあります。またコンセルバトワール等の演劇学校・ダンス学校に通っている人の大半は、コミュニティダンスから入っています。そういうところにも影響しています。
 
■ コミュニティダンスのアプローチを活かす

新進気鋭の人も、すでに評価が確立されている人も、今たくさんの振付家がいますが、コミュニティダンスのアプローチを自身の作品づくりに活かしていると思います。ダンサーに自分の振り付けを押しつけるのではなく、ダンサーといっしょに振り付けを作っていくという、非常に民主主義的なアプローチです。
イギリスの公立学校では、ダンスが14歳まで義務としてカリキュラムに入っているのですが、これを支えているのもコミュニティダンサー達です。そして若者の中でダンスが広まっているのですが、学校形式の「習うもの」ではなく、コミュニティダンスのアプローチが受けています。また、高齢者をいっしょにカンパニーに入れてダンスを楽しむ傾向が強まっており、世代を越えたダンスカンパニーが増えているのですが、これが社会のつながり・絆に貢献していると思います。
コミュニティダンス・アーティストがこれまで培ってきたアプローチは、刑務所などの更正施設でも重要視されるようになり、例えば犯罪者や犯罪を犯す危険のある人のリハビリにも、大きく貢献しています。
 
■ 重要なのは、アートとしてのダンスを作り上げるプロセス

今私が述べたことでみなさん気がつかれたと思いますが、アートが手段としてではなく、クリエイティブなプロセスであることが非常に重要なのです。

 
コミュニティダンスにおいて、一つの手段としてダンスに参加するということは、大きな意味があるとこれまでずっと言われてきました。例えば大局的に、あるいは学習能力が向上するとか、そういうことを助ける道具・手段としてダンスが使われてきました。そして、コミュニティの中で個人の感情的・精神的・身体的・社会的にも改善をみることができること、また何らかの健康上の問題があったときに、それを改善することができる――例えば肥満・心臓欠陥症の問題にも、ダンスはいいよと言われてきたわけです。
もちろんこういった効能が重要であることは私も認めます。でも、それはアートが手段・道具だからというよりも、アートとしてのダンスを作り上げていくという、そのプロセスが非常に重要だと私は思うのです。
 
まず、ダンスを始めて一生懸命練習し、卓越した技術・技能を身につけたいという向上心、自分にできないことではなく、できることは何かをつきつめて、それに向けて努力すること。そしてダンスだけではなく、それを一緒に作り出す人に対しても注意を払うということ。ダンスというものはいったい何なのか、そしてそれをどうやって作るべきなのかということに対してダンサー自身が発言力を持つこと。そしてダンスをどのように観てほしいか、ダンスを見る人はどういう人なのかということについても、ダンサーが自分の声を反映できるようにすること。ダンスのビジョンと目的を達成する上で、実際にそれが成功したのかそうでなかったのかについて、批判的な眼で自身の作品を見ること。そして最終的に、目的を持って身体を動かすことで喜びを味わうこと。
それが非常に重要であると思います。
 
 
■ 最後に・・・

リズ・ラーマン(アメリカのダンスアーティスト・振付家)の言葉を引用して、最後にしたいと思います。
 
昔は人々が踊りを踊り、そして作物が育った。
そして、子ども達の病気を治すために人々は踊った。
戦争の前も人々は踊った。
自分たちが理解できないことを表現するためにダンスを踊った。
そしてそれをする上では、それが現実であるというふりをすることはなかった。
自分の周りにある世界のエネルギーを身体に感じて表現した、それがダンスだった。
そういう風に考えたときに、いったい誰が得をしたのかと私は考える。
このような重要なことを誰に依頼したのかと考える。
例えば、地面を動かすことができるような体重の重い人に依頼したかもしれない。
それとも、一番知識・知恵をもった年寄りだったかもしれない。
おそらく何らかの形で合意する価値観というものを共有していたに違いない。
そして、ダンスを理解する人たちは、いったいそのダンスというものが何なのかということを、
次の日の新聞で読むことはなかった。
そして我々には信じられないようなかたちでダンスとつながりあっていた。
それはダンスが抽象的でなかったから、ということでではない。
ダンスは当時から非常に抽象的で、そして象徴的なモノであったと思う。
それはダンスを簡単なモノにしてしまったという意味ではなく
ダンスは身体の一部であり、人々はダンスを知り尽くしていた、と私は思う。
例えば、こういう風に(両腕を空に向けて挙げて)すれば、
‘日が昇る’と意味しよう、と皆で最初から決めていたのかもしれない。
つまり、最初から自分が携わっていれば、人には何でもできる。
 
イギリスにおけるダンスが、そういう昔のダンスのような位置・地位を占められればなと、私は思っています。
そしてこのダンスをこれから作る上で、例えばコミュニティダンスがどんなに難しい抽象的なコンセプトであっても、それを作る人が最初から携わり、みんなで決めごとをしていくことでみんなにアクセスができ、理解できるようになっていくことを私は願っています。
 
 
■DVD鑑賞 「DANCING NATION−Four People,Four Stories,Four Communities.」40min.
A film by Rosemary Lee & Peter Anderson
Commissioned and Produced by Foundation for Community Dance
 
−−4つのコミュニティの4人による4つのお話
統計をとることでイギリスの中でコミュニティダンスが広がっていることは分かったが、実際に現場の人の声を聞きたいと思い、このフィルムを作った。

  フィルムを通してケンさんが特に感銘を受けたのは、個人・社会・感情また芸術面でダンスを通してとても成長がみられたこと。特に、フィルムに登場する人物がみな若いにも関わらず、その後進の育成に力を尽くしていること。若者が責任感を感じて、自分の知っていることを伝えたい・教えようとしている。そういった中からプロになった人たちもいる。
 
         

■質問

Q水野: お話を伺って、どうやって日本でコミュニティダンスを広げていくかということを考えると、とても混乱しています。21年の間に15人から5千人に広まったとお聞きし、想像ができないのですが、ここまで社会に根付いたのはどういうことが要因だったと思われますか?ケンさんのようなオーガニゼーションがプログラムをたて、こういうのをやってみないかとアーティストに持ちかけていったのか、先ほどのお話のようにいい例がたくさんあって、アーティスト自身が、社会にとって必要として増えていったのか、その両方だとは思いますが・・・。
Aケン: ボトムアップだと思います。はじめはこういうのを始めたいというアーティストの意志がありました。アーティストが枠組みを作りネットワーキングをはじめて、そのうちにほかにも同じ価値観を持ったアーティストたちがたくさん出てきて、皆で助け合ってニュースレターを始めました。みなさんのお手元にも雑誌があります。自分たちで連絡を取り合い、情報交換を行い、チャンスを作ろうということでこういう運動に発展していったわけです。我々はそういったアーティストの意志を支えるべくこのような活動をオーガニゼーションとして行っているわけです。そもそも、我々は情報を与えること、ネットワーキングを行い、会議・ミーティングやリサーチ活動フィルム作りといった、草の根の、アーティストの活動を助けるための存在なのです。
 
重要なことは、アーティスト達は特別なアプローチをとっているということです。人がただダンスをするのに、アーティストは必要ないのです。だって、CDをかけて音楽が流れれば、それにあわせて身体を動かせばいいわけです。しかし、はじめにもふれましたように、我々の組織は人々に芸術としてのダンスに携わってほしいと思っています。表現の方法としてのダンス、想像力、想像力を表現するためのダンス、美しさ・喜び・難しさ・おかしなところ・エキサイティングなところなど、芸術としての踊りをみんなにやってほしいのです。それがアーティストのアプローチですね。
 
我々は植民地時代が終わったイギリスに住んでいますが、植民地時代から住んでいる人もいます。
彼らの文化も、ダンスに取り込んでいかなければならないのです。ですからこの国では、様々な人が様々な文化を表現するためにダンスを使っています。この国のコミュニティダンスは、バレエ、インドのバラタナティアム、アフリカンダンス、オーストラリア先住民のダンス・・・などの表現の手段として使っているものを、取り込んでいかなければならないのです。
 
東ヨーロッパがEUに加盟したことも、考慮しなければならなくなりました。つまり、我々の国がより多様化するにつれて、ダンスの形も増えていくということです。我々の組織は他の組織と協力して、文化間の対話を推進するための「インターカルチュラルダンス」という概念=「文化を越えたダンス」というものを推進していこうとしています。
みんなで一緒に踊ることができれば、その形こそ違っても、理解し合うことができると私は信じています。
 
水野:日本のアーティストは、どちらかというとオーガニゼーションのほうがプランを行い、仕事として依頼する。アーティストはコミュニティダンスとしての仕事は公共ホール等から頼まれて行うのがほとんどで、自主的にその活動を起こしてというには、まだまだ未熟です。アプローチの仕方が逆なんだなと感じました。
ケン: 我々はメンバー制ですが、殆どがコミュニティダンスのほか、さまざまな仕事から収入を得ています。ダンス教室の講師をしたり、カンパニーの振付をしたり、刑務所でダンスを教えたりなどさまざまなことをして生計をたてなくてはならない。リサーチによると、平均の年収は15,000ポンドくらいで(通訳注/今のレートでは結構な額に思われるかもしれませんが、実際に生活していると1ポンドは100円くらいと考えてください。なので、実質的には150万くらいです。)この低収入と戦うための企画をたてており、リサーチを始めています。
 
 コミュニティダンスには規制がないため、誰でもコミュニティダンサーになることができ、誰にも止めることはできません。しかし、その活動場所は教育機関、福祉(病院など)、高齢者施設、刑務所など限られている。我々はメンバーを支えるため苦慮してきました。コミュニティダンスに関わる人の価値観、基準、技術を高めること、プロとしての責任感というもののために、ダンサーに「声」を与えなければならない。ダンサーが雇用される時、学校の校長先生、病院の院長先生に対してアーティストが“自分が教えると安全・安心である、参加した人を進歩や変化をもたらすことができる”と胸を張って言える環境を作りたい。ダンスに参加する人が満足できる経験ができる場を作らなくては、そしてダンサーを雇用する人達にとっても確実にいいものを提供していきたいのです。
 
Q佐東: 日本ではここ4〜5年くらいで学校や障がい者の施設でコミュニティダンスのプログラムがようやく始まったというところです。先のお話で、(コミュニティダンスをしているダンサーがその経験を振り付けに活かす、というようなお話がありましたが)コミュニティダンスとパフォーミングアーツがイギリスではもともとその二つはクロスしていたのか、その垣根がなかったのか、あるいは垣根をなくそうという活動があったのでしょうか?
Aケン: イギリスは今でも、ダンスのジャンルはピラミッド型で表現できます。トップはバレエカンパニー、中間はコンテンポラリーのプロアーティストとカンパニー、ふもとの部分がコンセルバトワール等のプロ養成学校、裾野に広がっているのが学校のダンスやコミュニティダンスです。資金力もこれに比例しています。もちろん、アーティストの中には「私はプロのダンサーでコミュニティダンサーではない」という人もいます。また、イギリスのダンスの中で重要な職と考えられているものについてのリサーチでのベスト4は、1 振付、 2 プロのダンサー 3 ダンスの先生 4 コミュニティダンスのプロアーティスト という結果でした。
 私は、このダンスのピラミッドを崩し、ひとつの線にしたいのです。それが私の人生のミッションです。ダンスの間での「共通の価値観」を広げていきたい。プロのダンサーと公園で踊る子供との接点をつくりたいのです。家でダンスを見る、劇場で見る、ダンスを習う、自分でダンスをつくる、それらの間の接点です。もちろん、政治もからんでおり、国がダンスに資金を出していまが、この資金の45%は4つのバレエカンパニーに行き、残りが裾野の方に広がっているのです。コミュニティダンスの資金調達のうちアーツカウンシルはトップ5には入っていません。
 
Q 水野: バレエカンパニーでもコミュニティダンスに関するプログラムは行っているのですか
A ケン: 4つのカンパニーすべてが実施しています。15〜20年くらい前まではアーツカウンシルからの援助を受けるには教育プログラムの戦略を持っていなくてはいけませんでした。この5年ほどで、教育や一般市民に対するアクセスや参加を促すプログラムの重要性が増し、資金提供も拡大してきました。特に、バーミンガムロイヤルバレエ団でのプログラムは、落ちこぼれの子、退学になった子、薬の中毒になった子などを対象とし、大きな成果をあげています。多くの子が現状を脱出し大学へ進学したりダンス学校への奨学金を得たりプロになった子もいます。
 
Q 佐東: そういう意味では、20年前に始まったコミュニティダンスのコンセプトがトップのバレエ団にも浸透してきたといえますか?
A ケン:素晴らしい進展だと思いますが、まだまだだと思う。私は国中の人に踊ってほしいと思っている。私たちの世代は学校で踊っていないが、今、これからの子供は違う。ダンスが生活の一部になってきている。ダンスに対する考え方も前向きになってくると思う。
 確かにコミュニティダンスにおける10年前のイギリスの状況が今の日本だとしたら、今のイギリスの状態になるにはあと10年必要でしょう。しかし、日本では、われわれの真似をするのではなく、日本人にあう、日本の文化や社会の現状にあわせて進めていってほしいと思っています。
 
Q 三上:コミュニティダンスの評価基準、プロジェクトに対して他者からの評価についてはどのように考えていますか?
A ケン: イギリスにはセクタースキルズ カウンシルというそれぞれの分野ごとの技能委員会があり、我々はクリエイティブや文化の分野の技能委員会と協力し、コミュニティダンスの質の基準の枠組みを作ろうと考えています。医学での、プライマリーケアと専門医の例と同じように、我々も30年の経験を経て、専門分野が生まれています。(身障者、高齢者、刑務所、子供・・)全体として、どうよう質を保つか、そのためにどういうところが重要か、態度、知識、技能についてリサーチをメンバーに対して行っています。このアンケートに基づき、質の枠組みについて公表できる形で設定していく。政府や組織のトップダウンで押し付けるのではなく、メンバーから声を聞いていくということが大切なことであると考えています。ビジョンを共有し、大切なガイドラインがあります。ラフなものとしては、.灰潺絅縫院璽轡腑鵑とれているか △匹里茲Δ淵咼献腑鵑魘νしているか どうやって表現していくか、ということです。
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