事務局より - 英国のコミュニティダンス視察 10

英国のコミュニティダンス視察 10

カテゴリ : 
英国のコミュニティダンス視察より
執筆 : 
cdj 2011-7-6 13:00

[視察内容] 
Arts Council England, South East(※1)のダンス担当官であるジェイミー(Mr Jamie Watton)が、この地区で活動する団体を集め、活動紹介と交流の機会を与えてくれた。参加団体は、それぞれの活動内容についてDVD等を用いて説明。これまで紹介した『StopGAP Dance Company』(視察03)と『Hampshire Dance-Youth Dance Provision』(視察04)に引きつづき、ここでは
『South East Dance-Dance Film and Young People』 『Oxford Playhouse』 『Jasmin Vardimon Company』 『Anjali Dance Company』
の4つを紹介する。

         

※1 Arts Council England, South East/アーツ・カウンシル・イングランド・サウス・イースト
アーツ・カウンシルは、イングランド内に9つのリージョナル支部を持っており、サウス・イーストはその1つである。
英国南東部の芸術団体やアーティスト等へのサポート、コミュニティに向けた活動を行っている。

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South East Dance-Dance Film and Young People

◆活動
(1
)ダンスフィルム(Dance on Screen。純粋な舞台で上演をするダンス作品というよりは映像で見せることを目的としたダンス作品のこと)のプロデュースと普及活動に力を入れている。なお、ダンスフィルムは日本では3年前ごろから紹介されているが、まだ知名度は高くない。Youth Dance Englandなど他組織と連携して作品を制作。

(2)幅広い層に向けた教育・コミュニティプログラムも積極的に取り組んでいる。メイン対象者は危険(社会的に阻害される可能性が高かったり、虐待、ひきこもり、いじめや幼くして親になった子どもなど)にさらされている子どもたち。こういった子どもたちの生活を向上させるためのツールとしてダンスを利用している。具体的なプログラムとしては、様々なジャンルのダンスクラスやパフォーマンスなど。さらにこういった子どもを対象にダンスを教える指導者向けのトレーニングプログラムを実施している。なおダンスはツールと考えているので、質の高い作品を作ることを目的とはしていない。

(3)リサーチ、リサーチ結果の文書化、シンポジウムでの公演、ウェブサイトでの情報提供、外部へのアドバイスなども行っている。

ダンス組織、学校など教育機関、サウスイーストの行政機関、若者むけのサービス機関など他組織と連携して活動している。

イギリスでもスムーズに学校と連携できているわけではなく、活動への理解を得るため時間をかけている。また資料作成経費を予算に組み入れ、訴求力のあるDVDなどを作成、支援獲得のツールとして利用している。

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Oxford Playhouse  (ニック・ジャイルス)

イギリス南東部のベニューのひとつで、演劇作品のプロデュースが主たる事業。大(613人)小(50人)二つの劇場を持つ。年間で16万人の観客が訪れ、うちダンスは2000〜3000人程度。 ※ダンス事業は13年前から開始した。

Developing and growing audiences
13年経ってダンスの観客層が固まってきており、二晩続けて上演できようになったが、さらにダンスの観客を開発し、数を増やす努力を行っている。

<ダンスの観客を増やすための工夫>

○様々なダンスアーティスト・カンパニーや他のベニュー、プロデューサーと協力関係を保っている。
こうした関係強化の基盤としてオックスフォード・プレイハウスの強みである演劇の観衆にも
ダンスを観てもらうための働きかけを行う
◎プログラムの中にダンスを定期的に取り入れることで、ダンスを観る観客と信頼関係を保つこと
◎演劇の観衆に受け入れられやすいナレーションの要素の強いダンス作品を取り入れる

visiting companyの例>
コアな演劇の観客がダンスを観てくれた良い例として 

 Jasmin Vardimon [Park]
 
ナレーションの要素が強く、若者に受けるテーマの作品が多い。
 
この作品を観た観客の16%が劇場の既存の顧客だった。
ほかに、Ultima Vez[Spiegel] など

そのようなvisiting companyと定期的な関係を構築するだけでなく、新しい作品を作る試みを行う=レジデント・カンパニー(※1)
○同時に、教育・コミュニティに関係したプログラムも取り入れている。(※2)
Dansing Oxford Spring 2007》−−初のダンスフェスティバルを行う。

オックスフォードですでに活動するダンスアーティストがたくさんいることから、 ダンス分野の観客層をさらに厚くするため。

ダンス作品を上演するプログラムの他に
○新しい観客の開拓・維持のために行う2つのプログラムについて (※1、2の補足)

1、レジデントカンパニー コミュニティダンス・教育面で従事
例<Walker Dance Park Music> 2006年からレジデントしているカンパニー

プレイハウスという既に確立されたインフラに支えられて、カンパニーが新しい作品を創るすばらしい機会。スタッフにとってもクリエーティブな作品を創り上げるプロセスに関わるチャンスとなる。
マーケティングなどカンパニーが発展するためのサポートも行う。

2、教育プログラム
 
上演作品に関連した教育プログラムを行う。
例<Candoco> 地元の学校と協力してワークショップを行う。
通常の学校に加え、障害のある生徒が通う学校の子ども達対象
自分の才能や技術に関して様々なフィードバックを得るチャンスに。

オックスフォードプレイハウスでは、はじめから、他のダンスではなく、コンテンポラリーのダンス作品を紹介している。演劇においても、現代的で新しい作品を多く紹介してきた。また、コンテンポラリーなオペラやダンスも上演してきている歴史がある。

     

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Jasmin Vardimon Company (アドミニストレーター テスさん)

◆作品の公演とワークショップの実施
私たちは、ツアーリングカンパニーです。作品を上演する傍ら、教育部門にも携わっています。
作品を観せるだけではなく、周った先々で教育プログラムも合わせておこないました。そのワークショップは、午後3時間のプログラムをおこなうものと、2週間にわたってプロのダンサーをまじえて、レジデンシーという形でおこなったものの、2種類あります。一番頼まれることが多いのは、作品の一部だけを教えて、公演を観るということをしている。

教育プログラムは、私たちのダンサーが主導を握っておこなっています。フィジカルダンスという形で、スクリプトがあって、ダンスがあって、そして、ご覧のように、ナレーションがあります。ナレーションの部分が大変強いわけですが、ひとりひとりが役柄を持っています。このワークショップに参加する人たちそれぞれにに、どのキャラクターをやりたいか、希望を述べてもらって、それに基づいて作品をつくっています。そして、それぞれの技能を問わない形での作品づくりをしている。

われわれの強みのひとつはテーマ性が強いということです。みんなに親しみやすいテーマを選んでいます。スクリプトをつくるために、国立劇場の脚本家にも協力をいただいています。ダンスと演劇のハイブリッドのようなものを作り出しています。

社会に関係するコメントを最初に打ち出してそこから教育プログラムをはじめていくということです。以前にやったもののひとつに、保健サービスに関するものがありました。実は国家保健サービスのコンサルタントが、われわれの作品を医者の訓練に使いたいといって、使ってくれました。ですから、ダンスの教育だけではなく、テーマベースの教育ということでも、われわれの作品が役立っているわけです。

そしてプロフェッショナルの開発にも力をいれていて、それぞれの学校でワークショップしたものに関しては、フィードバックをして、一体どういうところがよかったのかということも意見を聞いています。

学校や社会的なテーマを題材にしたワークショップもかなりおこなっています。以前いじめに関するワークショップをおこないました。そして様々な学校からぜひうちの学校でもやってくれないかと依頼を受けました。

長期の目標のひとつとしては、フィジカルダンスの学校をつくりたいと思っています。ボイストレーナー、ビデオグラファーなど様々なダンスに携わっている人を交えて大体3年くらいの学校にできればと思っています。

こういった教育に関しては、イギリスの市場ではまだまだ人材が足りないという現状です。
8人のダンサーを選ぶのに、700人のダンサーをオーディションをおこないました。結局選ばれた8人のうち4人は海外からの出身者でした。ヤスミンバーディモンカンパニーは海外のパートナーとの関係の構築、強化を図っている。

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Anjali Dance Company (二コールさん、マークさん、ロジャーさん)

■ カンパニーの特徴
Anjali Dance Companyは障害者のダンサーだけで構成された世界初のプロのダンス・カンパニーである。活動の主目的は、差別や偏見といった既成概念に対して挑戦すること、障害者もクリエイティブな可能性を持っていることを世界に見せることを目指している。Anjali Dance Companyはすべての人がダンスを学ぶ権利があり、また望むならダンスを自分の生業として選ぶ権利があると考えている。

■ 活動について
アーツカウンシルから定期的な助成を受けている。また、国内外でツアーを行っている。国外では、ポルトガルやベルリンでのフェスティバルに参加している

 
―ダンスフィルム「サムシング・ワイルド」を鑑賞―

*「サムシング・ワイルド」は著名なコレオグラフィーを招き、「ニューアートクラブ」「ヴィンセントダンスシアター」に協力を得て制作された。学習障害を持った人が参加している。

■ 作品について
プロのコレオグラファーにアイデアを出してもらい、それに基づいてつくっていく。障害者もアイデアを出し、協力してつくっている。また、インプロビゼーションを用いることもあるし、観客からのアイデアを取り入れることもある。その他、ダンスフィルムをつくる活動も行っている。

■ 教育部門について
Anjali Dance Companyは学校からはじまった活動なので、教育部門の活動は重要だと考えている。教育部門ではパフォーマンスのサポートや補完を行っている。

ワークショップ活動については、学校や大学、ユースグループを対象に、障害者がワークショップリーダーとなってプログラムを行っている。また、活動拠点としている地域、Banburyに多く居住するパキスタン系のイスラム教徒の障害者たちもアウトリーチ活動で取り込んでいきたいと思っている。

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※この場をセッティングしてくれたアーツ・カウンシルのジェイミーさんへのインタビューは、視察04の最後に掲載しています。


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