事務局より - 英国のコミュニティダンス視察 01 『Foundation for Community Dance』

英国のコミュニティダンス視察 01 『Foundation for Community Dance』

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英国のコミュニティダンス視察より
執筆 : 
cdj 2010-12-5 11:00
2007年ブリティッシュカウンシルのサポートを受けて、英国のコミュニティダンスの視察を、日本の公共ホールのダンスの担当者の方々と行ないました。先日発行しました「コミュニティダンスのすすめ」にも一部掲載していますが、その全文と、お会いした方々へのインタビューをシリーズで掲載していきます。

 
インタビュー Ken Bartlett氏
(Creative Director, Foudation forCommunity Dance)

   
 
〔視察内容〕 理念や活動内容、活動成果についてクリエイティブ・ディレクターのケン・バートレット氏によるプレゼンテーションがあり、あわせてDVD鑑賞を行った。

1986年に創設された、イギリスのナショナル・ダンス・エージェエンシー。コミュティダンスの開発・振興を行う。メンバーシップ・オーガニゼーションで、世界中にメンバーがいる。
 
■‘everybody dances’ ――ダンスの既成概念を広げる

ダンスの生態系の中で、コミュニティダンスはイギリスの中でもある意味ユニークといえます。世界中で同じような価値観・目的を持って活動するアーティストや組織はたくさんあります。
まず、私の友人ブッシュ・ハートソンさんのお話をします。
彼はつい最近までヨークシャーダンスのアーティスティック・ディレクターをしていました。ヨークシャーダンスは、イングランドにある10のナショナル・ダンスエージェンシーのひとつで、プロの育成、アートとしてのダンス、参加型のダンスを皆に広めていくというミッションをもって活動をしています。
 
ヨークシャーダンスのモットーは「‘everybody dances’ みんなダンスをする」ということです。
非常にシンプルなフレーズですが、「人とダンス」「ダンスと人」という深い関係が、うまく示されています。「みんなダンスをする」「みんな踊る」という意味なのですが、everybody という言葉を二つに分けて‘every body dances’ とすれば、「からだひとつひとつ、それぞれの体がダンスする」という意味にもとれるのです。西洋にはどうしても、誰がダンサーで、どういう人がダンサーになれるのか、という概念があると思いますが、このフレーズ‘every body dances’は、そういった概念を覆す、深い意味を持ちうると思うのです。
 
そしてそのダンスの輪の中に誰を含めるのか、ダンスを通じてどんな声を発するのか、どんな物語を皆に伝えるのか、といった点でも、今までと違う考え方ができるのではないかと思います。また、どんなダンスを作りたいかを考える上で、どんな身体をその中に含めていくかということも違ってきます。我々の文化における「ダンス」に対する美的感覚・概念も広げていけるのではないかと思います。そして、これまで「ダンス」というと、先生と生徒がいて教育の一環で「こうしなさい」といって教えられてきた
歴史がありますが、それももっと調整していいのではないか、と私は思います。
 
イギリスのコミュニティダンスでは、こうした既成概念にチャレンジしようという動きが30年間ずっと続いてきて、プロジェクトになってきたと考えています。
 
■ Foundation for Community Danceの設立―アーティストから組織へ

私は、コミュニティダンスに携わっている人間はみな、「どうやってダンスを作っていくか、どうやって皆に広げていくか」という上で、新しい方法があるに違いないと思っていると信じています。
これまで、どうしてもダンスから疎外されてきた人々が存在すると思います。経済的・社会的・文化的・教育的理由から、ダンスは自分とは遠い存在だと感じている人がいると思うのです。ダンスアーティストの中には、70〜80年代の市民権運動と自分たちの活動が似ている、と感じている人が多いと思います。例えば男女の差、同性愛の差別をなくそう、黒人の権利を認めていこうという運動等です。
 
 
そして新しい世界をダンスを通じて作ろうと思っているアーティスト達がいます。個人・少数民族・あるいは文化の違いを尊重して、例えば宗教・人種・性別・生涯・経済的、教育的バックグランドでたくさんの差別をされている、そのような人たち皆を、ダンスの輪に組み入れていきたいと考えている人たちです。ダンスという芸術の神話をうち破ろうとしているアーティスト達です。
ここでドイツのブレヒトの言葉を引用したいのですが、「異例なことを通常な人にもアクセスができるようにし、通常な人が異例なことをできるようにする」、このコンセプトが非常に重要だと思います。
 
こういったアーティスト達が長年活動を続けてきて、もっと協力をしなければならないという概念が生まれたことから国全体の組織にしようという運動につながり、Foundation for Community Danceができたわけです。そして、これまで述べたような活動を支持していくことになったのです。
 
■ コミュニティダンスの成果

1986年、ファンデーション・フォー・コミュニティダンス発足当時は、そういったアーティストは15人程度しかいませんでした。21年後の今、コミュニティダンスにプロとして携わるアーティストは、5000人に増えています。
実は、2000年にイングランドにおけるコミュニティダンスの地図作りという統計をとったところ、500万人のダンスアーティストが7万の様々なイベントに参加して、観客は一千万人にのぼるということが分かりました。
同じ年、イングランド・アーツカウンシルが補助しているダンスカンパニーによるアートダンスを観た人たちは、140万人でした。コミュニティダンスの観客が一千万人というのに対し、数が非常に限られていたわけです。
他にも、コミュニティダンスに参加している人の年齢は生後6ヶ月から93歳までであること。様々な障害を持った人、そして農村部・都市部に関わらず非常に重要なアート活動の一環になっていること、イギリスは文化的に非常に多様なのですが、そういった人たちもみなひっくるめてダンスという共通の趣味を持っていること、社会的に疎外されている組織・グループや個人もコミュニティダンスに携わっているということが分かりました。
そしてまた、教育・保険・社会サービス・刑務所等の公正施設との連携もとれていることが分かりました。例えば、様々な国・地域の文化施設での活動のみならず、刑務所・ユースコミュニティ・学校・老人ホームなどでコミュニティダンスが取り入れられています。
 
そしてコミュニティダンスはイギリスにおいて、かなり成果を上げています。
イギリスは南アジア・アフリカ系の住民が多いのですが、その人達のダンスもコミュニティダンスを通じて、この国の中でかなり発展しています。また、もともとはコミュニティダンスでプロとして始めたダンサー・振付家が、今とても有名になって活躍しています。身体障害者を交えたダンスもコミュニティダンスの中ではかなり振興していて、現在国内に25のダンスグループが存在します。身体障害者がグループを率いているケース、あるいはそのグループの中で実際にダンスをしているケース、いろいろあります。また、障害の種類も様々で、学習障害・目が見えない人・耳が聞こえない人など、様々な人がダンスに参加しています。
この国では国・地域・もっと小さなコミュニティベースのエージェンシーがたくさんありますが、全体として、包括的にいろんな人たちを自分たちのダンスに組み入れていこうという姿勢を拡大しつつあります。またコンセルバトワール等の演劇学校・ダンス学校に通っている人の大半は、コミュニティダンスから入っています。そういうところにも影響しています。
 
■ コミュニティダンスのアプローチを活かす

新進気鋭の人も、すでに評価が確立されている人も、今たくさんの振付家がいますが、コミュニティダンスのアプローチを自身の作品づくりに活かしていると思います。ダンサーに自分の振り付けを押しつけるのではなく、ダンサーといっしょに振り付けを作っていくという、非常に民主主義的なアプローチです。
イギリスの公立学校では、ダンスが14歳まで義務としてカリキュラムに入っているのですが、これを支えているのもコミュニティダンサー達です。そして若者の中でダンスが広まっているのですが、学校形式の「習うもの」ではなく、コミュニティダンスのアプローチが受けています。また、高齢者をいっしょにカンパニーに入れてダンスを楽しむ傾向が強まっており、世代を越えたダンスカンパニーが増えているのですが、これが社会のつながり・絆に貢献していると思います。
コミュニティダンス・アーティストがこれまで培ってきたアプローチは、刑務所などの更正施設でも重要視されるようになり、例えば犯罪者や犯罪を犯す危険のある人のリハビリにも、大きく貢献しています。
 
■ 重要なのは、アートとしてのダンスを作り上げるプロセス

今私が述べたことでみなさん気がつかれたと思いますが、アートが手段としてではなく、クリエイティブなプロセスであることが非常に重要なのです。

 
コミュニティダンスにおいて、一つの手段としてダンスに参加するということは、大きな意味があるとこれまでずっと言われてきました。例えば大局的に、あるいは学習能力が向上するとか、そういうことを助ける道具・手段としてダンスが使われてきました。そして、コミュニティの中で個人の感情的・精神的・身体的・社会的にも改善をみることができること、また何らかの健康上の問題があったときに、それを改善することができる――例えば肥満・心臓欠陥症の問題にも、ダンスはいいよと言われてきたわけです。
もちろんこういった効能が重要であることは私も認めます。でも、それはアートが手段・道具だからというよりも、アートとしてのダンスを作り上げていくという、そのプロセスが非常に重要だと私は思うのです。
 
まず、ダンスを始めて一生懸命練習し、卓越した技術・技能を身につけたいという向上心、自分にできないことではなく、できることは何かをつきつめて、それに向けて努力すること。そしてダンスだけではなく、それを一緒に作り出す人に対しても注意を払うということ。ダンスというものはいったい何なのか、そしてそれをどうやって作るべきなのかということに対してダンサー自身が発言力を持つこと。そしてダンスをどのように観てほしいか、ダンスを見る人はどういう人なのかということについても、ダンサーが自分の声を反映できるようにすること。ダンスのビジョンと目的を達成する上で、実際にそれが成功したのかそうでなかったのかについて、批判的な眼で自身の作品を見ること。そして最終的に、目的を持って身体を動かすことで喜びを味わうこと。
それが非常に重要であると思います。
 
 
■ 最後に・・・

リズ・ラーマン(アメリカのダンスアーティスト・振付家)の言葉を引用して、最後にしたいと思います。
 
昔は人々が踊りを踊り、そして作物が育った。
そして、子ども達の病気を治すために人々は踊った。
戦争の前も人々は踊った。
自分たちが理解できないことを表現するためにダンスを踊った。
そしてそれをする上では、それが現実であるというふりをすることはなかった。
自分の周りにある世界のエネルギーを身体に感じて表現した、それがダンスだった。
そういう風に考えたときに、いったい誰が得をしたのかと私は考える。
このような重要なことを誰に依頼したのかと考える。
例えば、地面を動かすことができるような体重の重い人に依頼したかもしれない。
それとも、一番知識・知恵をもった年寄りだったかもしれない。
おそらく何らかの形で合意する価値観というものを共有していたに違いない。
そして、ダンスを理解する人たちは、いったいそのダンスというものが何なのかということを、
次の日の新聞で読むことはなかった。
そして我々には信じられないようなかたちでダンスとつながりあっていた。
それはダンスが抽象的でなかったから、ということでではない。
ダンスは当時から非常に抽象的で、そして象徴的なモノであったと思う。
それはダンスを簡単なモノにしてしまったという意味ではなく
ダンスは身体の一部であり、人々はダンスを知り尽くしていた、と私は思う。
例えば、こういう風に(両腕を空に向けて挙げて)すれば、
‘日が昇る’と意味しよう、と皆で最初から決めていたのかもしれない。
つまり、最初から自分が携わっていれば、人には何でもできる。
 
イギリスにおけるダンスが、そういう昔のダンスのような位置・地位を占められればなと、私は思っています。
そしてこのダンスをこれから作る上で、例えばコミュニティダンスがどんなに難しい抽象的なコンセプトであっても、それを作る人が最初から携わり、みんなで決めごとをしていくことでみんなにアクセスができ、理解できるようになっていくことを私は願っています。
 
 
■DVD鑑賞 「DANCING NATION−Four People,Four Stories,Four Communities.」40min.
A film by Rosemary Lee & Peter Anderson
Commissioned and Produced by Foundation for Community Dance
 
−−4つのコミュニティの4人による4つのお話
統計をとることでイギリスの中でコミュニティダンスが広がっていることは分かったが、実際に現場の人の声を聞きたいと思い、このフィルムを作った。

  フィルムを通してケンさんが特に感銘を受けたのは、個人・社会・感情また芸術面でダンスを通してとても成長がみられたこと。特に、フィルムに登場する人物がみな若いにも関わらず、その後進の育成に力を尽くしていること。若者が責任感を感じて、自分の知っていることを伝えたい・教えようとしている。そういった中からプロになった人たちもいる。
 
         

■質問

Q水野: お話を伺って、どうやって日本でコミュニティダンスを広げていくかということを考えると、とても混乱しています。21年の間に15人から5千人に広まったとお聞きし、想像ができないのですが、ここまで社会に根付いたのはどういうことが要因だったと思われますか?ケンさんのようなオーガニゼーションがプログラムをたて、こういうのをやってみないかとアーティストに持ちかけていったのか、先ほどのお話のようにいい例がたくさんあって、アーティスト自身が、社会にとって必要として増えていったのか、その両方だとは思いますが・・・。
Aケン: ボトムアップだと思います。はじめはこういうのを始めたいというアーティストの意志がありました。アーティストが枠組みを作りネットワーキングをはじめて、そのうちにほかにも同じ価値観を持ったアーティストたちがたくさん出てきて、皆で助け合ってニュースレターを始めました。みなさんのお手元にも雑誌があります。自分たちで連絡を取り合い、情報交換を行い、チャンスを作ろうということでこういう運動に発展していったわけです。我々はそういったアーティストの意志を支えるべくこのような活動をオーガニゼーションとして行っているわけです。そもそも、我々は情報を与えること、ネットワーキングを行い、会議・ミーティングやリサーチ活動フィルム作りといった、草の根の、アーティストの活動を助けるための存在なのです。
 
重要なことは、アーティスト達は特別なアプローチをとっているということです。人がただダンスをするのに、アーティストは必要ないのです。だって、CDをかけて音楽が流れれば、それにあわせて身体を動かせばいいわけです。しかし、はじめにもふれましたように、我々の組織は人々に芸術としてのダンスに携わってほしいと思っています。表現の方法としてのダンス、想像力、想像力を表現するためのダンス、美しさ・喜び・難しさ・おかしなところ・エキサイティングなところなど、芸術としての踊りをみんなにやってほしいのです。それがアーティストのアプローチですね。
 
我々は植民地時代が終わったイギリスに住んでいますが、植民地時代から住んでいる人もいます。
彼らの文化も、ダンスに取り込んでいかなければならないのです。ですからこの国では、様々な人が様々な文化を表現するためにダンスを使っています。この国のコミュニティダンスは、バレエ、インドのバラタナティアム、アフリカンダンス、オーストラリア先住民のダンス・・・などの表現の手段として使っているものを、取り込んでいかなければならないのです。
 
東ヨーロッパがEUに加盟したことも、考慮しなければならなくなりました。つまり、我々の国がより多様化するにつれて、ダンスの形も増えていくということです。我々の組織は他の組織と協力して、文化間の対話を推進するための「インターカルチュラルダンス」という概念=「文化を越えたダンス」というものを推進していこうとしています。
みんなで一緒に踊ることができれば、その形こそ違っても、理解し合うことができると私は信じています。
 
水野:日本のアーティストは、どちらかというとオーガニゼーションのほうがプランを行い、仕事として依頼する。アーティストはコミュニティダンスとしての仕事は公共ホール等から頼まれて行うのがほとんどで、自主的にその活動を起こしてというには、まだまだ未熟です。アプローチの仕方が逆なんだなと感じました。
ケン: 我々はメンバー制ですが、殆どがコミュニティダンスのほか、さまざまな仕事から収入を得ています。ダンス教室の講師をしたり、カンパニーの振付をしたり、刑務所でダンスを教えたりなどさまざまなことをして生計をたてなくてはならない。リサーチによると、平均の年収は15,000ポンドくらいで(通訳注/今のレートでは結構な額に思われるかもしれませんが、実際に生活していると1ポンドは100円くらいと考えてください。なので、実質的には150万くらいです。)この低収入と戦うための企画をたてており、リサーチを始めています。
 
 コミュニティダンスには規制がないため、誰でもコミュニティダンサーになることができ、誰にも止めることはできません。しかし、その活動場所は教育機関、福祉(病院など)、高齢者施設、刑務所など限られている。我々はメンバーを支えるため苦慮してきました。コミュニティダンスに関わる人の価値観、基準、技術を高めること、プロとしての責任感というもののために、ダンサーに「声」を与えなければならない。ダンサーが雇用される時、学校の校長先生、病院の院長先生に対してアーティストが“自分が教えると安全・安心である、参加した人を進歩や変化をもたらすことができる”と胸を張って言える環境を作りたい。ダンスに参加する人が満足できる経験ができる場を作らなくては、そしてダンサーを雇用する人達にとっても確実にいいものを提供していきたいのです。
 
Q佐東: 日本ではここ4〜5年くらいで学校や障がい者の施設でコミュニティダンスのプログラムがようやく始まったというところです。先のお話で、(コミュニティダンスをしているダンサーがその経験を振り付けに活かす、というようなお話がありましたが)コミュニティダンスとパフォーミングアーツがイギリスではもともとその二つはクロスしていたのか、その垣根がなかったのか、あるいは垣根をなくそうという活動があったのでしょうか?
Aケン: イギリスは今でも、ダンスのジャンルはピラミッド型で表現できます。トップはバレエカンパニー、中間はコンテンポラリーのプロアーティストとカンパニー、ふもとの部分がコンセルバトワール等のプロ養成学校、裾野に広がっているのが学校のダンスやコミュニティダンスです。資金力もこれに比例しています。もちろん、アーティストの中には「私はプロのダンサーでコミュニティダンサーではない」という人もいます。また、イギリスのダンスの中で重要な職と考えられているものについてのリサーチでのベスト4は、1 振付、 2 プロのダンサー 3 ダンスの先生 4 コミュニティダンスのプロアーティスト という結果でした。
 私は、このダンスのピラミッドを崩し、ひとつの線にしたいのです。それが私の人生のミッションです。ダンスの間での「共通の価値観」を広げていきたい。プロのダンサーと公園で踊る子供との接点をつくりたいのです。家でダンスを見る、劇場で見る、ダンスを習う、自分でダンスをつくる、それらの間の接点です。もちろん、政治もからんでおり、国がダンスに資金を出していまが、この資金の45%は4つのバレエカンパニーに行き、残りが裾野の方に広がっているのです。コミュニティダンスの資金調達のうちアーツカウンシルはトップ5には入っていません。
 
Q 水野: バレエカンパニーでもコミュニティダンスに関するプログラムは行っているのですか
A ケン: 4つのカンパニーすべてが実施しています。15〜20年くらい前まではアーツカウンシルからの援助を受けるには教育プログラムの戦略を持っていなくてはいけませんでした。この5年ほどで、教育や一般市民に対するアクセスや参加を促すプログラムの重要性が増し、資金提供も拡大してきました。特に、バーミンガムロイヤルバレエ団でのプログラムは、落ちこぼれの子、退学になった子、薬の中毒になった子などを対象とし、大きな成果をあげています。多くの子が現状を脱出し大学へ進学したりダンス学校への奨学金を得たりプロになった子もいます。
 
Q 佐東: そういう意味では、20年前に始まったコミュニティダンスのコンセプトがトップのバレエ団にも浸透してきたといえますか?
A ケン:素晴らしい進展だと思いますが、まだまだだと思う。私は国中の人に踊ってほしいと思っている。私たちの世代は学校で踊っていないが、今、これからの子供は違う。ダンスが生活の一部になってきている。ダンスに対する考え方も前向きになってくると思う。
 確かにコミュニティダンスにおける10年前のイギリスの状況が今の日本だとしたら、今のイギリスの状態になるにはあと10年必要でしょう。しかし、日本では、われわれの真似をするのではなく、日本人にあう、日本の文化や社会の現状にあわせて進めていってほしいと思っています。
 
Q 三上:コミュニティダンスの評価基準、プロジェクトに対して他者からの評価についてはどのように考えていますか?
A ケン: イギリスにはセクタースキルズ カウンシルというそれぞれの分野ごとの技能委員会があり、我々はクリエイティブや文化の分野の技能委員会と協力し、コミュニティダンスの質の基準の枠組みを作ろうと考えています。医学での、プライマリーケアと専門医の例と同じように、我々も30年の経験を経て、専門分野が生まれています。(身障者、高齢者、刑務所、子供・・)全体として、どうよう質を保つか、そのためにどういうところが重要か、態度、知識、技能についてリサーチをメンバーに対して行っています。このアンケートに基づき、質の枠組みについて公表できる形で設定していく。政府や組織のトップダウンで押し付けるのではなく、メンバーから声を聞いていくということが大切なことであると考えています。ビジョンを共有し、大切なガイドラインがあります。ラフなものとしては、.灰潺絅縫院璽轡腑鵑とれているか △匹里茲Δ淵咼献腑鵑魘νしているか どうやって表現していくか、ということです。
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