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インタビュー
Christine Niering/Director of Dance
David Balcombe/Chief  Executive  
Louisa Perry /Artistic Development Director

〔視察内容〕 活動内容の説明を受けるとともに劇場、作品練習の様子、子供劇場のワークショップを見学

   

 チキンシェッドには300人収容の劇場(Theater)と100名収容の子供劇場がある。劇場ではチキンシェッドが有するプロのダンスカンパニーが創作と上演を行っており、子供劇場では総勢640名の子供が参加するワークショップや作品上演を行うプログラムが実施されている。プロのダンスパフォーマーと子供劇場は相互に影響しあいながら成立し双方間の効果がある。(建物内のカフェにはバーが併設され、このバーや屋外のアウトシアターでもさまざまなパフォーマンスが行われている)

Chicken Shed
1974年設立。劇場(Theater)ができたのは1994年。誰もが歓迎され、価値を認められることを目的に「包括的な(インクルーシブな)創造性のプロセス」に重きを置いている。子供や若者に向けたワークショップや教育プログラムに力を入れている。スタッフは70人。

 
.船ンシェッド専属のプロのダンスカンパニー 

  チキンシェッド内にある300人収容の劇場で創作と上演活動を行う。題材に重きを置き、実際に起こった出来事を題材として作品を創作している。(今夏の上演作品は、黒人と白人の間に生まれた男の子を主人公が自分のアイデンティティを探っていくストーリー。7月に3週間チキンシェッドで上演し8月にエジンバラフェスティバルで上演。来年はイギリス全土ツアーを計画。出演ダンサーのうち2名は学習障害または身体障害を持つ)チキンシェッドとして思い入れのある題材を選び、プロのパフォーマーによる質の高いダンス作品として上演している。作品を通して、人々にそのメッセージを伝えること、チキンシェッドを知ってもらうこと、プロのパフォーマンスを見た若い人に「このカンパニーに入りたい」と思ってもらうことを目指す。これは正式な教育機関の一環であり、パフォーマーは公演への出演だけでなく子供・若者へのWSを行っている。(※カンパニーのリハーサル風景を見学。メンバーには身障者を含み、互いの動きを理解し、サポートし合い作品を作っていた。非常に仲の良さそうな雰囲気であった)


◆大学との提携 
シアターでは、ミドルセックス
大学と提携しており、学士号ではないが、Aレベル6 formの 短大の終了証を発行する。今夏のカンパニー上演作品の創作者は大学の教授。学生から外国のパフォーマーまで、このカンパニーには作品ごとに国や芸術分野のジャンルを超え、様々な人が集まるのが特徴。


Children’s and Youth Theater 子供劇場

 
100名収容。5〜13歳までの300人、13〜25歳までのユースシアター350人が参加している。学校の授業のある平日は週に一度年齢ごとにクラスにわかれて練習。子供劇場での上演のための作品づくりを行う。オーディションはなく、自分でやりたい、という意思でOK。カンパニーで活躍するパフォーマーの多くが、この子供とユース用プログラムの経験者である。  (※5歳から7歳までの子供たちのグループ練習を見学。10人ほどの輪に2人くらいずつ大人の指導者が居り、子供にいろいろなシチュエーションの説明をし、それに対する反応を子供に身体を使って表現させていた。子供達は大騒ぎでのびのびとして臆することもなく、表現を楽しんでいた)


■ チキンシェッドの国を超えた活動

 
チキンシェッドは「全世界でこのようなカンパニーを起こしたい」、という目標を持ち、“チキンシェッドの哲学”に基づき、国内で22のプロジェクトを発足させ、海外でもロシアのサンクトペテルブルクでプロジェクトを進行中である。
 

○ チキンシェッドの哲学・・(担当者の言葉より)
チキンシェッドには当初劇場はなかった、建物より人が大切。
・時間をかけ、だんだんカンパニーの内容が社会の構図をあらわすようになってきた(似てきた)。
 メンバーの5人に1人がなんらかの障がいを持つ。しかし、社会とは違い、作品の中では障がいという障がいはない。
・互いの違いを認識し享受することが重要。
障がいというレッテルで個人の可能性がさえぎられないようにする。
一緒に活動していくなかで、皆で達成していくことを大切にする。
・モットーとすることは子供も大人も同じく、子供と大人の哲学が一致。
 スタッフにも推進している→(互いに助け合う/プラス部分を見ていく/
 自分だけでひきこもらず互いに助け合い、引き出しあうこと/
 自分の個性を伸ばせる、さらに高いものを達成する/自分の箱をつくらない/脱出すること、など)
・子供は原石、できないという限界がないことに気づかされる。自分の限界を広げ、高いレベルを達成できる。
 子供を見ているとみな幸せな気持ちになり、笑顔になる。


     

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〔視察内容〕
Nick Doddsさん(Chief Exective)
による活動説明と3つのパフォーマンススペースの見学。


■ドーム・コンサートホール
一番大きな公演スペース。客席もぐるっと取り囲むようなクラシックな雰囲気。1800人収容。名前からもわかるように音楽の催しが多いが、ダンスの公演も、年間30ほど行われ、そのうちクリスマスの時期のクラシックバレエ公演以外は、ほとんどがコンテンポラリーダンスの公演。舞台が小さく、袖もほとんど無く、フライも無いが、コンテンポラリーダンス公演にはあまり困らない。リチャード・オーストン カンパニー、ランダムダンス、などイギリス国内でも有力なカンパニーの公演に加え、海外からの公演も行っている。また、プロのダンス公演のほかに地元住民に向けた催しや教育目的で行う催しも多い。視察日は地元の子供たちが明日の公演に向けてリハーサルをしていた。

■コーン・エクスチェンジ
完全にフラットになる、縦長の建物。中規模のダンスカンパニー用に最適。

ダンスで使用する場合はたいてい建物の一端に座席を階段状に320席作り、真ん中あたりに床の高さの舞台を取ることが多い。そのセッティングで今年のフェスティバルではベルギーからのカンパニーLes Ballets C. de la B.が公演した。いろいろな催しに柔軟に対応できるスペースなので、コミュニティーダンスや参加型のダンスにもよく使われている。また、貸し館としての利用頻度も高く、大きな収入源にもなっている。視察日は麻酔科医学会用に準備中だった。


 ■パビリオンシアター
 ここも完全にフラットになるスタジオシアター。引き出し式の座席セットがあり、それを使うと200人収容。ロックコンサートなど立ち見の場合は350人収容できる。ワークショップに最もよく使われるスペースで、視察日は大人用サーカスワークショップが行われていた。

 このドームを運営するのはNPO法人Brighton Dome。

 常勤のフルタイムスタッフは75人、イベントごとのパート従業員が225人。毎年5月にこのドームをメイン会場とした、3週間の「ブライトン・フェスティバル」を主催する。それ以外の時期はこのドームをアートセンターとして切り盛りする。

ブライトン・フェスティバル 
 
41年間続く、イングランド最大のアートフェスティバル。3週間に200のありとあらゆるジャンルのアートが見られる。期間中はブライトンの町全体がお祭り騒ぎになり、イギリス全土はもとより、世界中から50万人が訪れる。毎年なるべく多くの新作を創作、発表できる場にしたいと思っているとニックさん。このすばらしい劇場を持ちながら、屋外でのサイトスペシフィックな催しがだんだん有名、人気になってきており、そこに重点を置くようになってきたそう。

アートセンターとして
 
メインの劇場が音楽ホールなので、催し物も音楽が中心となっている。その次にダンス、演劇は公演スペースの関係からそれほど数は多くない。貸し館としての公演や催しも含め、年間で600のイベントを行う。

建物は200年の歴史があり、もともとは皇族の持ち物で、コンサートホールは馬小屋、コーンエクスチェンジは屋内の乗馬練習場だった。もともと劇場用に建てられた建物ではないので、管理に非常にお金がかかる上に、いつも何かの催しが行われており、経営は複雑を極める。5年前に大規模な改修工事が行われ、今のこのような美しい姿に。街の誇りとして、住民からの支持も厚い。

運営資金は30%がアーツカウンシルや地元自治体からの助成金で、70%がチケット収入や貸し館収入、バーの売り上げから。
       

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[視察内容] 
Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。これまで紹介した『StopGAP Dance Company』(視察03)と『Hampshire Dance-Youth Dance Provision』(視察04)に引きつづき、ここでは
『South East Dance-Dance Film and Young People』 『Oxford Playhouse』 『Jasmin Vardimon Company』 『Anjali Dance Company』
の4つを紹介する。

         

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。

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South East Dance-Dance Film and Young People

◆活動
(1
)ダンスフィルム(Dance on Screen。純粋な舞台で上演をするダンス作品というよりは映像で見せることを目的としたダンス作品のこと)のプロデュースと普及活動に力を入れている。なお、ダンスフィルムは日本では3年前ごろから紹介されているが、まだ知名度は高くない。Youth Dance Englandなど他組織と連携して作品を制作。

(2)幅広い層に向けた教育・コミュニティプログラムも積極的に取り組んでいる。メイン対象者は危険(社会的に阻害される可能性が高かったり、虐待、ひきこもり、いじめや幼くして親になった子どもなど)にさらされている子どもたち。こういった子どもたちの生活を向上させるためのツールとしてダンスを利用している。具体的なプログラムとしては、様々なジャンルのダンスクラスやパフォーマンスなど。さらにこういった子どもを対象にダンスを教える指導者向けのトレーニングプログラムを実施している。なおダンスはツールと考えているので、質の高い作品を作ることを目的とはしていない。

(3)リサーチ、リサーチ結果の文書化、シンポジウムでの公演、ウェブサイトでの情報提供、外部へのアドバイスなども行っている。

ダンス組織、学校など教育機関、サウスイーストの行政機関、若者むけのサービス機関など他組織と連携して活動している。

イギリスでもスムーズに学校と連携できているわけではなく、活動への理解を得るため時間をかけている。また資料作成経費を予算に組み入れ、訴求力のあるDVDなどを作成、支援獲得のツールとして利用している。

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Oxford Playhouse  (ニック・ジャイルス)

イギリス南東部のベニューのひとつで、演劇作品のプロデュースが主たる事業。大(613人)小(50人)二つの劇場を持つ。年間で16万人の観客が訪れ、うちダンスは2000〜3000人程度。 ※ダンス事業は13年前から開始した。

Developing and growing audiences
13年経ってダンスの観客層が固まってきており、二晩続けて上演できようになったが、さらにダンスの観客を開発し、数を増やす努力を行っている。

<ダンスの観客を増やすための工夫>

○様々なダンスアーティスト・カンパニーや他のベニュー、プロデューサーと協力関係を保っている。
こうした関係強化の基盤としてオックスフォード・プレイハウスの強みである演劇の観衆にも
ダンスを観てもらうための働きかけを行う
◎プログラムの中にダンスを定期的に取り入れることで、ダンスを観る観客と信頼関係を保つこと
◎演劇の観衆に受け入れられやすいナレーションの要素の強いダンス作品を取り入れる

visiting companyの例>
コアな演劇の観客がダンスを観てくれた良い例として 

 Jasmin Vardimon [Park]
 
ナレーションの要素が強く、若者に受けるテーマの作品が多い。
 
この作品を観た観客の16%が劇場の既存の顧客だった。
ほかに、Ultima Vez[Spiegel] など

そのようなvisiting companyと定期的な関係を構築するだけでなく、新しい作品を作る試みを行う=レジデント・カンパニー(※1)
○同時に、教育・コミュニティに関係したプログラムも取り入れている。(※2)
Dansing Oxford Spring 2007》−−初のダンスフェスティバルを行う。

オックスフォードですでに活動するダンスアーティストがたくさんいることから、 ダンス分野の観客層をさらに厚くするため。

ダンス作品を上演するプログラムの他に
○新しい観客の開拓・維持のために行う2つのプログラムについて (※1、2の補足)

1、レジデントカンパニー コミュニティダンス・教育面で従事
例<Walker Dance Park Music> 2006年からレジデントしているカンパニー

プレイハウスという既に確立されたインフラに支えられて、カンパニーが新しい作品を創るすばらしい機会。スタッフにとってもクリエーティブな作品を創り上げるプロセスに関わるチャンスとなる。
マーケティングなどカンパニーが発展するためのサポートも行う。

2、教育プログラム
 
上演作品に関連した教育プログラムを行う。
例<Candoco> 地元の学校と協力してワークショップを行う。
通常の学校に加え、障害のある生徒が通う学校の子ども達対象
自分の才能や技術に関して様々なフィードバックを得るチャンスに。

オックスフォードプレイハウスでは、はじめから、他のダンスではなく、コンテンポラリーのダンス作品を紹介している。演劇においても、現代的で新しい作品を多く紹介してきた。また、コンテンポラリーなオペラやダンスも上演してきている歴史がある。

     

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Jasmin Vardimon Company (アドミニストレーター テスさん)

◆作品の公演とワークショップの実施
私たちは、ツアーリングカンパニーです。作品を上演する傍ら、教育部門にも携わっています。
作品を観せるだけではなく、周った先々で教育プログラムも合わせておこないました。そのワークショップは、午後3時間のプログラムをおこなうものと、2週間にわたってプロのダンサーをまじえて、レジデンシーという形でおこなったものの、2種類あります。一番頼まれることが多いのは、作品の一部だけを教えて、公演を観るということをしている。

教育プログラムは、私たちのダンサーが主導を握っておこなっています。フィジカルダンスという形で、スクリプトがあって、ダンスがあって、そして、ご覧のように、ナレーションがあります。ナレーションの部分が大変強いわけですが、ひとりひとりが役柄を持っています。このワークショップに参加する人たちそれぞれにに、どのキャラクターをやりたいか、希望を述べてもらって、それに基づいて作品をつくっています。そして、それぞれの技能を問わない形での作品づくりをしている。

われわれの強みのひとつはテーマ性が強いということです。みんなに親しみやすいテーマを選んでいます。スクリプトをつくるために、国立劇場の脚本家にも協力をいただいています。ダンスと演劇のハイブリッドのようなものを作り出しています。

社会に関係するコメントを最初に打ち出してそこから教育プログラムをはじめていくということです。以前にやったもののひとつに、保健サービスに関するものがありました。実は国家保健サービスのコンサルタントが、われわれの作品を医者の訓練に使いたいといって、使ってくれました。ですから、ダンスの教育だけではなく、テーマベースの教育ということでも、われわれの作品が役立っているわけです。

そしてプロフェッショナルの開発にも力をいれていて、それぞれの学校でワークショップしたものに関しては、フィードバックをして、一体どういうところがよかったのかということも意見を聞いています。

学校や社会的なテーマを題材にしたワークショップもかなりおこなっています。以前いじめに関するワークショップをおこないました。そして様々な学校からぜひうちの学校でもやってくれないかと依頼を受けました。

長期の目標のひとつとしては、フィジカルダンスの学校をつくりたいと思っています。ボイストレーナー、ビデオグラファーなど様々なダンスに携わっている人を交えて大体3年くらいの学校にできればと思っています。

こういった教育に関しては、イギリスの市場ではまだまだ人材が足りないという現状です。
8人のダンサーを選ぶのに、700人のダンサーをオーディションをおこないました。結局選ばれた8人のうち4人は海外からの出身者でした。ヤスミンバーディモンカンパニーは海外のパートナーとの関係の構築、強化を図っている。

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Anjali Dance Company (二コールさん、マークさん、ロジャーさん)

■ カンパニーの特徴
Anjali Dance Companyは障害者のダンサーだけで構成された世界初のプロのダンス・カンパニーである。活動の主目的は、差別や偏見といった既成概念に対して挑戦すること、障害者もクリエイティブな可能性を持っていることを世界に見せることを目指している。Anjali Dance Companyはすべての人がダンスを学ぶ権利があり、また望むならダンスを自分の生業として選ぶ権利があると考えている。

■ 活動について
アーツカウンシルから定期的な助成を受けている。また、国内外でツアーを行っている。国外では、ポルトガルやベルリンでのフェスティバルに参加している

 
―ダンスフィルム「サムシング・ワイルド」を鑑賞―

*「サムシング・ワイルド」は著名なコレオグラフィーを招き、「ニューアートクラブ」「ヴィンセントダンスシアター」に協力を得て制作された。学習障害を持った人が参加している。

■ 作品について
プロのコレオグラファーにアイデアを出してもらい、それに基づいてつくっていく。障害者もアイデアを出し、協力してつくっている。また、インプロビゼーションを用いることもあるし、観客からのアイデアを取り入れることもある。その他、ダンスフィルムをつくる活動も行っている。

■ 教育部門について
Anjali Dance Companyは学校からはじまった活動なので、教育部門の活動は重要だと考えている。教育部門ではパフォーマンスのサポートや補完を行っている。

ワークショップ活動については、学校や大学、ユースグループを対象に、障害者がワークショップリーダーとなってプログラムを行っている。また、活動拠点としている地域、Banburyに多く居住するパキスタン系のイスラム教徒の障害者たちもアウトリーチ活動で取り込んでいきたいと思っている。

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※この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんへのインタビューは、視察04の最後に掲載しています。


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    Sadler's Wells 


           

Ms. Emma Gladstone 
(
スペシャルプロジェクトコンサルタント)


1997 – 2002までプレイスにてアソシエートディレクターを務めた後、
現在はフリーのプロデューサーとして、サドラーズ・ウェルズでは
様々なリサーチや、サイトスペシフィックな作品などを手がけている。

〔視察内容〕活動についての説明を受けた後、劇場見学

 

■ Sadler's Wellsについて 

    1998年にロンドンのイズリントンに設立された劇場。コンテンポラリーダンスをはじめ、カッティングエッジなパフォーマンスなど幅広い作品を上演し国際的に高い定評を得ている。子どもから高齢者まで広く地元コミュニティを対象にした教育プログラム(Connect)にも力をいれている。日本の旅行ガイドブックや、ロンドンのミュージカル劇場マップにも掲載されるほど作品鑑賞劇場としてメジャーである。

 

    

■ 活動内容

(1)作品上演  
   
上演に加えてアーティストによる一般や学校向けのワークショップも実施。
   
話題性のある公演を実施しニュース性を持たせれば草の根活動も注目され、効果が高まると考えている。

(2)アーティスト支援 
  
.螢機璽船廛蹈哀薀燹
 
小さなスペースで発表した作品を大きなホールで上演できる作品に創りあげるための支援を行なっている。

  ▲▲愁轡┘ぅ肇◆璽謄スト
 
まだひとり立ちてきないアーティストをアソシエイトアーティストとして選定し、著名なアーティストによる公演の前座や、地元学校でのワークショップ実施など活動の機会を提供。

(3)地域プログラム
 
アウトリーチ活動のハイライトとして年に1度行われるフェスティバルでは、2000人以上の地域住人の人々に上演の機会を提供。


◆経営   

アーツ・カウンシルからの資金が最大の資金源。
資金調達担当が5名着任している。

 

      





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インタビュー Polly Risbridger(Creative Producer)


〔視察内容〕活動についての説明を受けた後、劇場見学、ワークショップ見学、DVD鑑賞

 

East London Danceについて

East London Danceはロンドン東部のストラットフォードにあるダンス・エージェンシーで、Stratford Circusを活動拠点としている。ロンドン東部は多民族が暮らす地域で、文化的に多様な背景を持つ地域である。East London Danceはロンドン東部の住民に対してダンスイベント、ワークショップを通して地域のダンスの発展のための活動を行っている組織であり、それらの活動がこの地域のコミュニティの中心になっている。プログラムの運営は9名のスタッフ及びフリーランスのダンサーとの協力体制のもとで行われている。年間予算は50万ポンド。


Stratford Circusについて

Stratford Circusは、もともとダンスの授業を行っていた大学(『NewVIC』)が、「クリエイティブ」を教壇で教えるだけでなく、実践することが必要だという考えのもとで設立した劇場である。再開発の中心地域である、2012年のオリンピック会場に近い場所に位置している。館の運営形態は、月〜水曜日までは貸館営業、木〜土曜日はアーティスティック・プログラムとして大人向けプログラムと青少年プログラムを行っている。Stratford Circusが対象としている年齢は、0歳〜94歳までであり、プログラムの人気は年々高まっている。館の運営に際しては、教育プログラムが前面に押し出され、地域住民にとっては「自分たちが参加できる」というのがこの劇場の魅力となっている。年間総予算は631,000ポンド。運営にはNewVICやEast London Danceの予算が投入されており、それぞれの組織が資金やリソースを活用して協力体制をつくりながら運営を行っている。


  


Stratford Circusの4つの戦略

1)          観客を培うこと 
⇒劇場・野外・サイトスペシフィックなイベントを実施する

2)          アーティストの育成・発展
⇒活動のサポート、精神的なサポート、様々なジャンルのアーティスト同士で協力させるプログラムの実施など

3)          子どもたち、青少年に向けた活動
⇒正規の教育制度に対応するプログラムと、課外活動に対して行うプログラムを実施。青少年が「ダンスに触れること→ダンスを続けること→ダンスに卓越すること」までを目的に、プログラムを行っている。

例)クリエイティブ・パフォーマンス・プロジェクト、サマースクール
=はじめてダンスに触れた子どもたちに、その後もダンスをする機会を提供するためのプロジェクト。ロイヤル・オペラ・ハウスのアーティストと協力して、ヒップホップやコンテンポラリーダンスなど様々なジャンルのダンサーたちが加わって実施。それぞれのジャンルのダンスを学びながら、新しいアートフォームを開いていくプロジェクトを行っている。

  
ユースダンス(『イーストロンドンダンス・ユースカンパニー』)
=対象年齢は14歳〜24歳、毎年オーディションを行ってメンバーを構成している。

4)          高齢者・大人向けのプログラム(『ミート・オブ・フェイス』)
50歳以上のメンバーによるダンスカンパニーがあり、月に1回公演を行っている。老人ホーム、デイサービスセンターでの活動を行い、体が活発でない人と劇場のかかわりを深めている。

【その他】
 他の地域のダンス組織とのネットワーキング(『ロンドン・テムズ・ゲートウェイ・ダンス・パートナーシップ』)を行い、ダンスをロンドン東部地域の再開発の波に乗せていくことを目指している。オリンピックを機に、ロンドン東部の声をダンスプロジェクトとして世界中の人に伝えていくこと、また、ロンドン西部は豊かでロンドン東部は貧しいという位置づけをダンスの力で変えていくことを目的として行われている。

オリンピック誘致に関連する活動

ロンドン東部はもともと貧しい工業地帯であるが、再開発のために資金が投入され、オリンピックが誘致された。誘致にあたっては、この地域の若い人たちの夢、前進、チャンス、進歩といったイメージを誘致作戦に取り入れた。

 
ダンス・アスレチック
学校教育にダンスを取り入れていくことを推奨した、先生向けのリリース・パックの製作(2007年秋に完成予定)

 オリンピック・リンクス
オリンピックにインスピレーションを得て製作されたダンス・フィルムで、160名の若者が参加している。もともとオリンピックをテーマにしたワークショップが行われていたところ、ワークショップが終わってもその活動を残すためにフィルムが作成された。なお、このフィルムは誘致用のみに作成されたものではなく、学校でオリンピックの認識を高めることを目的としており、出演者の家族や友人を対象に劇場で上映している。   


ワークショップ見学
〜『イーストロンドンダンス・ユースカンパニー』のワークショップ見学〜

  


・年少クラス(推定10歳前後):女子3名、男子5名、指導者3名。
ペアになり、映画のアクション・シーンのような振り付けのダンスのレッスンを行っていた。個別レッスンの後、一組ずつが発表。年齢、人種はさまざまだが、ダンスに対して真剣に取り組み、また楽しんでいる様子が伺えた。

・青年クラス(推定10代後半):女子5名、男子4名。指導者は1名。
鏡張りの壁面のある明るい部屋でレッスンが行われていた。このクラスも様々な人種の若者たちで構成されていた。個人で自主的にレッスンを行ったあと、音楽にあわせて全員で踊る。指導者が、振り付けに対して細かな指示を出し、生徒はそれらを習得しようとしていた。レッスンの途中で休憩する生徒、ある振付を繰り返し練習する生徒など取り組み方はさまざまだが、ダンスに対する真摯な姿勢と熱意が感じられた。


オリンピック・リンクスの視聴

5分版、23分版の2種類のうち、23分版のフィルムを鑑賞した。赤・黒・黄・青などの原色のユニフォームを着た、多様な人種の大勢の子どもたちが、学校、通学路、公園などでダンスを踊る。ダンスのモチーフとなっているものは、水泳、器械体操などのさまざまなオリンピック競技であり、それが大変ユニークである。カメラワークや編集も工夫されており、アート・フィルムとして充分なクオリティを持った映像だった。


視察を終えての感想

East London Danceのあるロンドン東部はロンドン中心市街地と比べて雑多な雰囲気であり、さまざまな民族の文化を感じさせる地域だった。この地域一帯は2012年のオリンピック開催に向けて再開発が進められ、地価も上りつつあるという。今回の視察では、このような多種多様な文化を背景に持つ地域のコミュニティ、なかでも若い人たちに対する活動に関して、ヒアリングの要所要所でEast London Danceのスタッフの誇りと熱意を感じた。今回の視察でもっとも驚いたことは、オリンピックの誘致にダンスを活用するという発想と、地域のイメージをダンスによって、それも若い人たちのそれによって変えていこうという戦略だった。しかも「オリンピック・リンクス」の場合、オリンピックの誘致目的のためだけに行われているのではなく、地域の人の意識をオリンピックに向けて高めていくために行われていた活動だという。オリンピック誘致が成功する・しないは別の問題として、とにかく貧しい地域をポジティブなイメージを持って変革していこうというEast London Danceの信念と実行力を感じた。日本の状況に置き換えて考えてみれば、まずダンスによって地域のイメージを変えていこう、そしてオリンピックを誘致しようという発想が生まれてこないであろうし(もし生まれたとしてもそれを実現するのは大変困難だろう)、青少年のダンスによるフィルムを誘致のプレゼンテーションのツールのひとつとして活用するという動きにもなかなか至らないだろうと思う。現在の日本でこのプロジェクトをそのまま参考にすることはまだ難しいだろうが、困難な地域における若い人たちの成功と発展に対する熱意とビジョンを持ち続ける姿勢は見習うべきものがあった。

 

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インタビュー Mr Brendan Keeney (Director)

    

−歴史について

「グリニッジ・ダンス・エージェンシー」(以下GDA)は、1993年に始まった。
1980年代にグレアム・デブリンによるレポート「ステッピング・フォーワード」の中で、「いろんな芸術のかたちがある中で、なぜダンスは音楽や演劇のように社会に大きく開かれていないのか?」ということについて書かれた内容のものがある。

「一番の理由は、ダンスにはインフラ(経済的基盤)が無い。音楽はコンサートホール、演劇は劇場、ビジュアルアートは美術館・ギャラリーがあるが、ダンスはそんな既存の小屋を借りて表現しないといけない存在であることが多きな原因ではないだろうか。」といったことが書かれているが、このレポートについてアーツカウンシルがダンス関係者を巻き込んで「ダンス評議会」を設け協議をしはじめた。

評議会では、まず、インフラが無いことをマイナスのポイントではあるが、ある種のチャンスになるのでは?というところから、ダンスの将来性を探っていった。そこから21世紀の芸術の施設を創造していくと、大事なこととして、アーティストが、コミュニティーに基盤を置いてコミュニティーと共に活動し、また、観客は受動的に単に鑑賞するだけでなく積極的に参加することが必要だ、ということになり、「ナショナルダンスエージェンシー基金(national dance agency development fund)」(以下NDA)が創設され、それがダンスの経済基盤となった。ダンスの組織も地域に似合ったかたちでさまざまであるべきで、柔軟な解釈がなされるよう「ダンス・エージェンシー」と名付けた。また、場所については、全ての地域に施設がある必要は無く、学校や劇場がもともとあって、そこで、プロのアーティストが積極的に活動しているところが面白いと感じた。例えば、イギリス南西部(South West England)とロンドンでは、コミュニティーでのニーズが違う。そういった場合、ダンス・エージェンシーは施設でなく、事務所だけも良いのでは、など、地域によってさまざまなあり方が考えられる。

GDAのこの建物は、もともとグリニッジ区の区役所として使われていた建物で、文化財指定されている歴史的建造物。GDA初代ディレクターのリチャード氏は、隣の区、ルイシャム(Lewisham)区で、ダンスのワークショップを開催していて、このビルが閉鎖されることを聞いた。リチャード氏は、区役所の人でダンスの可能性に興味を持ってくれた人たちと話をし、プランを練った。この文化財指定されている建物の閉鎖には課徴金(92年時で年間10万ポンド:約2600万円)がかかる上、閉鎖後の管理にもお金がかかる。しかし、慈善的活動や、NPOの活動に使用されるならば、課徴金は支払わなくて良くなる。そこで、リチャード氏は、この建物と10万ポンドを元に、ダンス・エージェントの運営について、アーツカウンシルに相談しNDAの協力を頼んだ。


GDAの活動について

今我々がやっていることは、リチャード氏がアーツカウンシルとの条件に盛り込まれた以下の内容が基本となっている。

 
1.地域の人のためのコミュニティープログラムの実施
2.プロのアーティストダンサーの育成とサポート
3.イベント、パフォーマンスの開催

GDAが立ち上がって間もなくして、アーツカウンシルには多くのダンス企画が殺到し、資金援助のための新しい条件が設けられていった。ダンスに関しては、国を10の地域に分けてそれぞれの地域で一団体のみにNDAが資金援助を行うようになった。ロンドンについて言えば、リチャード氏もモデルとした「プレイス」という団体があったので、そこに資金が流れ、私たちの国からの資金援助は枯渇してしまった訳ですが、ただGDAは成功したということで地方からの資金の援助を得ることができたので今でも存続が維持できている。
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Q佐東:地方からのお金というのはアーツカウンシルとは別なのですか?
A:当初も今もそうですが、財源は二つあって、地方のアーツカウンシルと地方政府からです。全国のアーツカウンシルからはわずかなお金しか入ってきませんでした。ごく最近になって、すべての補助金は地方のアーツカウンシルを通して分配されなければならないということなりましたので、今では「プレイス」もわれわれと同じで地方のお金しかもらっていないので我々と変わらない。


Q佐東:アーツカウンシルからのお金も地域を通して配分されるということは、「減る」ことなのでしょうか?それともただ、地域を経由するということだけですか?
A:基本的には国から地方に分配されるので基本的には減らない。しかし、地域に分配される金額のロンドンのシェアが減ったということがあります。基本的には事務手続きの変更なだけ。



−具体的な活動の紹介                   

2年前にアーツカウンシルの資金源でもある「宝くじ(ナショナル・ロッテリー)」に、小さな団体がどのような活動をしているのかを報告する為につくられた映像を紹介。
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○キーニー氏(GDAディレクター)
CanDoCoダンスカンパニーなども練習をしていますが、とてもリラックスした雰囲気の中でクォリティーの高い作業が進行しています。

○フィン・ウォーカー:Fin Walker(振付家/ダンサー)
自分で何かを起こすことができる場所。子ども達がいろんな経験ができる。

○アクラム・カーン:Akram Khan(振付家/ダンサー)
いろんな人たちが関わっているのでダンスというより「人」による場所。

○デビッド・アジャイ:David Adjaye(アーティスティック・ボードメンバー)
アールデコ調の素晴らしい建物。こういう場所を得ること自体とても価値あることである。若い人たちがダンスを通して律することを学び、一生懸命に何かをすることの価値を見出し、パフォーマンスを楽しんでいる。短い期間でこのような変革が起こって来たことが素晴らしいことだと思う。

区全体に影響が行き渡っている。小学校中学校とプロジェクトを行い、プロのダンサーだけでなく地域の人たちとの対話が進んで行くということで協力的な役割も果たしている。もっといろんな人がダンスをみるチャンスが得られるということで貢献出来ている。
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私たちの活動は、先にご紹介しました3つの中心となる柱に基づいて事業計画をたてている。しかし、計画通りに進めるものもあれば、そうでないものもある。それが我々のような小さな組織としてのメリットで、柔軟に対応しながら運営している事業計画は時々変わるけれども「ミッション:使命」は変わらない。その「使命」というものは5〜10年のものではなくて、50年かけて達成していこうとするもの。それは、人々がダンスをみるという「見方」を変えてもらうということ。

よくダンスは、高尚なダンス、低俗なダンス、簡単なダンス、難しいダンス、などといった分けられ方をするけれども、我々が強く確信していることは、そういった分け方は無いということ。もし、子どもの頃から難しいダンスというものに馴染んでいれば、難しいものではなく、簡単なものとして受け止めることができる。抽象的なダンスで、このダンスにどう反応したらいいのかわからないと怖がる気持ちがあって敬遠されることがあるが、我々は50年かけて若者達があらゆる種類のダンスを理解できるようにしていきたい。その中にはもちろん好き嫌いは出てくるだろうが、少なくともダンスをわかってもらえるようにしていきたいと思っている。


−3本柱で具体的に実施していること

1.地域の人のためのコミュニティープログラムの実施
 フラメンコ、ブレイクダンス、コンテンポラリーなど、比較的とっかかり易いダンス教室を多数行っている。
我々の組織がダンス「センター」では無く「エージェンシー」と言っているのは、学校や、老人ホーム、ユースセンター、生活保護を受けている家庭が住む「地域」にこちらから入っていく団体であるから。数キロ離れたところでも私たちから出向いている。
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Q(櫻井):「我々」というのは?GDAに属するダンサーたちを含めて言っているのか?
A:「我々」という時は、GDAの9名のコアになるスタッフのこと。この場所をリハーサルやパフォーマンススペースとして使っている大勢のダンスアーティストたちは登録性をとっている。そして、そのコアなスタッフが登録アーティストたちのコーディネーションを行って常に30〜40名ほどのダンスアーティストと仕事をしている。

2.プロのアーティストダンサーの育成とサポート
 GDAでは、いろんなタイプのダンサーに支援を行いながら、ハイレベルなダンスのプログラムを行っている。

 まず、2つのスペースを利用した質の高いダンスプログラムやリハーサルなどを行っている。その他に、申請書類を提出しないといけない時に書き方をアドバイスしたり、オフィスが必要な場合は提供したり、さらに、パフォーマンスを上演する機会を提供したりもしています。私たちは普通のプロモーターというより、ダンサーたちの「手助け」をしていると認識している。先程の映像の中に、フィン・ウォーカーさんと、アクラム・カーンさんという振付家/ダンサーがいましたが、彼らは我々の育成プログラムで育ったと言っても過言でないアーティストたちなので、今回の映像作成に協力してもらった。彼らは、今はロイヤルオペラハウスの所属のダンサーであり、今でもここでリハーサルなどを行っている。

また、プロのアーティストの育成に成功しているひとつとして、このグリニッジという地区が、ダンスアーティストが集中している「コミュニティー」であること。というのは、この地区には、「ラバンセンター」が30年程活動していることが影響している。ラバンセンターで勉強した人たちが住宅事情の安いこの地域に、そのまま留まる人たちが多い。

3.イベント、パフォーマンスの開催
 定期的にイベントや公演を行っているが、ロンドンのダンス業界の事情もかわってきていて、さまざまな団体がプレゼンテーションするようになってきた。我々はその中でも、これまでGDAを支援してくれたダンサーと、長年我々のダンスクラスでずっと教えている人を優先している。日頃、良いダンスの先生であれば、そもそもの素晴らしいダンスアーティストであることを忘れられがち。我々は、その人たちが表現する場所を提供している。

もうひとつ、我々の特徴でもある劇場が無いが「スペース」はある。純粋に劇場向きではないものをもっと違った形でみせられるものというものをどんどんやっている。あと、最近はじめたことで、今年のはじめから月に一度の「キャバレー」ということをはじめた。基本的な考えは、コミュニティーでダンスと観客が融合していくこと。誰もが、作品のプログレス、新しい作品、誰もが親しむことができる、フラメンコサークルや子どもたちの発表など、10分間程度で何でもありな公演。プロアマ問わず上演することをはじめた。毎回チケットが完売になる程の人気。
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Q:アウトリーチを行ったりしているのか?その際受講料はとるのか?
A:場合によって違う。放課後の学生向けダンスクラブは有料。スポーツ関係と年間契約を結んだりもしている。


Q:シニアの参加者は積極的なのか?
A:浸透して行くのに時間がかかったが、年に2〜3回の開催を、1月に1回の開催に増やし、序々にクチコミで広がっていった。7年間ほどかけて地道に広がって行った。ティーサロン風に行われる「ティーダンス」が人気。


Q:GDAに関わる地元の人が増えていった原因は何ですか?
A:「キャバレー」がきっかけ。誰でも参加しやすい仕掛けが良かったのか。地元だけではなく、ダンスフェスティバルの「ダンスアンブレラ」の時期などは、ロンドンじゅうから人が集まる。
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ロンドン南西部の特徴とも言える、多人種の住民が多く、決して豊かとは言えない地域、そして、「ラバンセンター」の存在といった「グリニッジ(人口22万8100人:2001年統計)」らしい地元のアイデンティティーを持ちながら、世界的に評価を得ていきたいと考えている。

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インタビュー   Linda Jasper, Executive Director
       


 〔視察内容〕 活動内容の説明と劇場見学



■ユースダンスイングランドの活動

 若者とダンスをつなげるナショナルダンスエージェンシーとしては、YDEは初めてのダンスエージェンシーである。資金源は教育技能省とアーツカウンシル。3年前に発足し、資金は2011年まで受けることになっている。イングランドには9つの地方の組織があり、ネットワークをつくって、若者にダンスを浸透させていくことと、そのサポートをしている。こ
れまでには、それぞれの地方で、どんなコミュニティダンスの活動をおこなっているのかということを調べ、今後発展していく可能性のある分野を見極めたり、あるいは今後も続けていく部分を見極めたりするなどの、サポートをしている。また、手に入れた情報をすべてナショナルデータベースとして保持しています。各地の団体がそれぞれの形でユースダンスを地域に発展させるプログラムを組んでおり、国レベルでのスキーム企画を立てて、そこにみんなが加わっていく形で、全体でダンスを高めていこうという動きである。


 実施事業例1 ユースダンスフェスティバルの開催
ナショナルスキームのひとつにナショナルユースダンスフェスティバルがある。このパフォーマンスは、イングランドの北西部にありますマンチェスター近郊のラウリーという劇場でおこなわれることになっています
われわれがイングランド全体から選んできたすべてのグループが集まりまして、 ワークショップやパフォーマンスをおこなっています。このフェスティバルの開催が決まったときに、それぞれの地域でオーディションをおこない、選考をおこないます。

 実施事業例2 ユースダンスの映像のTV放映
ナショナルスキームのもうひとつの例といたしまして、昨年チャンネル4という地上波のテレビ局がありまして、若いフィルムディレクターたちにユースダンスについてのフィルムを撮影してほしいとコミッションし、撮った作品を11月にテレビで放映いたしました。

■ユースダンスに携わる指導者のサポート

若い人たちと一緒に仕事をしている人たちに対してのサポートもしなければいけません。そして、基準をあげたり技能をあげたりということもサポートをしていくという上で、会議もおこなっています。4月にリバプールで数百人の若い人たちを教えているダンスの先生を集めましてダンスに関する問題点やグッドプラクティス、どんな慣行をすすめるべきかを話し合いました。平たくいって、われわれの役割というのはユースダンス国中で関わっている人たちの絆を深めてみんなの基準を高めていくということです。そしてわれわれの任務の範囲は、ダンスの種類は問いません。しかし若い人が対象となっています。ダンスのジャンルは問わないといいましたが、大きく見渡してみますと、やはり一番多いのが、コンテンポラリーダンスと呼ばれるもの、クリエイティブダンス、ストリートダンス、ジャズダンス、南アジアのダンス、アフリカのダンスがこうしたダンスが中心となっています。

こうしたダンスゾーンというのは若者には魅力のあるジャンルをまだ先生が教授法として確立していないジャンルであると思うんです。たとえば、バレエについては、長い歴史のなかで、確立されています。ですので、バレエに関しては、われわれはサポートする必要がないわけです。


■ユースダンスに関する問題点

1.  まだまだダンスにアクセスがない若者たちが多

われわれが抱えている問題なんですが、まだ若者の中でダンスにアクセスがない人が多いなと感じています。地方のインフラをつかってもっとたくさんの人に対してダンスに対するアクセスを提供していくことがわれれれのもくろみなんですが、でも農村部などでは、まだまだダンス、とくに様々な形でダンスを提供することとができていないと感じています。

2.ユースダンス=「学校の外でのダンス」というイメージ

もうひとつ、ユースダンスというのは言葉なんですけれども、ユースダンスというイメージが、「学校の外でのダンス」というイメージなんですね。ただ一方で、今政府の方針としては、UKについて全体にいえることなんですが、学校に対してどんどん資金を提供して、教育だけでなく社会部分でも学校の役割をもう少し大きくしていこうとしている。ですから、たとえば子どもたちをもう少し長い間学校にとどめることによって若い両親や共働きの両親が、もっと長い間働けるようにして、たとえば、託児施設などをあまり心配せず、それによって家族の経済状態もよくなって、社会的な地位も高くなるということを目指しているんですが、その間に学校の修了科目だけではなくていろんなことを子どもたちに学ばせるチャンスを与えようというスキームを現在政府が進めているところです。

最近われわれが依頼を受けることがあるのですが、学校との協力体制をもっと深めてほしいということです。学校の先生とダンスの先生をうまくつなげることによって、学校の外のダンスの先生が学校のなかにもっと専門化されたダンスを持ち込めるようしてほしいというふうに依頼されています。子どもたちにダンスを教えることによって、政府は1週間に少なくとも4時間くらいは子どもに運動させてほしいという方針を打ちたてています。実はイギリスでは肥満が大変大きな問題となっておりまして、子どもたちにもっと運動させなければいけないというんで、その一環としてもダンスが取り入れられようとしています。PSAというパブリックサービスアグリーメントというのですが公共のサービスにおける合意ということで、子どもたちに1週間に4時間の運動が義務付けられています。


■これまでの成果が今やっと花開きつつある

私は実はダンスに携わって30うん年になるんですけれども、ここにきて初めて感じるのは、これまでわれわれがダンスの教育とかコミュニティにつなげていこうという努力をしてきたんですけれども、それが今花開きつつあるなと感じています。政府も、あきらかにダンスというものが、政府がかがげている目標を達成するための道具になると認識しつつあると感じます。
ということなのですが、イングランドでは、わたしたちは、今とてもダンスについてはエキサイティングな時期をむかえていると思います。

             

■イギリスの学校におけるダンスについて

国のカリキュラムというのがイングランドでもありますが、ダンスというのは体育の一環として11歳までは義務になっています。11歳以降ですが、そのあとは5つの選択しが与えられまして、そのなかの1つがダンスになっています。学校はダンスを教育の一環として提供することもできます。必ずしも必要ではないですが。ただ16歳のときJCSE、18歳のときAレベルという国レベルの試験があるのですが、その科目としてダンスも取ることができます。Aレベル、JCSEの試験において、ダンスという分野は急成長をとげておりどんどん人気が高まっています。ただ、中学の分野で、体育の先生で高いレベルでダンスを教えられる先生、人材が限られているという問題があります。
ということで、われわれYDEの存在は政府にとって大変重要で、学校と専門のプロとコミュニティダンサーとのかけはし的存在になっています。


■ダンサーと学校(先生)とのかけはし

ダンスを習得するというのは、世界中どこでも共通だと思いますが、ダンスというのは、ダンスは誰かに教えてもらう、そして伝えていくという形で伝承されていくというものだと思います。イングランドにおけるプロのアーティストたちの多くは、教えるということもしています。それは当然経済的な理由でもあって、ひとつの収入源になるから、そして自分の活動を続けていくための経済的な理由として先生をしているのですが、特にわれわれが協力したいような先生たちというのは、若い人たちとか、アマチュアのダンサーたちと一緒に仕事をすることによって、自分のクリエイティビティにもとても大きな影響力をもっているというふうに感じているみたいなんです。自分のクリエイティビティを高めるためにも、アマチュアの人たちと一緒に仕事をすることを大切に思っている人たちがたくさんいます。

特に非常に貴重な存在だと思うプロのアーティストは一体どういう人たちかといいますと、アイデアやアーティスティックプロセスについて、先生としてああしなさいこうしなさいと指示をするような人たちではなく、時間を共有することによって、若い人たちやアマチュアの人たちと協力しながら一緒にみんなで学んでいこうとする態度をもっているプロの人たちです。
つまり民主的なアートとでもいうのでしょうか、みんなアーティストだという考えに基づいているんですね。ですから、その題材ですとか、作品すべてを、誰がオーナーなのかというと、それはプロジェクトを進めているアーティストではなく、そこに参加しているすべての人たちみんなで共有するということが望ましいのです。なかなかそういう人材を見つけるのは難しいとはいいながら、最近コミュニティダンスの運動が高まるにつれて、そういった人材がふえていると思います。こうやって民主的にアートを共有するという形ですすめていくアーティストの数は増えているというのが現状です。


■コミュニティダンスが今に至る背景

 
ここで背景をお話いたしますと、私は草分け的な存在なのですが、ロンドンのバークシャー州という全体でダンスのプロジェクトをしていました。私は最初からつまりはコミュニティダンスの成長というものを見守ってきたわけなのですが、今となっては、コミュニティダンスというのは主流化されていると思うんですね。ダンスのメインストリームといっても過言ではないと思います。昔は、メインストリームとコミュニティダンスというのは別個にになっていたのですが、今では壁は取り払われているというふうに感じます。コミュニティダンスだけで活動しているアーティストもいますけれども、他の領域のダンサーがコミュニティダンスのなかにかなりはいってきているというのが現状です。

もちろん、芸術のための芸術家と、コミュニティのなかでも芸術をしていきたい、コミュニティの中でも芸術をすすめているアーティストでの間の緊張はなくはないのですが、それでも緊張は今だんだん解けてきていると感じます。いわゆる純粋なアーティストと、アートを道具に使っているアーティストの壁というのもだんだん薄れてきていると思います。



■新しいアートフォームを創出するダンス

 
ダンスというのは、実は公の資金を受けるアートフォームとしては最後のものだったんです。たとえば、絵画などのほかのアートフォームが先に公からお金をとってしまって、ダンスというのは、ハイアラーキー、つまりピラミッドでは一番したの存在だったのですが、ですから、たとえば、アーツカウンシルは、ほかのところが優先されて、ダンスは一番最後というところがあったわけです。もちろん非常にバレエ団とかは、異例の存在ですけれども。

そういったことでダンスは他のアートフォームに比べてお荷物が少なかったということがいえるかもしれません。そういう意味で柔軟性を持つことができた。新しいアイデアをどんどん取り入れることができたと思います。アーツカウンシルからお金をたくさんもらっていると、クライアントからの要望が非常に強くなって、あれをやれとかお荷物が増えてきてしまうのですが、ダンスはお金ももらっていないんだから、勝手にやってもいいでしょということで、そういった意味で新しいことがたくさんできたと思います。新しいものを取り入れてきていることに対して、今になって他のアートフォームがまねをしてきているなと思っています。


■いまアートの社会的影響が高まっている

 最近はどこの劇団でも劇場でも規模に関わらず教育プログラムを持っています。子どもたちにアートを施そうという動きがみられますが、アートの社会的影響力がいまどんどん注目されてきて、その影響力が高まっていると思います。労働党政権はアートが社会でとても重要なんだと強調する傾向があって、学校教育を通じて、今まではアートの観衆でなかった人たちもどんどん取り込んでいこうというそういった運動が生まれています。

いろいろな劇場がおこなっている教育プログラムというのは、当然、新しい人たちを取り込もうという意図もあると思います。そして芸術的体験をみんなにしてもらおうということがあると思うのですが、それと同時に劇場がかけている作品とオーディエンスの関係や、作品をを理解してもらううえでワークショップを開いているわけですよね。こういったふたつの全く違う方法によって、新しい観客を芸術に取り込んでいこうというそういった動きがあるようです。


                  

■質問

Q.今日本でも、若い人が学校にいかなかったり、子どもが人を殺すなど悲惨なことがあります。現在、まだ始まったばかりだけれども、私たちは学校にアーティトと行けるようにアプローチをしているのですが、イギリスでも子どもたちの問題があったことによって運動が広まってきたということがあるのでしょうか。

A.そういう傾向はあります。イングランドにはピープルリファーラルユニットという組織がありまして、学校で手のつけられない子どもたちや、学校に行きたくないなど、学校から阻害されてしまった子どもを別の教育機関に行って、そこで更正させるというようなものです。バンキングファンデーションというものがありまして、リファーラルユニットに対する援助、アートの振興というもの、アートの分野での資金の提供をしてきました。私はアートの中でもダンスを特にピープルリファーラルユニットに紹介するということをおこなってきました。学校から阻害された子どもたちをもういちど教育の場に取り戻していこうという動きがあります。

 
ダンスユナイテッドというものがありまして、振付師であるバーンスタインドバリュリュースさんという方がやっているカンパニーです。学校の落ちこぼれだけではなく、刑務所に行くのにはまだ早すぎるような若い犯罪者、少年更正施設ようなところでダンスを取り入れるということもしています。ダンスユナイテッドは、刑務所や少年院でダンスを教えて、効果が絶大だったということで、大変成功をおさめたダンスカンパニーです。映画もできています。ファンデーションフォーコミュニティダンスから発刊されているアニメイティッドという雑誌にも取り上げられていますのでぜひご覧ください。

イギリスの北部のチュシャに女性刑務所がありまして、そこでもフルタイムのダンサーの先生が、女性の服役囚に対してダンスを教えるということをしています。
さらに北部のヨークシャー州のブラッドフォードというところにダンスアカデミーが創設されまして、若い犯罪者に対して、ダンスを踊るのを何時間か義務付けていまして、懲役の一環としてダンスが取り入れられています。
更正施設においてダンスがおこなわれるというのは、どんどん注目をされてきています。


ダンスユナイテッドというところがリサーチもおこなっていまして、ダンスの更正施設に取り入れるということで、服役囚、若い犯罪者の子達のみならず、刑務所そのものの文化も変わってきているというリサーチ結果もでています。刑務所を取り仕切っている偉い人たちが服役囚とどう接するか、や刑務所自体の運営にまでダンスの影響が及んでいます。

Q.ユースダンスイングランドに依頼が増えてきているということだったが、学校から依頼されるのか、それとも政府から依頼されるのか?

A.ダンスがナショナルカリキュラムにはいったのは随分前のことです。私たちの役割として、ダンスを教える基準、先生の水準を高めるという役割がひとつあるわけです。


誰から頼まれているかというのは、政府です。マスコミ省、教育技能省からです。なぜそういった省庁から頼まれるかといいますと、学校から政府に対して、「アートを教えたいのだがなかなか人材がいない」というような問題を政府に持ちかけて、学校が抱えている問題を政府が汲み取って、私たちのところに橋渡しをお願いしますということになりました。

Q.芸術のための芸術家と、コミュニティ活動をしているアーティストの緊張があるということをおっしゃいましたが、コミュニティで活動している人が芸術家になりたいと思っているのか、また芸術のための芸術家がコミュニティの仕事をしたいと思っているのか?

A.お答えとしては、個人によると思います。例としてはランダムダンスのマクレガーさんはもともと小さなコミュニティダンスの出身で、カンパニーを立ち上げて、今非常に人気のあるカンパニーへと発展しました。基本的にはハイアートであり、 そういったこともやっているのですが、それと同時にコミュニティダンスをしている。両立させている方で、ボリショイやロイヤルバレエで振り付けもしながら、コミュニティでも同じように仕事をしています。ファウンデーションフォーコミュニティダンスの役員でもあります。非常に面白い例だと思います。なかには、「私は全くコミュニティダンスなんて興味はありません」という人もいます。

それでも今でも数としてコミュニティも仕事のなかにいれていきたいという人が増えているということがいえるのは事実だと思います。昔はとても2極的で、プロのアーティストとコミュニティのアーティストが全く分かれていたのですが、今は両立している人たちがどんどん増えてきています。昔はお金がもらえるからコミュニティで資金を得て、自分の本当のやりたいアートの資金源にしていた人がたくさんいたが、今は両方を両立させたいという人が増えている。


確かに、究極的に、芸術家というのは妥協をしたくない、自分が満足する作品をつくりたいというのがミッションなわけですから、なかには、自分のカンパニーを持たなくては満足を得られないという人もいますし、なかには、コミュニティに接していくことが喜びなんだという感じている人もいてそれぞれです。ただ、コミュニティで仕事をしていくことが自分のプラスになると感じている人が増えている。ベルギーの○も多様な活動をしている。

Q.どのように地域のオフィスとネットワークを組んでいるのか。

A.契約書がわれわれの中で存在します。それぞれの地域の協力先に対して、この部分を頑張っていきましょうという10の決め事があって、10点について、それぞれのリージョナルオフィスが3ヵ月ごとにわれわれにレポートを出します。どれだけ頑張っているかという進捗状況をみて、お金を出すか出さないかを決めます。また、会議をして、どんな問題があるのか、ということについて話し合って、ナショナルイベントを一緒に計画するということもしています。

 


 

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インタビュー

Antony BowneDirector

Veronica JobbinsHead of Education and Community Development

Alysoun TomkinsDirector of Dance

〔視察内容〕各担当者から活動内容とプログラムの説明を受け、施設内並びにワークショップを見学


 

■ ラバンの特徴

〃築

ラバンの特徴の一つに、ヘルツォーク&ド・ムーロン設計による、ラバンの校舎そのものがあげられる。北京五輪のスタジアムや、テート・モダンの設計で注目を集めるヘルツォーク&ド・ムーロンは、ラバンセンターの設計で2003年スターリング賞を受賞している。

   


 13のスタジオ、劇場(300席)、スタジオシアター(100席)、野外劇場(400席)の他、図書館、音楽スタジオ、カフェ、ピラティススタジオ、健康管理室などを備えている。ストリートをイメージしたという広く開放的な廊下や、館内に描かれた壁画など、建物全体のカラーコーディネートも大胆で特徴的。図書館はコンテンポラリーダンスに関する資料保有がヨーロッパ最大とも言われ、創設者であるルドルフ・ラバンの映像をはじめ、ビジュアルコレクションが豊富に取り揃えられている。一部のスタジオには鏡やバーがなく、普段自分の外見ばかりにとらわれがちなダンサーに、もっと自分の内面と向き合えるようにとの配慮もあるとか。館内の3つの劇場は主に学生の発表の場として機能しているが、海外カンパニーの招聘公演なども行っている。


環境
ラバンの建つグリニッジは、金融街であるロンドンシティーや、グリニッジ海軍学校が程近く、利便は悪くないものの、荒廃した土地柄で治安などがあまりよくない。こうした土地にあえて設置されたラバンは、ダンスやアートが地域復興に役立つという理念に基づいており、政府予算獲得の重要な背景ともなっている。



9餾歙
国際性を重視するラバンでは、約400名の学生のうち約50%を海外からの入学者が占める。
ラバン所属のカンパニー『トランジションズ・ダンスカンパニー』の海外ツアー、施設内の劇場における海外カンパニーの招聘公演や、外国機関とのコラボレーションなど、国際プロジェクトにも力を入れている。

          


■ ラバンの使命
1年コース、3年コース、マスタークラスなど多様なコースを設けてダンサーを育てるばかりでなく、それらのコースを修了したダンサーたちがラバンを通じて得たものを将来なんらかの形で社会に還元できることを目的としている。ザ・ガーディアン誌調査による世界の優れた学校ランキングで、ラバンは演劇・ダンス部門の1位となった。近年、トリニティー・カレッジ・オブ・ミュージック(ロンドン)と合併したが、同校も同誌の音楽部門で第1位を獲得している。両校の合併により、今後更に音楽とダンスとのコラボレーションについて積極的な取り組みが期待されている。


■ スタッフ構成
40名程度の正職員と、200名にも及ぶ臨時職員、プロジェクトスタッフを抱える。ラバンの卒業生や、ラバン所属のダンスカンパニー“トランジションズ・ダンスカンパニー”出身者のほか、世界中から用途に応じて優秀な人材を集めている。


       

■ 資金面について
政府予算のほか、プロジェクト毎に資金を集めるケースが多く、財源は多岐に渡っている。

 
すでに設けられている男女混合の青少年向けのダンスクラスに加え、男子児童のみのダンスクラス。男子児童がダンスと触れる機会を増やし、ダンスを習う男子の数を延ばすことを目的に設置された。日本同様にイギリスでも男性のダンス人口はまだまだ低く、こうした取り組みが将来の男性ダンサーを増やすきっかけとなることが期待される。学校や、男子学生が集まる場所で募集チラシを配るなど、地道に参加を呼びかけている。


■ コミュニティダンス関連のプロジェクト

担当者:ベロニカ・ジョビンス(プロフェッショナル&コミュニティー開発部長)

1)“Dance Captures”プロジェクト
  “クリエイティブパートナーシップ”(学校におけるクリエイティビティー奨励のための資金援助)から助成を受け、イースト・ロンドン・ダンスとのコラボレーションとして実施。子どもたちに2012年のロンドン・オリンピックへの理解を促し、地元として盛りあがるべく立ち上げられた3ヶ月間のプロジェクト。

 ラバン近郊の小学校、イースト・ロンドン・ダンスのあるストラトフォード所在の4つの小学校の8歳〜10歳の子どもをミックスして更に4つにグループ分けし、オリンピックをテーマにしたダンス作品をそれぞれ創作する。

 
本プロジェクトでは、ワークショップ実施に先立って、各学校の先生とプラン立てを綿密に行い、先生が積極的にプロジェクトに係わることを奨励している。ワークショップでは、ダンス作品創作のみならず、子どもたちにダンスカンパニーの変遷などの講義も行っている。


2)ボーイズ・プロジェクト“Pick up the Pace”
 
すでに設けられている男女混合の青少年向けのダンスクラスに加え、男子児童のみのダンスクラス。男子児童がダンスと触れる機会を増やし、ダンスを習う男子の数を延ばすことを目的に設置された。日本同様にイギリスでも男性のダンス人口はまだまだ低く、こうした取り組みが将来の男性ダンサーを増やすきっかけとなることが期待される。学校や、男子学生が集まる場所で募集チラシを配るなど、地道に参加を呼びかけている。

 
平均参加人数:8歳〜11歳(20人)、12歳〜15歳(20人)、15歳以上(10人)

 
参加費用:1クラス 1ポンド(青少年向けワークショップは全て同料金)


※学校とのとりくみに関して※

 イングランドの小学校では、6週間のダンスの授業が体育の一部として義務付けられているため、大半の先生はこうした取り組みに積極的だが、中には「ダンスが何の役に立つのかわからない」といった否定的な先生もいるため丁寧な調整が心がけられる。また、学校側からの要請に応じて、授業でダンスを教える先生のためのダンスワークショップを実施している。より積極的な学校には、ラバンからダンスの先生を派遣、常駐して授業を行うケースもある。
 

◆トランジションズ・ダンスカンパニーTransitions Dance Company)


 ラバンの所属のダンスカンパニー。ラバンのコースを卒業したダンサーを含む、オーディションによって選抜されたダンサーによる、プロフェッショナルカンパニー。高い技術を誇り、世界の著名な振付家による独自のレパートリーを多数持つことから、海外ツアーをする程人気が高い。カンパニー設立当初より教育と実践(カンパニーダンサーとしての活動)が直結した、コンテンポラリーダンスでの画期的なスタイルとして注目を集めている。

 
現在までに3人の日本人ダンサーが参加している。テクニックに加え、ダンス教育法や、具体的な指導プログラムを学習することから、トランジションズを経てラバンの教師になる者もいる。

 
シンガポールで2012年のオリンピック開催地選考会議が行われた際には、候補地のプレゼンテーションの一つとしてパフォーマンスを披露、ロンドン・オリンピック開催決定に一役買った。



【見学内容】

*館内ツアー:スタジオ、劇場、図書館、健康管理室など、館内をくまなく視察

*“Dance Captures”プロジェクトの活動風景を4班に分かれて見学。その後、4組の合同発表会をスタジオシアターで鑑賞。オリンピックをテーマに子供たちが作ったダンスをそれぞれ披露。どのグループの発表も、4つの学校の生徒がシャッフルされたミックスグループとは思えない程、息もぴったりに仲良く取り組んでいる姿に、日本人一堂関心。


*“Pick up the Pace”(ボーイズ・プロジェクト)見学。このクラスでは、イギリスの少年にもっとも身近とも言える「ハリー・ポッター」をテーマにしたという、空飛ぶ魔法使いのイメージで作品を創作中。指導する先生の多くはラバンの卒業生が勤めるが、少年たちにテーマを与え、それを子どもたち自身が膨らましていく形式で作業が進められていく。目立ちたがりの子や、あきらかにふざけているとしか思えない子(後で先生に起こられていた)もいたが、「ダンスは楽しいですか?」という質問には、「ダンスは大好き!ボーイズ・クラスに参加できてとても楽しい」と、どの少年も笑顔で答えてくれた。女子との混合クラスと併願している者もおり、青少年がダンスへの理解を深めるためのプロジェクトとして非常に成功している例と感じられた。

 

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[視察内容] Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。その中から前回の『StopGAP Dance Company』に引き続き、ここでは『Hampshire Dance-Youth Dance Provision』を取り上げる。

     

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。



Hampshire Dance-Youth Dance Provision
インタビュー Director Lucy Frazer

 

地域のさまざまな組織、学校や施設などと手を組みながらダンス活動の普及を行ってきた団体。

イーストリーにある「ザ・ポイント」という場所を拠点に活動。ダンスを中心とした様々なアート活動が行われている施設。サウスイースト、ハンプシャー州を中心としているが、最近ではさらに活動範囲が広がっている。

コミュニティと若い人たちを対象としている。


 【3つのミッション】
 

■ 若者を対象とした「ネクストステップス」ダンスプログラム

2006年3月にスタートしたイギリス南東部で若者のダンスの振興に重きをおいた2年にわたるプログラム。国の機関「ユース・ダンス・イングランド」の地域コーディネータが駐在し、協同で事業を行っている。

まず、プログラムをはじめるにあたり、地域におけるダンスのさまざまなデータベースを実施。地域には121名の学校やアーツセンターなどで教えながら活動するユースダンス・リーダーが存在しており、135の活動グループとクラスが存在。5〜19歳を対象とした様々なレベルのダンス活動が行われている。

この数字から、ダンスに関わる若者の割合が多く、今後の活動に期待が持てる地域と言っても過言ではない。主に、コンテンポラリーダンスに関わる人が多いが、ほかに、アーバンダンス、ストリートダンス、民族的なダンスなども見受けられる。また、障がい者だけのカンパニーや、男の子だけのカンパニーなども存在する。

 

―「ネクストステップス」指導内容

若い世代のダンスグループが希望する、公演開催の実現と、毎年恒例の催しとして継続できること。また、地域のフェスティバルにユースが参加することを奨励している。

 

■ プロとして活動するダンス・アーティストの輩出

自分達でダンスを振興していける人材を育てるため、「ユースダンス・スキーム」という資格を与えるクラスを設けている。また、ダンス活動が続けられるための進路指導なども行っている。

 

■ 新しい作品のコミッション

「サウスイースト・ユースダンス・ネットワーク」をつくり掲示板やメール配信を行っている。

ハンプシャーダンスの取り組みは、地理的に広範囲なサウスイースト地区を包括しており、実際に現場に関わる人たちの意見を随時くみ取りながらダンス活動の振興に勤めている。

<このあとDVD映像で、地域の5つのユースダンスカンパニーの紹介>

      

 
最後に、この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんに質問 

Q 1: この南東部で特になぜ多くの若い人がダンスに取り組んでいるのか

Jemmy ) 歴史的にユースのためのリーダーが存在していた、という点が大きい。リンダ・ジャスパー(ナショナルエージェンシー、ユースイングランドのDirector)南東部でインフラを改善し、興味を集中させるインフラ作りを行ったことが功績として大きい。

 

Q 2: ダンサーは生活できているのか?また、同じ地域で多くのカンパニーが存在し助成金など資金調達の際に競合しないのか?

Jemmy )イギリスのダンサーはMixed economy(複数の収入源で生活を成り立たせている状態)のうちダンスそのもの(公演、学校等で教えること、コミュニティダンスでの収入)から収入を得ているものが大半である。

   一方、大学やダンサー養成学校を卒業しても、ダンサーとしてのキャリアがないので生活の安定を得るため学校で得た資格等を活かし他の職業につく人も多い.

  アーツカウンシルなどからの資金調達に関する競争では成功率は約60%程度。南東部は協力体制が整っており、「インフラグループ」でダンスにかかわる問題について3カ月に一度程度、話し合うグループを作りサポートしあっているほか、各カンパニーの差別化を図りユニーク性を打ち出し、ターゲット層を別に持つことで競争を置きにくくする工夫を積極的に進めている。

 

Q 3: 練習会場がない、という話があったが、会場獲得のためにはどんな方法をとっているのか?

Jemmy )以前、アーツカウンシルに建物のインフラ拡充を行うための“キャピタルプログラム”があった。例えば学校にダンス専用の場所を作りプロにも使えるようにしたり、地域大学との連携により教室が空いているときに他のカンパニーがWSなどで使えるようなダンスプログラムを実施したりしていた。

 今ではProject Found がかわりにインフラ開発を行い、ブライトンにスタジオを設立するため、地元当局、経済局、開発庁などにも働きかけダンスの効果について訴えている。

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[視察内容] Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。その中から、ここでは『StopGAP Dance Company』を取り上げる。

    

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。


 

StopGAP Dance Company
Ms.Denise Woods, General Manager/Ms.Vicki Balaam, Artistic Director

  

■ メンバーとカンパニーの特徴

4人のダンサー、アーティスティックマネージャー(10年のキャリア)、ジェネラルマネージャー(2年)、コミュニティ部門担当のアーティスト1名によるカンパニー。2人のマネージャーは「ダンス開発」を行うためカンパニーに加わっている。カンパニーの大きな特徴は、英国唯一、ダンサーに学習障がい者・身体障がい者・健常者を含むダンスカンパニーであること。自分たちのダンスを「統合的ダンス」と呼ぶ。カンパニーのミッションは「ダンスという媒体を使い“統合性”を見せ付けることができるか、また“皆で統合すること”にどんな効果があるかをアピールする」という点にある。

  

■ 作品

作品制作にはイギリスをはじめ国際的なコレオグラファーと協力している。(最新作は別々のコレオグラファーによる7つのセクションに分かれた作品。アップビートの作品にも挑戦している)作品づくりの上での目標は「楽しく親しみやすい形であること、創造性や芸術性、技術性においては“これでいい”というところに挑戦していくこと、つまり新しいことを開発してゆくこと」に情熱を注いでいる。

 

■ 教育プログラム

4人のダンサーが教育プログラムにおいてもチームを作成し実施。10年ほど前から教育プログラムを行い内容は充実している。昨年は教育的ワークショップに英国で1,420名が参加し、このうち920名が障がい者であった。ダンスの経験や技術力は問わず、子供から高齢者まで、いろいろな人を対象にしている。専門集団としてストップギャップのワークショップでは動きが制限されている人々(身体障がい、視覚障がい、聴覚障がい、またコミュニケーション能力の障がいなど)への対応も可能である。障がい者と健常者を混ぜ、モットーとしているのは「既成概念を取り除くこと、バリアを取り除くこと、そして安全な環境の中で自分の自信を取り戻しクリエィティブな考え方を持ってもらうこと」また「若い人にコレオグラフィー(振付)のチャンスを与えることで個人は異なることを認識させ互いに尊重することを教える」ことである。

  

■ 活動の広がり

 教育的プログラムは学校や障がい者施設、特定の地域などで実施し、ひとつの地域で5〜6種の組織と組み同時にいくつものプログラムを実施することもある。活動の中で大切にしているのは、一回訪問して去って終わり、ということでなく、できるだけLegacyを残すということ。地域の先生などに情報や技術を教え、自分達がいなくても活動が継続できるように心がけている。公演についても同様。いかに人々に覚えておいてもらえるか工夫を凝らす。若い人や障がい者の発展を目ざすとともに、障がい者へのダンス指導員の育成やダンサーの技術養成にも力を注いでいる。障がい者と健常者を交えた“Integrated youth Company”の設立とサポートも行う。現在、スウェーデン政府から資金をもらい、スウェーデン北部で“Integrated youth Company”を設立するプロジェクトにもかかわっている。

  

 

■ 特徴
 
StopGAPの特徴は、技術面のみならず、携わる人々、観客すべてに感動を与えること、その心に触れることができるということにある。障がい者と健常者が共に存在する“統合性”でどんな効果があるかを示すことができ、かつアピールすることに成功しているカンパニーである。ダンサーが社会の規範(ロール・モデル)になるということを見せることができる。

 

※この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんへのインタビューは、次回の報告で掲載します。

 

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